不思議な秋桜(コスモス)の畑が、あるといいます。
そこではたとえ集団で訪れようと、気がつけば誰かと、ふたりきりになっているというのです。
しんと肌寒さを覚えてみれば、すすきと見まがうほど秋桜咲き乱れる中にふたりきり。
不思議なことに周囲の人々の姿はかき消え、地平線が見えそうなほど広々とした花畑で、あなたはあの人と、短いながらも他に邪魔されることのない時間をすごすことになります。
相手は同行者に限りません。
あまりにも意外なあの人と、秋桜畑で出逢うこともあるかもしれない。
それは長く交流の絶えたあの人かもしれないし、ずっと恋い焦がれていたあの人かもしれない。
そればかりか、すでに亡くなったあの人かもしれないのです。
あの人がここにいるはずがない……頭ではわかっているのだけれど、あなたはたしかに、あの人の存在を感じます。話すこともできます。
けれど触れようとすればたちまち、まぼろしのように彼また彼女は消失してしまうでしょう。
そうしてあなたは、もといた場所に立つ自分に、気がつくことになります。
秋桜畑のあの人は、本当のあの人ではないのでしょう。自分の心の中で理想化されたあの人、なのでしょう。
それでもあなたはきっと、秋桜畑のあの人に、素直になることができるはずです。
マスターの桂木京介です。
誰かを想うシナリオ……というところは、前回シナリオ『クロース・トゥ・ユー』と似たところがあるので公開は迷いましたが、今回はまたテイストが異なる気もしたので、思い切って出してみました。どうぞよろしくお願いします。
ある休日、寝子島の秋桜畑を舞台としたシナリオです。ここはそれほど有名ではありませんが、ちょっとした観光名所として地元では知られています。
本作ではあなたは、誰かと邂逅することになります。
ただ会うだけではありません。秋桜畑を歩んでいるうち、忽然、視界が開けてあなたは『あの人』とふたりきりになるのです。
まるで平原のような場所、秋風に揺れるたくさんの秋桜以外、あなたたちを見ている人はいません。
思いがけない出会いですが、これは本当の出会いではありません。後述する例外を除いて、そこにいる相手は、あの人自身ではないのです。プロローグでも触れたように『自分の心の中で理想化されたあの人』なのです。
理想化されたあの人だからといって、必ずしもあなたが期待しているような反応をくれるとは限りません。「好きです!」と告白しても「お断りします」と即答されるかもしれない。(それはあなたが心の奥底で、『今のまま告白しても断られる』と理解しているから……という可能性があります)
数分から、長くても三十分程度ともに時間を過ごしたとき、あるいは、相手に触れようとしたとき、突然にこの空間は終了し、たくさんの人が秋桜見物をしているところに戻ることになることになります。
出会う相手は一人に限られます。ただし故人を含めどんな相手でも可能です。『顔がわからない人』の場合は、はっきりと相手の顔を見ることはできませんが、それでもあなたは、相手がその人だと確信することになります。
ですので、アクション中で必ず『誰と会いたいか』を指定して下さい。
会う相手とのかかわり(友人だとかライバルだとか)や抱いている感情はもちろん、特別な呼び方などがあれば、できるだけ記していただだきたく思います。
以下の相手を指定する場合はご注意下さい。
●他のプレイヤーキャラクター:相手も本シナリオに参加しており、グループアクションで『ともに行動する』旨を記している場合に限って、理想化された相手ではなく、本当の相手とデートすることが可能です。短い時間ですが、秋桜が一面に咲く中、ふたりきりの空間を楽しむことができるでしょう。この場合だけ例外的に、互いに触れあうことも可能です。
●NPC(理想の相手):あらゆる登録NPCが可能です。ただし、参加キャラクターの脳内で理想化された相手であって本人ではありません。それだけに、そのNPCではまずありえないような言動もある程度なら期待できそうです。(といってもあまりにもキャラと違い過ぎる展開はNGなので、確定ロールは避けた方が賢明です)
●NPC(本人):以下のNPCに限っては、たまたま同時期に秋桜畑に来ていたため、本人と二人きりになることが可能です。
樋口 弥生、北風 貴子、詠 寛美、南波 太陽、青木 慎之介、五十嵐 尚輝、剣崎 エレナ
やはり例外的に、触れることも可能です。当然ですが、彼らとの出会いを希望する場合、必ずしも期待通りの展開になるとはいえないということを念頭に置いていただけると幸いです。
●本シナリオに参加していないプレイヤーキャラクター:可能ですが実際の本人ではなく、劇中に相手の名前は出ません。また、そのキャラクターを連想させるような表現もできないので、希望しない方がいいかもしれません。
それでは、皆様のご参加を楽しみにお待ち申し上げております。
次はリアクションでお会いしましょう! 桂木京介でした。