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秋桜、ふたりぼっち
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このとき、さぁっと秋桜の花びらを舞い上げる風が吹きました。
「あっ」
ロミー・クーパー
は驚いて両手を頭にやりました。
けれどもう、遅かったのです。
そのときにはもう、ロミーの帽子は、風に吹き飛ばされて姿を消していました。
「帽子……どこ……?」
ロミーの大事なベレー帽、長く垂れたうさ耳のついたベレー帽、ストライプのリボンがついた、黒と白のベレー帽は、見回しても周囲に落ちてはいないようでした。
「探してくる……」
ダディとマムにそう言い残すと、秋桜をかきわけるようにしてロミーは駆け出しました。
光沢のある茶色の髪が、さらさらと秋風に揺れます。
どうも帽子をしていないと落ち着かない。頭が、ひどく寒いように感じてしまいます。
もともと広い秋桜畑です。分け入るほどに似た光景となり、やがてロミーは自分がどこにいるのか、だんだんわからなくなってきました。
気がつけば周囲は知らない人ばかりになっています。
それよりも帽子がないこと、それが問題です。
背の高い秋桜が被っていたりしないし、茂みに隠れていることもありません。どこかしらない人の頭に、ちょこんと着地していたりしたら面白いかもしれませんけれど、そんなこともない。
「帽子……」
ロミーはもう小学四年生です。背だって、130センチになりました。クラスでは小柄なほうですけれど、もっと幼い子たちからすれば、もう立派なお姉ちゃんです。
だからこれしきのことで泣いたりしない。声を上げたりだって、しません。
けれども……。
泣きたくなってきたのは、事実です。
そんなロミーに目をとめた青年がいました。
「おや……あれは……?」
斑鳩 遙
です。
彼は思うところあって、かつて親友と訪れたこの場所を、ふたたび単身で訪れていました。
親友……時任という名の彼はもう、この世にはいません。自分で自分の命を絶ったのです。時任の自殺の理由は未だ明らかになってはおらず、時間さえあれば遙は、その理由を求めて、かつて彼と歩いた場所を訪ねているのでした。
時任の足取りを求め、そして今日もまた無駄足に終わったと遙が思ったそのとき、彼はロミーを見たのでした。
遙はロミーをこれまで見たことがありません。とはいえ彼女が、今にも堤防を決壊させそうな状態にあることは容易に推測できました。
「……迷子だろうか?」
といっても遙には関係のないことです。いわゆる観光地なのでインフォメーションセンターもありますし、係員が見つけてくれるかもしれない。わざわざ声をかけなくたって――そう考えたのは当然といえば当然でした。
ところが遙はいつの間にか、ロミーの前に屈みこんでいました。
「どうかしたのかい?」
自分のお人好しぶりに、半ばあきれている遙ですが、後悔はしていません。
ロミーは直感的に、この人は信用できると思いました。理由ははっきりとわかりません。ただ、優しげな表情ながら彼の目に、哀しみの色を感じ取ったからかもしれません。
「えっとね……帽子を探してるの。マムが作ってくれた帽子、なくしたくないの……」
「わかった」
手伝うよ、と短く告げると、もう遙は少女に背を向け、秋桜畑の茂みを探っていました。
――いいのかな……知らないボクの帽子を探してもらうなんて……。
ロミーは迷いました。見ず知らずの青年に、手伝いをさせていいのかと。
けれども自分一人で帽子を見つけられる自信はありません。
結局ロミーはこう答えたのです。
「あの……帽子探し、よろしく……お願いします」
まるで遙の訪れを待っていたかのようです。
たちまちのうちに、
「あった。今度はなくすなよ」
茂みのひとつからベレー帽を見出し、遙はその汚れをはたいて落としました。見間違いようがありません。なぜってこの帽子は、彼女の服装にとてもよく似合っていたからです。ウサギのような耳もかわいらしい。
「ありがとう。今度はなくさないようにしっかりとかぶるね」
思った通り、欠けていたパズルのように、帽子はロミーの頭にぴったりと収まったのでした。
そういえば先日も彼は、神魂の影響ゆえか子供の頃の自分と出会い、同じことをした記憶があります。あのとき手渡したものは風船でしたが、シチュエーションはほぼ同じです。
あの経験がきっかけになったのかもしれません。以前なら遙には、もっと子どもに対して苦手意識があったのですけれど、今はもうそれは払拭されています。
――それに。
彼は思いました。
――この子はどこか子どもの頃の俺に似ている。
だから声をかけたのでしょうか。
遙はロミーの手を引いて、秋桜畑を歩いています。その理由はロミーの一言にありました。
「どうしよう…今度は帰る道が分からなくなっちゃった……」
ということです。ロミーは今度こそ、本当の意味で迷子になったのですね。
「人出は多いが大群衆というほどじゃない。じきに見つかるだろう」
「ごめんね、おにーちゃん……せっかく秋桜を見に来たのに、ボクのことばかりで……」
「秋桜を見に来た? さあね、まあ、そうかもしれないね。それに、遠慮ならしなくていい。君よりはこの場所を知っているし」
「あ。おにーちゃんは、ここに来るの初めてじゃないだ?」
ちく、と胸に針を刺された気持ちに遙はなりました。もちろん、それを表に出したりはしません。
「このコスモス畑には以前交際中の女性と来た。それより前にも時任……学生時代の友人に連れてこられたことがあってね。穴場があるから教えてやると言われて無理矢理に……俺がレポートで死にかけててもお構いなしだ」
「その友達は今日は……?」
もう一度、今度はもっと強く、針で刺された痛みを遙は感じました。
「友人? ……死んだよ」
「え……」
ロミーにだって、その意味は理解できます。訊くべきではなかったと、たちまち悔いました。
ずっと抑え、隠そうとしていた哀しみが、今の遙にははっきりと浮かんでいたのです。
ロミーにできること、それは、彼の手をぎゅっと握ることだけでした。
元気が出ますように――そう念じて握るだけのことでした。
わずかな間、遙とロミーはふたりだけの空間にいました。
けれどもこのとき、それが破れました。
「お母さんは外人かしら」
遙の耳朶をかすめたのは、誰かの声。
観光客のおばさんのようです。いつしか彼らは元の場所にいたのです。
――どういう意味だ。
一瞬、その言葉の意味を考え込んだ遙ですが、すぐに察して小声で笑いました。
――そうか……学生のときに結婚してれば、これくらいの子どもがいてもおかしくないか。
「なにか面白いことでもあった……?」
「いや……なんというか、さっきすれ違った人たちに、俺たちは親子と間違えられたようだ」
ロミーは何度か瞬きして、
「え? でも、おにーちゃんの方がダディより若いし、それに……」
と、彼の顔をじっと見上げて言ったのです。
「お顔もカッコイイ……」
「はは、ありがとうと言っておくよ」
やがて遙はロミーを背負って、秋桜の野を歩きだしました。
彼女が眠そうにしていたからです。
「おにーちゃんの背中、あったかいね……」
ロミーの声はもう、なかば以上夢の中といった雰囲気です。
そうかい? と問い返しながら遙は、まっすぐに歩き続けます。
「ここに来たのは友人に会えそうな気がしたからだが……代わりに君と逢えた」
ロミーの返事はありませんでした。聞こえるのは、静かな寝息。
けれども遙は語りかけます。彼女に、あるいは、自分自身に。
「今の俺に必要なのは、過去を振り返ることじゃなく前に進むこと……」
かつて、時任は遙にこう言いました。
『お前は家族を作るのに向いてない』と。
それは時任からの呪いだったのでしょうか。
それとも、遙が、時任の戯れ言を信じ込み自己暗示に陥っていたものでしょうか。
――俺もいつか、家族をもつ日がくるのだろうか。
そんなことを、遙は思いました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
SF・ファンタジー
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年04月05日
参加申し込みの期限
2015年04月12日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年04月12日 11時00分
参加キャラクター一覧
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