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地上に堕ちし神々の深淵 ～幻影なる平和を求めて～
【赤き石と秘められた想い】
「赤き巫女の血を引く乙女よ、案ずることはない」
ヴェルデ・プロフォンドこと桜庭 円は遠い目をしてぽつんと広場に取り残された同胞の末裔（という設定）のあやこの肩にぽんと優しく手を置いて、にっこり微笑みかけた。
「黙示録の時は未だ遠い」
「え……？」
あやこは（この人は何を言っているんだろう？）というような顔でヴェルデの顔を見上げた。
いつのまにか、本当にいつのまにか、包帯の眼帯で隻眼状態となった桜庭――もといヴェルデのもう片方の瞳にはやはり本気（マジ）と書いてあった。
「運命は私達に味方してるって事さ、スペランツァ・プニツォオーネは君の手に戻る」
違う。そういうことを聞いているんじゃない。
あやこは目でそう語った。ていうか、スペランツァ・プニツォオーネってなんだ。
しかし、ヴェルデはそんなあやこの様子になどまるで気づかない。
彼女は片手に運命の書（彼女はそれをリブロ・アル・マハトと呼んでいた）を、もう片方の手で天を指さして、
「我が友、レグルスの加護を受けし、黄金の獅子よ。呼応せよ、かの地、アルカディアの守護者ロード・ゲティーガード」
と、叫んだ。
すると、彼女の肩の乗っていたねこのにゃーくんが眩い光を放って地面に一回転して降り立ち、かと思う次の瞬間にはライオンのような大きさに変化していた。
「行くよ、ロード・ゲティガード。これが神の与えた試練ならそこには何か意味があるはずさ」
『ふ、だといいがな』
皮肉屋渋面ボイスで応じるロード・ゲティガード（元にゃーくん）に颯爽と跨り、ヴェルデは広場から去っていた。
あやこはただぽつねんとその場に取り残された。
かと思いきや。
「彼女の言うとおりだ。人の子よ」
その後を継ぐように、そっとあやこに語りかける者の姿があった。
「これは君に降りかかった試練――神は乗り越えられない試練を人に与えたりはしない」
子犬のカーキーを連れた八神 修である。
修はまるで自分は人の子ではないというような口ぶりだったが、それもそのはず、彼は今スサノオの分霊が受肉した神の生まれ変わりという設定になりきっていたのである。
あやこは意味がよくわからなかったが、とりあえずさっきのヴェルデもこのスサノオも、自分をなぐさめてくれているらしいということだけはよくわかった。
と、そこでスサノオの連れた子犬も「わん」と小さく鳴いてあやこを円らな瞳で見上げてきた。
その犬はスサノオの守護犬神で、名をカーキーというのだと彼はあやこに説明した。
あやこはその場にしゃがんで小さなカーキーと目線をあわせてみる。
すると、カーキーはぺろりとそんなあやこの顔を舐めてきた。
あやこは思わず「ひゃあっ」と驚きの声をあげたが、それはすぐにくすぐったいような笑い声に変わった。
「あはっ。ワンちゃんやめて、くすぐったいよ～」
じゃれついてくるカーキーに、少しだけ心が安らいで、あやこは思わず相好を崩してその頭をなでなでしてやる。
彼女にはこのカーキーが今日出会った相手の中で一番まともな人間に見えた。犬だけど。
さて、スサノオはそんなあやこの心の内を知ってか知らずか、自らの守護犬神と触れあう彼女の姿をしばし微笑ましそうに見つめて、
「さあ、それでどうする？」
と、静かな声で訊いた。
「え？」
目を瞬かせるあやこに、スサノオは言葉を続ける。
「人の子よ、君が彼の者達を信じてここで待つというのなら俺は君とともにここで待とう。君が自分の手で宝物を取り返したいというなら俺も手を貸そう。選ぶのは君だ」
「……っ」
あやこは小さく息を飲んだ。
そして、あやこは目を閉じて、少しだけ考える。
まず最初に頭に浮かんだのは母親からよく言われていた「あやしいおじさんについていってはいけません」という言葉だ。
目の前のスサノオは『おじさん』でこそなかったが、だいぶあやしかった。何しろ自分は神だと言っているのである。
しかし、それとほぼ同時に、あやこはその母が自分にネックレスをくれたときのことを思い出していた。
「このネックレスはお母さんのお母さんのお母さんから代々受け継いでた大切なネックレスなの」
そのとき、あやこの大きな瞳に、一つの決意の灯がともるのをスサノオは見た。
いや、そもそも答えなんて最初から決まっていたのかもしれない。
だって、あれはあやこにとっても、『お母さんのお母さんのお母さんのお母さんから代々受け継いでた大切なネックレスなの』である。
だから、
「あやこもハトさんさがしにいく！」
あやこは自らの手で運命を切り拓くことを決めた。
なんだかんだといいながら、やはりあやこもまた厨二心を持つ女の子なのであった。
「赤き巫女の血を引く乙女よ、案ずることはない」
ヴェルデ・プロフォンドこと桜庭 円は遠い目をしてぽつんと広場に取り残された同胞の末裔（という設定）のあやこの肩にぽんと優しく手を置いて、にっこり微笑みかけた。
「黙示録の時は未だ遠い」
「え……？」
あやこは（この人は何を言っているんだろう？）というような顔でヴェルデの顔を見上げた。
いつのまにか、本当にいつのまにか、包帯の眼帯で隻眼状態となった桜庭――もといヴェルデのもう片方の瞳にはやはり本気（マジ）と書いてあった。
「運命は私達に味方してるって事さ、スペランツァ・プニツォオーネは君の手に戻る」
違う。そういうことを聞いているんじゃない。
あやこは目でそう語った。ていうか、スペランツァ・プニツォオーネってなんだ。
しかし、ヴェルデはそんなあやこの様子になどまるで気づかない。
彼女は片手に運命の書（彼女はそれをリブロ・アル・マハトと呼んでいた）を、もう片方の手で天を指さして、
「我が友、レグルスの加護を受けし、黄金の獅子よ。呼応せよ、かの地、アルカディアの守護者ロード・ゲティーガード」
と、叫んだ。
すると、彼女の肩の乗っていたねこのにゃーくんが眩い光を放って地面に一回転して降り立ち、かと思う次の瞬間にはライオンのような大きさに変化していた。
「行くよ、ロード・ゲティガード。これが神の与えた試練ならそこには何か意味があるはずさ」
『ふ、だといいがな』
皮肉屋渋面ボイスで応じるロード・ゲティガード（元にゃーくん）に颯爽と跨り、ヴェルデは広場から去っていた。
あやこはただぽつねんとその場に取り残された。
かと思いきや。
「彼女の言うとおりだ。人の子よ」
その後を継ぐように、そっとあやこに語りかける者の姿があった。
「これは君に降りかかった試練――神は乗り越えられない試練を人に与えたりはしない」
子犬のカーキーを連れた八神 修である。
修はまるで自分は人の子ではないというような口ぶりだったが、それもそのはず、彼は今スサノオの分霊が受肉した神の生まれ変わりという設定になりきっていたのである。
あやこは意味がよくわからなかったが、とりあえずさっきのヴェルデもこのスサノオも、自分をなぐさめてくれているらしいということだけはよくわかった。
と、そこでスサノオの連れた子犬も「わん」と小さく鳴いてあやこを円らな瞳で見上げてきた。
その犬はスサノオの守護犬神で、名をカーキーというのだと彼はあやこに説明した。
あやこはその場にしゃがんで小さなカーキーと目線をあわせてみる。
すると、カーキーはぺろりとそんなあやこの顔を舐めてきた。
あやこは思わず「ひゃあっ」と驚きの声をあげたが、それはすぐにくすぐったいような笑い声に変わった。
「あはっ。ワンちゃんやめて、くすぐったいよ～」
じゃれついてくるカーキーに、少しだけ心が安らいで、あやこは思わず相好を崩してその頭をなでなでしてやる。
彼女にはこのカーキーが今日出会った相手の中で一番まともな人間に見えた。犬だけど。
さて、スサノオはそんなあやこの心の内を知ってか知らずか、自らの守護犬神と触れあう彼女の姿をしばし微笑ましそうに見つめて、
「さあ、それでどうする？」
と、静かな声で訊いた。
「え？」
目を瞬かせるあやこに、スサノオは言葉を続ける。
「人の子よ、君が彼の者達を信じてここで待つというのなら俺は君とともにここで待とう。君が自分の手で宝物を取り返したいというなら俺も手を貸そう。選ぶのは君だ」
「……っ」
あやこは小さく息を飲んだ。
そして、あやこは目を閉じて、少しだけ考える。
まず最初に頭に浮かんだのは母親からよく言われていた「あやしいおじさんについていってはいけません」という言葉だ。
目の前のスサノオは『おじさん』でこそなかったが、だいぶあやしかった。何しろ自分は神だと言っているのである。
しかし、それとほぼ同時に、あやこはその母が自分にネックレスをくれたときのことを思い出していた。
「このネックレスはお母さんのお母さんのお母さんから代々受け継いでた大切なネックレスなの」
そのとき、あやこの大きな瞳に、一つの決意の灯がともるのをスサノオは見た。
いや、そもそも答えなんて最初から決まっていたのかもしれない。
だって、あれはあやこにとっても、『お母さんのお母さんのお母さんのお母さんから代々受け継いでた大切なネックレスなの』である。
だから、
「あやこもハトさんさがしにいく！」
あやこは自らの手で運命を切り拓くことを決めた。
なんだかんだといいながら、やはりあやこもまた厨二心を持つ女の子なのであった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2015年04月01日
- 参加申し込みの期限
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- 2015年04月08日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2015年04月08日 11時00分
