シナリオ「地上に堕ちし神々の深淵 ～幻影なる平和を求めて～」

地上に堕ちし神々の深淵　～幻影なる平和を求めて～

　駅前といえば、平和の象徴であるハトぽっぽ。
　無邪気な子どもたちがパンやお菓子をあげれば、ハトはたちまち集まってくる。
　中にはすっかり人に馴れて、かなり近づいてくるものもいて、そんな時、悲劇が起きてしまった……。

「えーんえーん」

　５歳の女の子あやこちゃんが、シーサイドタウン駅の駅前広場で泣いていた。
　近くに親がいる気配がないため、心配した人がぞろぞろと集まって声をかけた。
　どうやら、お母さんから預かっていた大切なネックレスを手に持ちながらハトと遊んでいたら、奇跡のようにハトの首にくるくるっと巻き付いて、慌てたハトはそのままバタバタと飛び去ってしまったらしい。

「お母さんのお母さんのお母さんのお母さんから代々受け継いでた大切なネックレスなの……」

　泣き続ける幼女あやこちゃんを無視してこの場を離れることができようか。
　人々はネックレスの形状やハトの特徴など必要なことをすべて聞き出した。
　頑張れば、きっとハトを見つけることができるはず！　きっとネックレスを取り戻せるはず！
　みんなが一斉にハトを探しに行こうとしたそのとき、奇抜な衣装を身に纏った１人の少女が立ちふさがった。

「だ、誰……？」

　少女は顔を覆い隠すように手をかざし、しかしその手からのぞく機械の目を光らせて語り始めた。

「教えてやろう……我こそは深淵なる世界で“忌み子”とまで呼ばれた女神ノ・ノコ。が、しかし真実の名を今こそ受け入れるがいい。そう、我が名はツェツィーリエ・ヴィクトリア・フォン・インゼル＝カッツェ！　彼の地に悠久の風が吹くとき、他を圧倒するファティマより出ずる者と言えば、貴様らのような偽りの聖徒にも解るときが来るであろう」

　わかるときが来るとは思えないが、紅いスカーフを無駄に何度も翻しながら話はつづく。

「何、約束の“刻”の終焉までに幻影なる平和の鳥、暗黒の偽天使を探し出すだと？　ふん、退屈凌ぎにはちょうどよい。円環の理へ導かれしエイジャ＝アヴィスのレッドクリスタルを今こそこの手に取り戻すとしよう」

　何を取り戻すつもりなのか怪しいが、きっとあやこちゃんのネックレスだろう。
　そして、彼女は最後に服をバサバサしながら地面になにやら描く素振りをしたかと思うと、声の限り叫んだ。

「そう、我が守護精霊とともに。……出でよ、サン・魔・サン！」

ずずずずーーーん

「やれやれ……」

「ののこのアホがおかしな現象に引っぱられちまったようだな。まあ首飾りの捜索まででその影響を留めれば、夢か何かだと思うだろ……アア？」
　テオはギョッとして、辺りのもれいびどもを見上げた。
「お、お前ら……」

ゲームマスターより

担当ゲームマスター

水月鏡花

マスターコメント

ごきげんよう、水月鏡花です。

そんなわけで今回は中二病シナリオです。
はい、私も中二病大好きです。のの――もといツェツィーリエさんの衣装見ただけでテンションガンガンアガってます。この想いみんなに届け。

そんなわけで以下説明です。

あなたはファンタジックな世界観の、なんだか込み入った背景や宿命を背負った人物になってしまいました。
その背景や宿命はそのままに、現実世界の寝子島で白いハトを探してネックレスを取り戻してください。
ペットや好きな動物などを守護精霊として呼び出して使役することもできるようです。

※シーサイドタウン駅のイラストはイメージです。
　キャラクターによっては、このような景色に写ってるのかもしれません。

◆あなたの設定

名前、種族、職業、目的、宿命、過去……好きなように設定して、アクションに書いてください。
既存の作品の設定などをそのまま使うことはお控えください。

演じているのではなく、心身ともに成りきってしまっている状態です。衣装などもともに。
この間、本来の自分のことは思い出せません。（面白かったら思い出すアクションも採用するかもですが）

現実の寝子島なので（ＰＬさん的には）物凄く恥ずかしいでしょうが、
成りきってるので（ＰＣさん的には）羞恥心などは一切ありません。
顔はそのままの人もいれば、変わってたり仮面をかぶってたりする人もいます。
前者は、あとから誰かに何か言われるかもしれません。「昨日、駅前でコスプレしてた？」とか。

この現象が終わったら、元の自分に戻ります。
おかしかったときのことは思い出せることもあれば、思い出せないこともあります。お好きにどうぞ。

守護精霊は１人１体まで召喚できます。こちらもお好きなようにどうぞ。
一般の人には見えないようですが、もしかしたら見えることもあるかもしれません。
名前や性格などが決まっていたら書いておいてください。記入がなければ適当にでっちあげます。

◆ハトの正体とネックレス

きれいな白いハトです。

悪意を持って首飾りを持ち去ったわけではなく、たまたま首にからまって逃げてしまったようです。
首にからまったままで、今はなかば諦めているようです。それよりお腹が減ったのでしょう。

キャットロードの周辺で、食べるものを探しています。
飲食店の周辺、小さな公園、裏の住宅街のどこか、に出没します。

首飾りはふつうのシルバーネックレスです。
ツェツィーリエ・ヴィクトリア・フォン・インゼル＝カッツェさんがレッドクリスタルとか言ってますが、何かの間違いです。

◆登場ＮＰＣ

・ツェツィーリエ・ヴィクトリア・フォン・インゼル＝カッツェ
・サン・魔・サン

※テオは呆れて昼寝しています。出てくる予定はないので、からみの指定はお控えください。

では、不思議な世界で会いましょう。ただの鳩探しがどんな展開になるのやら、想像もつきません……！