熱血！　寝子島不良伝　～死闘！　木天蓼不良四天王現るッ！～｜リアクション

熱血！　寝子島不良伝　～死闘！　木天蓼不良四天王現るッ！～

【水浸しは……】

　瓢は龍八と別れると、どこからともなく調達した廃棄されていたと思われる家庭用の小型発電機を、先ほど水をぶちまけた参道とその周辺に電流が流せるようにと設置していた。
「こんな面白そうなこと一回で決着つけてはい、おしまいじゃあつまらない。面白おかしく敵も味方も巻き添えにさせてもらうよぃ」
　ちゃっかり先ほど奪った制服で変装している瓢の目的は、この湿りきった地点に電流を流して寝子校生と木天蓼高の不良もろとも共倒れさせるのが目的である。
「おい、こんなところに機械を置くなんて南破さん一言も言ってないぜ」
　不審に思ったのか不良が話しかける。
「おや？　そりゃ話が違うねぇ。ここに仕掛けるって聞かなかったのかい？」
「……ちょっと待て、南破さんに確認する」
　そう言って、くるっと後ろをむいて携帯を取り出す不良。
「そいつは困ったねぇ」
　その瞬間、スーッと瓢は近づいてキュッと首を絞め上げた。
「ぐっ」
　そのまま絞め上げられる不良。
　顔がだんだん赤くなっていく、酸素不足によるものだろうか。
　既にその不良は気絶しているがなおも絞め上げる瓢。
「ちょっと待ったー！」
　その瞬間、がっと引き剥がされる瓢と不良。
「いいところだったんだけどねぇ」
　その格好はたすきをしており、『寝子島闘争の歴史』と書いてある。
　それにストップウオッチを片手に持ちつつ『九夜山魔等走行登軍奪旗審判也』と書いたジャージと、ホイッスルを着用した桜庭円であった。
「さすがに、やりすぎだね」
「はて、なんのことかわかりませんのぅ？」
　本気でわからないと首をかしげる瓢。実に面白いフリであるが、円の目には本気でわかってないように映る。
「桜庭円、死亡確認！」
　と不良を見て宣言しつつ、その発電機のようなモノを指さす。
「それはさすがにやりすぎじゃないかなー？　電気流すんでしょ敵味方関係なく」
「何をおっしゃるやら分かりませんのぅ。これほど勝利を願ってせっかく準備をしておったのにそう断定されては悲しいよぃ」
　瓢にとってはばれないように動きたかったが、円がこの戦場の状況を聞いたとき探索して回ったため、こうなってしまった。
　まさか審判役がいるとは……、と言ったところであるがその驚きは顔に出さず飄々と質問をかわし続ける。
「あ、でもね。さすがに水の量が足りないし、地面だしで電流を流しても弱いかなー？　でもアウトだよ！」
「……なるほど」
　その瞬間、瓢のとった行動は単純明快であった。
　それは……逃げる！
「あ、待てー！」
　さらなる混沌が戦場に産みだされようとしていたが、それは失敗に終わった。
　だが、そうでなくとも既に混沌へと進む道筋が次々と見えているのであった。

「そう言えば、忘れていたな」
　不良から色々な情報を聞き出しながら龍八は某所にて呟いた。
　瓢が居なくなったため、もはやこの場所には龍八と不良しかいない。
「角材で逆落としの奇襲は当然相手としては看破される織り込み済みだろう。読まれると考えているとも予測できるな」
　が、と言葉を誰ともなく続ける。
　テロ屋だからこそ、わかる視点……そして、某途上国が某大国に勝った時の必勝法がある。
「もし、これが破られなかったとき次の手は当然……アレだな」
　そう言って、さらに不良に対して情報を吐かせるために色々とするのであった……。

　落神神社では南破が北山に作戦の説明をしていた。
「というところだね、当然、僕としては引っかかると思っていなかったけれども、引っかかってくれたから一瞬でも時間が稼げた。そしてここは森だね。ならば、こういう風に配置して……」
「それらを抜けてきた奴が戦うに値するやつってわけだな、面白れぇ！」
　そう言って、ニヤリと楽しそうな笑みを北山は浮かべたのであった……。
「ま、中腹を水浸しにされるのは予想外だったけどね。それも利用してみよう」
　その横で、冷静に指示を飛ばしていく南破。
　さらなる脅威が寝子高生に降りかかろうとしていた……。

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