荒野に一陣の風が吹くシーンを思い出して欲しい。
まさにそのシーンが寝子高の前で展開されていた。
そして、その風景の中を憮然と悪役が歩いているシーンを想像して欲しい。
まさにそのシーンだ。
四人の人影が寝子高の校門前に姿を現していた……。
その四人の姿を見て、守衛が止めようと声をかけるが……。
何が起こったのか次の瞬間、守衛は倒れ付していた……。
その日、たまたま
如月 庚は一緒になった
紅 双葉と
神薙 焔と話をしていた。
三人は下校をする途中、偶然グラウンドの近くで固まって歩いていた。
「そういや、色々あったな」
「もう、あれはこりごりですー」
「大変だったものね……」
以前、千手丸という不良が事件を起こしたときに協力して戦った仲だ。
「入学してから事件ばっかりだね、あたしたち……」
「平和が一番! ですねー」
そう、ため息をついた焔と双葉であった。
その瞬間であった。
「!? テメェら……下がれ!」
庚は、二人をかばうような立ち位置に素早く入れ替わった。
目の前に四人組が現れたのだ。
皆、薄汚れた学ランを来ており、それぞれ東西南北がペイントされたTシャツが学ランの間からちらりとみえる。
「っ、こいつら……あのクソ坊主以上に危険な香りがするぜ……オイ! お前ら何モンだ!」
「くっくっく、本土にテメェらのアンテナはねぇみてぇだからよう、教えてやるよ!」
北の字がプリントされた大柄な一人が前に進み出て、言い放つ。
「オレの名は北山不動(ほくざん ふどう)! 木天蓼不良四天王の一角だ!」
そう言ってニヤリと笑う。
「オレたちゃ! 木天蓼不良四天王! テメェらをぶっ潰しに来た!!」
その言葉に庚はしばし目を閉じてからカッと見開いた。
「……なるほど、分かった。つまりテメェらをぶっ倒せばいいってことだな」
ゆっくりと前に進み出る庚。
「分かってんじゃねぇか!」
そう言って、対峙する四天王。
不動は顔に凄みをきかせると、ゆっくりと拳をボキボキと鳴らした。
「ちょっと! いくらなんでも数が違いすぎるわ」
「私たちは、逃げませんよー?」
焔と双葉もなんとか食いつこうとするが。
「そこまでよ!」
その瞬間、鋭い声が割り込んだ。見れば1人の女性が立っている。
「邪魔をするか!」
そう言って、吠える不動。
「あったりまえよ! ここはみんなの学校なの! 問題起こすならよそでやってよね」
「ンだと、誰だこの女!」
そう言って不動が殴りかかろうとする、そのときだった。
「私は寝子島高等学校理事長、桜栄 あずさよ!」
ビクゥ! とその場にいた全員が足を止めてしまうほどの大声であった。
「まったく、あんたたちは仕方ないわね……いいわ、スポーツで決着つけなさい!」
寝子高の3人は首をかしげた。
「ス、スポーツ?」
「そうよ、その名も!
九夜山魔等走行登軍奪旗(くやさんまらそうこうとぐんだっき)よ!」
「「「「「「「はぁぁぁぁぁ?」」」」」」」
訳が分からねぇ、寝子高生たちはそう思った……。
しかし、木天蓼不良四天王たちはその競技の名前を聞いて、それでいいと言わんばかりに頷いたのであった……。
……イヤホォォォォォォォウ! コホン失礼しました。
という訳でじんのがお送りする不良シナ二回目。
みなさん、ボァタルテ!
てなわけで元気に行ってみましょう!
今回は九夜山魔等走行登軍奪旗(くやさんまらそうこうとぐんだっき)をみなさんに行なってもらいます。
トンデモ本の『寝子島闘争の歴史』(寝子島文庫刊)によれば
起源は寝子島武士の訓練行事であったとされており
山の下の麓(F9)から山の中腹(F7)にある、落神神社まで
攻撃側が一気に走り抜け、相手の陣地にある旗を奪取すれば勝ちという寝子島の伝統スポーツである。と書かれています。
また、守る側は、相手を全滅させるか、六時間守り抜けば勝利です。
元は武士の体力訓練であるため、奪取するための手段は
刀、弓、薙刀、小刀の使用が認められていましたが
今回は、改訂により、大小木刀、弓(矢じりの使用不可)、木刀の薙刀など
非殺傷物の使用のみ認められています。
厳正なるくじ引きの結果、寝子高側が攻める側です。
落神神社のお堂に木天蓼工業高校の旗が立っているので
六時間以内にそれを奪取すれば勝ちです。
つまり、落神神社まで山の中をまっすぐ突っ走って行けばいいのです。
相手は、ものすごくいろいろな妨害を仕掛けてきますので
好きに倒しちゃってください。
次に四天王の情報です。
彼らはそれぞれの特性を武器に立ちはだかってくるでしょう。
また、どこからともなく雑魚たちが湧いている状態です。
さて、肝心のボス級ですが。
●北四天王 北山不動(ほくざん ふどう)
ワイヤーと鎖鎌の使い手、打たれ強く、歴戦の喧嘩屋。
今回は、鎖鎌は使えなくてしょんぼりしています。
リーダーポジとして四天王を引っ張っています。
また、かなりのパワーを持っています。
何やら大量の木刀サイズ以上の大きな木材を用意させているようです。
「オレの名は北山不動(ほくざん ふどう)! 木天蓼不良四天王の一角だ!」
●南四天王 南破飛翔(なんぱ ひしょう)
優男で、普通のとき女性に優しい。が、闘争となれば話は別です。
空高く舞い上がり、自身の脚力を持って敵を打ち据える。
カポエラなどキックに特化ており、かつ頭のそれなりに良い。
普段は参謀的なポジションに落ち着いています。
「木天蓼不良四天王、南破飛翔(なんぱ ひしょう)よろしく、寝子高のお嬢さん? ふふっ」
●東四天王 東臥纏(とうが まとい)
四天王紅一点。ギリシャのトーガのようなものは趣味。
合気道と柔術をやっているのか、相手を受け流して叩きのめすことに特化しているらしいです。
狭い道での防御などが得意ではあるが、前に出るタイプでもある。
また、殺さない程度に針や目潰しなども平気で使ってきます。
「あたィは、東臥纏(とうが まとい)、喧嘩とメシと血が何より好きでね。こいつはヤりがいがありそうだよ」
●西四天王 西鬼末(せいき まつ)
西洋の兜をかぶった男。甲高い声で喋る。
火を噴くなど器用に大道芸系の技を使ったりする。
また、ほどほどに殴り合いもでき、実力は千手丸よりかやや下。
しかし、この男のポテンシャルパワーは千手丸以上といわれており
木天蓼である意味危険な奴と言われている。
「ヒャァ! 俺様の名前は西鬼末(せいき まつ)だ! 俺様の名前を覚えたかぁ!」
※戦いたい場合はアクションにきっちり書いておいてくださいね!