ゲームブックを作ろう！―サンマさんサバイバル―｜リアクション

ゲームブックを作ろう！―サンマさんサバイバル―

●五
　ルーズリーフに書かれたシナリオ原案に響タルトが興味を示した。
「およ？　猫が出てくるお話なんだねー」
　逆巻天野の話に出てくる登場キャラクターは猫やネズミなどの動物たちがメインらしい。
　彼はさっきからチラチラと皆の様子を見ては、自分の書いた文章に手を加えている。
　その意図に気づいた氷雨潤一が、杖を隣の机に立てかけのぞきこむ。
「その動物たち、もしかして……ここにいる皆さんがモデルでしょうか？」
「ええ。まあ……そういうことです」
　皆の特徴を、動物にどうたとえるか。
　桜庭円をしばらく見た後に、彼は文の空白部分に「青いバンダナを巻いた猫」と書き添えた。
（なるほどね～。完成が楽しみ）
　チェシャ猫の意味に気づいた響が、によによと嬉しそうににやけた顔で去っていく。
「面白そうですね。皆さんをモチーフにするその案、自分も試してみてもいいですか」
「ええ、いいですよ。一人で全員分書き切れるか迷ってたところなので」
　書き進めながら、答える逆巻。
「ところで、体調は大丈夫ですか？　さっきしんどそうにしてましたけれど」
「ええ、まあ……寝不足なだけなので大丈夫です、いまのところは」
　ちなみに、その寝不足となった原因は今もこの部屋にいる。

　さかのぼる事数日前。恋愛話にアレルギーをもつ逆巻は、過剰反応を繰り返すあまり、とうとう同僚生に怒られてしまった。
　荒療治と称して彼に与えられた課題は、桃原の描く恋愛漫画のベタ塗りを手伝うというもの。
　友人曰く、これで恋愛嫌いも治るのではないかとのことだったが、100ページ分の単純作業のしんどさに加えて男子と女子がチューしてたり、男子と男子がホニャララしたりなシチュエーションが嫌でも目に入る……かえって悪化しかねない。

　そんな折、耳に入る声。
「やっぱここ、サンマさん×メカサンマさん展開ありじゃない？」
「お、いいねー♪　サンマさんは攻めかなー」
　いつの間にかベーコンレタスな話で盛り上がる桃原と響。
　ぶつんっ。
　逆巻の手元で、音を立ててシャーペンの芯がはじけとんだ。

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＜５＞
　ぼんやり休憩していると、不意にすばしっこい影がわき腹をかすめた。
　走り去る二匹の猫。不思議に思って置いていた荷物をみると、イベントで配る予定だったサンマさんストラップが盗まれているではないか！
「おっと、大変だ！　俺を待ってるファンのためにも、早いとこ回収しなくちゃな！」
　しかしどちらの猫が盗んだのかを君は知らない。
　さて、どっちを追いかける？

　青いバンダナを巻いた猫　→ページ９へ
　リボンを巻いたチェシャ猫　→ページ１２へ
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