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金木犀の招き
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◆三人の秋◆
朝晩の冷え込みを身体で感じる十月の早朝。
いつものように
橘 千歳
とランニングをしていた
御剣 刀
は、ふわりと甘い香りを感じた。
「設楽さんの所の金木犀が咲いたのか」
「金木犀?」
「ああ。この家の……」
千歳に説明しようと、刀が生け垣の向こうを示した丁度そこに、箒を持った小柄な老婦人の姿があった。
「設楽さん、おはようございます。もう金木犀が咲く時季なんだね」
「そうよ。よかったら見に来てね。今年もポプリやジャムを作るし、金木犀のクレープとお茶も出せるわよ」
「クレープ食べられるの? 行きます、友達と一緒に行きます!」
いいよな、と視線をやれば、千歳はちょっと呆れた様子で注意してくる。
「刀君、その言い方だと、まるでクレープ目当てみたいに聞こえるじゃないの……もう、本当に仕方ないんだから。すいません、設楽さん」
「ううん、全然構わないのよ。是非来て頂戴ね」
2人のやり取りを面白そうに眺めていた設楽は、そう言って笑った。
「小山内を誘って来よう。こういうの好きそうだと思わないか?」
「そうね。小山内さんなら、きっと素敵な金木犀の絵を描いてくれそうだわ」
千歳の同意を得て、刀はよし、と頷く。
「ってことで放課後にまた来るよ」
「楽しみに待ってるわ。トレーニング、頑張ってね」
設楽に見送られて、2人はまた神社目指して走り出した。
その日の放課後。
刀と千歳は
小山内 海
を誘い、3人で設楽の家を訪れた。
そろそろ来ると予測していたのだろう。玄関先に出ていた設楽は、3人を嬉しそうに招いた。
「ようこそ。さあ、こっちに入って頂戴」
設楽に案内されて庭を横切るように進んだ奥に、金木犀の大きな木があった。
「金木犀綺麗……それに香りがいいわね」
千歳の言葉に海は何度も頷いて、緑の葉を背景にこぼれんばかりにオレンジ色の小さな花をつけた金木犀を見上げる。甘くて爽やかな香りは近くにいるとかなり強い。
「あまり近いと香りに酔うから、縁側にでも腰掛けていたほうがいいかもしれないわ」
設楽は家の横手を指した。縁側には秋の日差しが当たっていて快適そうだ。
けれど海は縁側には向かわず、スケッチブックを出すと大急ぎで書き付けた。
『このキンモクセイ、スケッチしてもいいですか?』
スケッチブックを見せると設楽は文字と海を見比べ、そして大きく首を頷かせた。
「どうぞ……って、あ、分かるかしら、えっと……こう?」
指で丸を作って見せる設楽に、聞こえるから大丈夫と海は書き足す。
「そう。じゃあどうぞごゆっくり。私はお茶の用意をしてくるわね。もちろんクレープも」
刀を見て付け加え、設楽は台所へと入っていった。
海は早速、絵を描く用のスケッチブックを開き、さらさらと鉛筆を走らせた。
まずは大まかに金木犀の木の形を写し取り、そこに細部を描き加えてゆく。
日に照らされた陰影、重なる葉、可憐な小花。
その隣には、花の部分をアップでもっと細かに。
「花がごちゃごちゃしていて描きにくそうな木なのに、さすがに上手いよな」
刀が邪魔しないよう気をつけながら描かれてゆく絵を見ていると、千歳も刀と並んでのぞき込む。
「ほんと。巧いわね」
海のスケッチの手には迷いがない。
どう描こうか悩むことなく、鉛筆を動かしてゆく。
目が離せなくて、2人してスケッチを眺めていると、そこにもう1つ頭が増える。
「え?」
千歳が顔を上げると丁度目が合った設楽が、ふふっと照れたように笑った。
「2人があんまり一生懸命見ているから、私も見たくなっちゃったの。とても上手なのね。クレープが焼けたけど、もう少し後のほうが良かったかしら」
絵の邪魔になるかと心配する設楽に、海はスケッチの手を止めて、笑顔でスケッチブックを一旦閉じた。
縁側に置かれたお盆に、クレープとお茶が載っている。
「金木犀のジャムとか聞いたことがあるけど、実物を見るのは初めてだわ」
千歳は興味津々にクレープの皿を持ち上げた。
クレープ生地の中にも、添えられた透明なゆるいジャムの中にも金木犀の花がそのままの形で入っている。
「これは直接花を入れるんですか?」
「クレープにぱらぱらって散らすのよ。面白いでしょう」
「はい。それに凄く美味しい……上品な甘さが素晴らしいわ。もしよければレシピを教えて貰えませんか?」
「もちろんいいわよ。クレープを焼くなら金木犀も摘んでいってね。きれいにゴミを取り除いてから洗って、少し風に当てて乾かして使うの」
料理上手な千歳のことだからきっと上手に作るのだろうと、2人のやりとりを聞いた海は思う。
『きっとうまくつくれるよ』
そう書いて見せると、だといいんだけど、と千歳は答えた。
女性陣がそんな話をしている横で、刀はクレープにジャムとクリームをたっぷりとつけ、もぐもぐと頬張っている。
「クレープ美味い! 祖母ちゃん、これ美味しいよ!」
素直というか邪気がないというか……と振り仰いだ千歳は、刀の口元に目を留める。
「ちょっと刀君、口にクリームがついてるじゃない」
「あれ、いつの間に」
「ほんとにもう……恥ずかしいんだから」
千歳は自分のハンカチを出して刀の口元を拭いてやった。
「わっ」
「動かないで。はい、これでいいわ」
「千歳、ありがとう。って、小山内もクリームついてるじゃないか」
刀に指摘されて海は慌てる。千歳と刀の様子に気を取られていた所為で、クレープへの注意が疎かになっていたようだ。
この辺かと擦ってみるがどうやらちがうようで。
「もっと右……逆か、俺から見て右だから左……あ、そこじゃなくて」
見当違いの場所をこする海を見かねて、刀は指で口元についたクリームを取った。
海の頬に血が上る。スケッチブックに書くのさえも恥ずかしくて、海は口の形だけをありがとうと動かした。
「もしかして刀君の彼女さんなのかしら?」
微笑ましげに設楽が尋ねると、刀は即答した。
「彼女じゃないよ。親しい友達だよ」
千歳は笑って設楽に説明する。
「小山内さんとはお友達で、刀君とは同じ剣道部の部員なんです」
「あらそうなの。あんまり仲が良さそうだったからてっきり……」
つられたように設楽も笑う、そんな中、海だけはそっと何も書いていない筆談用のスケッチブックに視線を落とした。
クレープを食べ終わると、海はスケッチに戻り、刀と千歳は金木犀の花を摘んだり設楽と雑談したりして時間を過ごした。
秋の午後に射す日は優しい。
スケッチを終えると、海は絵を皆に披露した。
「凄いな。良く描けてる」
「瑞々しくて、何だか香りまでしてきそうね」
丁寧に描かれた金木犀に千歳も感心する。
これなら大丈夫そうかと海は設楽に、
『よかったらうけとってくれませんか』
そう書いた文字を示す。設楽はあらと海の顔を見た。
「折角上手に描いたのに、私が貰っちゃっていいのかしら?」
海はこくりと頷くと、金木犀を描いたページをスケッチブックから1枚剥がすと、恥ずかしそうに、けれど笑顔で設楽に差し出した。
「ありがとう。金木犀が咲いていないときも、この絵を見たら思い出せるわね」
目を細めて絵を見る設楽に、刀は自分の祖母を重ね見る……とその時、風が運んだのかふと金木犀が強く香った。
香りにつられてそちらを見ると、まるで金木犀が自分たちに笑いかけているような気がする。
(……ああ、そうだな。こんな時間はとても心地良い)
金木犀に同意を返すように、刀も笑いかけるのだった――。
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担当ゲームマスター
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シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月15日
参加申し込みの期限
2015年03月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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