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金木犀の招き
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◆秋の香を手の中いっぱいに◆
ふわっと風に乗って甘い香りが届いた。
かすかな香りだったけれど、
椿 美咲紀
にはそれが何なのかはすぐに分かった。
「もう金木犀のお花が咲く時季なのですね」
匂いに誘われて歩いてゆくと、生け垣のある家の前に着いた。
やさしい香りはまるで、おいでおいでと手招きしているようで、美咲紀はついふらふらと設楽と表札のかかった家の門をくぐってしまった。
引き寄せられるように庭を進んでゆくと、金木犀の木が見える。心逸って走り出そうとしたちょうどその時、美咲紀は縁側から下りてこようとしている設楽とばったり出くわした。
その途端、美咲紀は自分が無断で庭に入ってしまったことに思い当たり、はわはわと慌てる。
「お、お邪魔してます。素敵な金木犀さんですね! あの、お花大好きなのでうっかり近くに来てしまいました。ごめんなさい!」
勢いよく頭を下げると設楽は驚いたように目を見開き、そして微笑んだ。
「うちの金木犀が可愛いお客さんを呼んだのね。どうぞ遠慮無く見てやってちょうだいな」
「はい! ありがとうございます。金木犀の香りが漂うとすっかり秋って感じがしますねぇ」
甘い香りを体内に入れるように深呼吸すると、設楽が笑って生け垣の向こうを示した。
「同じことをしてるお嬢さんが向こうにもいるわ」
言われて見れば、生け垣をはさんだ道路側にいるのは
後木 真央
だ。
目を閉じて金木犀の香を味わうように、両手を広げて何度も深呼吸している。
美咲紀が庭から呼びかけようとすると、真央の隣にまた1人、見知った顔が現れた。
「何してるんだ?」
八神 修
に声を掛けられ、真央は目を開けた。
「あ、修ちゃんこんにちはなのだっ。マーブルちゃんも元気そうでなによりなのだ」
修の連れている三毛の子猫にも挨拶してから真央は答える。
「真央ちゃん金木犀の匂い好きだから、来年また咲くまでの分、一生懸命香りを吸って覚えておこうとしてたのだ」
「多く吸引したからといって長く覚えていられるものでもないと思うが……確かに深呼吸したくなるくらいに良い香りだな」
そんなやりとりが、庭からは良く見て取れる。
「中から外は良く見えるでしょう? 縁側から見ていて、金木犀が好きそうな人を見つけると、声を掛けに行ってるの」
設楽は楽しそうに言った。
「それなら、あの2人にも声を掛けてきてもいいですか?」
美咲紀は許可を取った後、生け垣へと走っていくと、
「金木犀のお庭に来ませんか?」
美咲紀は道路にいる2人に呼びかけた。
「ここ美咲紀ちゃんの家だったのだ?」
真央が驚きを表すように、身をのけぞらせる。
「違いますよー。私もここのおばあちゃまにお招きいただいたんです」
答える美咲紀の後ろで、設楽がにこにこと誘う。
「木の近くは香りも強すぎるくらい強いから、きっと来年まで覚えていられるくらい香りを堪能できると思うわ。それにモイストポプリにすれば花のない時期もいつでも香りを楽しめるわよ」
「金木犀でポプリもできるのだ?」
真央は金木犀のお酒のことは聞いたことがあったけれど、ポプリは初耳だ。
「ええ。他にもクレープやジャムを作ったりもできるのよ。良かったら作っていってちょうだい」
「真央ちゃん作ってみたいのだ!」
すっかり乗り気の真央に修もそうだなと同意し、招きに応じて設楽の家の庭を訪れた。
近づくほどにより一層金木犀の香が強くなる。
「いい香りですね」
修の言葉に、設楽は目を細めた。
「秋って聞くと金木犀が浮かんでくるぐらい、私の中ではこれが秋の香りなの」
甘いけれどどこか切ない香りは、秋という季節によく似合う。
「印象的な香りのわりに、金木犀の花期は短くて。それを留めてみようかと、ポプリやジャムを作っているのよ」
「桂花醤とか?」
「まあ詳しいのね」
ぱっと嬉しそうな顔になる設楽に、ああこの人は本当に金木犀が好きなんだろうなと修は思う。
「家族で中華料理を食べに行ったときのデザートに使ってあったんです。良い匂いだったので何かと聞いてみたら、桂花醤を使っているんだと教えてくれました」
金木犀で作るシロップで、薄めてデザートのシロップとして使ったり、料理の香り付けに使ったりする。塩漬けにせずに作ったものなら、お茶に入れても美味しいのだと。
「それなら作るのは桂花醤にする? かなり花が必要だから、摘むのは大変になっちゃうけれど」
「やってみます」
どうせ作るのなら興味があるもののほうが面白いからと、修は金木犀の前でシャツを腕まくりする。
「それじゃ収穫にかかりましょうか」
「ポプリを作りたいので、お花摘みは私もやります! あ、脚立貸してもらえますか?」
上のほうの花も摘みたいからと美咲紀は脚立を借りた。
美咲紀は脚立に登ると鼻歌交じりに金木犀を摘む。その合間に、
「綺麗な花ですね~、美人さんですね」
と花に声を掛けるのも忘れない。
「金木犀と話をしているの?」
設楽は微笑ましそうに尋ねた。
「お花は褒めてあげると、もっと綺麗になるから。ホントですよ!」
美咲紀は力説して、なおも金木犀に素敵な香りですねーと話しかける。
「お花が好きなのね」
「大好きです!」
返事はもちろん即答だった。
金木犀の花は小さくて、たくさん摘んでも手の中に収まってしまう。それを根気よく摘んでゆくのは手間のかかる作業だ。
丁寧に摘んだ花弁をざるに移し、次を摘もうと金木犀を見上げた修の視界がくらっと揺れる。
遠くからでも分かるくらいの香りを発する花だから、木の周辺の空気は甘すぎるほどに甘い。
甘くて濃厚な香りに酔ってしまいそうだ。
「かなり匂いが強いから、あまり無理をしないでね」
心配そうな設楽を安心させるように、修は答えた。
「はい、今のところは大丈夫です」
今は確かに香りを強く感じているけれど、暫くすれば嗅覚受容体が順応するだろう、と修は判断する。パン屋に入ってしばらくはパンの香りを強く感じるが、どのパンにしようかと選んでいるうちに徐々に鼻が慣れてゆき、あまり感じなくなってくるのと同じだ。
逆に、この濃厚すぎる本当の香りを味わえるのは慣れるまでの間だけと思えばそれも興味深いと、修はまた次の金木犀の花に手を伸ばす。
そうして2人が花摘みをしているとき、真央は縁側に座ってスマートフォンを熱心に操作していた。
「あったのだー!」
目当てのものを見つけると、画面を設楽に向ける。
「真央ちゃんサシェが作りたいのだ! おうちに可愛い布とリボンとかありますかなのだ?」
画面には、三角サシェの作り方、と表示されている。
「サシェ……匂い袋みたいなものかしら」
設楽は一旦奥に引っ込んでから、裁縫箱と端布の入った箱、瓶に入ったモイストポプリなどを出してきた。
「若いお嬢さんが好むような布はないかもしれないけれど……」
箱の中には様々な大きさと形をした布が詰まっている。無地やチェック、小花柄……シンプルな色柄のものが多いがその中に。
「綺麗なのだー」
手触りの良い布に染めや刺繍の柄が入った端布を真央は取りだした。
「懐かしいわ。それは着物をほどいたものなのよ」
サシェならリネンやレースが似合いそうだが、和柄の着物地も一風変わって面白いかもしれない。
「これも使ってもいいのだ?」
「もちろんよ。ここにあってもずっとタンスのこやしになってるだけだもの」
「ありがとうなのだ」
真央は画面と睨めっこするように手順を確認してから、布を裁断し始めたが、あっと気付いて手を止める。
「高校新聞に載せたいから、作ってるとこを撮影させてもらってもいいのだ?」
設楽の許可を取ってから、真央は1つの手順ごとにデジタルカメラで記録を取りながらサシェを作っていった。
布を裁断し、角に吊すための紐をセットしてから袋状に縫い合わせる。
それをひっくり返して形を整え、その中にポプリを入れる。
「ポプリってこれなのだ? お塩が入ってるのだー」
「金木犀は干すと香りがなくなってしまうから、普通のポプリは出来ないの。こうして瓶にお塩と一緒に詰めて、1、2ヶ月熟成させて作るのよ。今年のはまだ熟成していないから、去年作ったポプリを入れましょうね」
そのまま入れると塩がこぼれそうだから、と設楽は綿で金木犀のポプリをくるんでみせる。
「こうすればこぼれにくいと思うわ。密封していないと香りが飛ぶのは早くなっちゃうけど、香りが弱まってきたらお風呂に入れて使っちゃうといいわ。いい匂いがするし温まるのよ」
「バスソルトにもなるのだ?」
それも新聞に書いておこうと、真央はメモに取る。
綿に包まれたポプリをさきほど縫った袋に入れて、袋の口を三角になるように合わせたら、あとはまつり縫いで口を閉じるだけ。
それをちくちくと5個作る。
「でっきたっのだ~っ♪」
5つのサシェを作り上げると、真央はバンザイの体勢で、縁側に寝転がった。
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グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月15日
参加申し込みの期限
2015年03月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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