ある日、天から降ってきた『何か』　その２｜リアクション

ある日、天から降ってきた『何か』　その２

【対策その３　なずけて、つるりんすててん大作戦！（題字：桜庭円）】

「なんかこー、古くない？　もしかして、かっこいいと思ってるー？」
　桜庭円は石や瓦礫をロボットの方に投げつけて注意を引いた。
　その言葉が聞こえたのか、ムキーッ！　という感じでロボットが円の方へと前進する。
（うへーでも、いいなぁ、奥ゆかしき古き良きロボみたいな）
　昔のテレビとかにあったロボットたち、一見すると古いとも言えるデザインだが、古いというだけでださいというわけではない。
　しかし、あえて挑発をする円であった。
　一方、蛇那伊によって見つけられた御剣刀は絶賛瓦礫運搬中であった。
（桜庭、頼むぜ！）
　そう思いつつ、攻撃できそうなものをビルの屋上へと運んでいく。
　高さを利用して、瓦礫を上から落とそうという算段である。
　鉄筋の棒なども探したが、良い具合のものは見つからなかった。
　みれば、確実にロボットと自分たちの居るビルとの距離は縮まってきている。
　円が持ってきたビニールシートが進路に敷いてあり、うまく片足を取って転ばせることが出来れば、と刀は思った。
　ロボットの頭が動き、何かを探すように周りを探る。
「こっちだ！」
　すかさず刀は、持っていた投げれるサイズの瓦礫をロボットに向けて放り投げた。
　すると、かきん！　という音がしてぎょろりとロボットの目が刀へと向けられる。
「……こんにちは？」
　UGROOO！！
　うなり声と共に、一歩ずつ刀へと目標を変えるロボット、足下付近にいる円に目もくれず、ロボットは空へ飛ぶために止まろうと、ビルの前で減速した。
　青いビニールシートをロボットはとらえてはいたがロボットにとって些事であったことが幸いし、そのままビニールシートに片足を取られそのままつんのめるようにビルへと突っ込んだ。
　しかし、そのビニールシートの近くに来ても円は動かない、倒れるぎりぎりまで相手の動きなどを確認しておきたかったのだ。
　それは、ビルから降りようとした刀の足を一瞬止めさせる。
「……あれ？　あいつ動かないぞ。おい、桜庭！」
　刀が声をかけるも、減速しているとはいえロボットはすさまじい勢いで刀のいるビルへと突っ込み、【加速】を使って脱出しようとした刀ではあるが、そのままビルの倒壊に巻き込まれた。
　バックパックから炎が吹き出され、飛ぼうとする浮力がそのままビルに激突した。
　ビルは、一瞬にして倒壊する。
（それにしてもこの中にパイロットは居ないのか？　居たとしたら……）
　ここで刀の思考は中断されている。
「しまった」
　円はビルの中に飲まれた刀を見ていたが、ロボットが転んでいる最中でありその待避に全力を使っていたため助けに戻れなかった。
「よし、倒れた！」
　と、ぎりぎり避けた円は、あるものを発見する。
　足のちょうど足首の部分にあたる装甲は薄く何枚かの金属で覆われているが、その間は無理矢理入れば人間でも入れそうなことに……。
「……チャンス、到来？」
　円は熱風を瓦礫で避けながら、もがいているロボットの中へと侵入した。