ある日、天から降ってきた『何か』　その２｜リアクション

ある日、天から降ってきた『何か』　その２

【対策その１　直接殴ってみる（物理）】

「始まってそうそう空に行くとか……勘弁してくれ」
　ため息をつきながら、八神修はロボットの飛んでいった方向を見上げた。
　飛行機雲や煙がばらまかれてたちまち姿は不鮮明になる。
　だが、彼には彼の思惑があった。
「……頼んだぞ」
　そう言って、1つめの作戦がうまくいくことを祈った。
　その頃、上空では絹織真由良を抱えた音羽紫鶴が上空へと舞い上がっていた。
「取り付けるかどうか分からないけど……やってみないとね！」
「とりあえず、追いついたらあとは何とかするわ！」
　風を受けながら叫ぶように会話をする。
　現在、紫鶴はろっこん【雲中白鶴】にて飛行能力を得て飛行中である。
　ちなみに、真由良を下に抱えるように飛んでいる。
　数秒もすると、空中で旋回したロボットが地上のビルの方へと突っ込んでくるのが分かった。
　もちろん、このまま行くと自分たちともぶつかるであろう。
「すれ違いざまに放してちょうだい！」
「わかった！」
　ロボットを避けつつ、背後に回り込むとそのまま紫鶴をロボットの近くまで少しずつ寄せていく。
　ロボットもぐんぐん地上へと向かっていく……。
　ちょうどあと少しで地上のビルだというところで、ロボットの背中に追いつく。
「今っ！」
　紫鶴は真由良を離し離脱。
真由良は空へと飛び出した。
「こっち向けよ……ブリキ野朗おおおおおおおっ！！」
　本来の口調に戻って真由良は叫ぶ。
　空を落ちながら目を閉じ、そして開けるとろっこん【HARDMETAL　PHENOMENON】が発動し、3メートルほどのロボットへと変身する。
「うらぁぁぁぁっ！」
　ロボットの背中へとそのままパンチを放つ真由良。
　ちょうど、バックパックのあたりにガキィンという金属が衝突しこすれるような音が響き、ほんの少しだけひびが入る。
　GRORORORO……。
　低く響き渡るようなロボットの声のような者が聞こえる。
　そのままビルにロボットは衝突し、真由良は振り落とされる。
「ちっ……」
　そして、瓦礫を振り払うかのように立ち上がるロボット……。
　そのままロボットに真由良は正面から足を集中的に狙っていく。
　まずは、立ち上がる直前に頭部に思いっきりストレートを、次に胴部を叩く。
　ガキィンッ！　ガキィンッ！　ガコッ！
「……なんだこの堅さは！　……ちっ、関節の装甲さえなきゃダメージが通りそうだな。その前に！」
　真由良は、舌打ちをして、そのままひびが入っているバックパックを回り込んで攻撃しようとするも……。
　がこんっ！
「みぎゃぁぁぁぁぁっ！」
　ロボットの繰り出したパンチがクリティカルヒットし、そのまま空高く舞い上がっていった。
　きらり、と昼だけど星が見えた。きっと錯覚に違いない。
　真由良、星になる。（完）

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