ある日、天から降ってきた『何か』　その２｜リアクション

ある日、天から降ってきた『何か』　その２

【対策その５　とりあえず、電波について考察してみる】

「こっちだ！」
　修は肩で息をしつつ、銀丸を呼び寄せる。
　その様子を見つつ、記士郎は逆にロボットへと近づいていく。
「さて、ものは試しということで」
　ポケットから取り出したのは単純に趣味で購入したおもちゃのラジコンヘリのコントローラー。
　電波を発して、操縦するタイプであるが……。
「どれ？」
　ぴぴぴ、と先端が光り電波を発するが……。
「ッ！？」
　ばちり、とコントローラーに電流が走り、思わずコントローラーを取り落としてしまう記士郎。
　そっと、ロボットの方を見ると、バックパックが壊れた場所からびりびりとなにやら怪しげなエネルギーが発している。
（どうやら、バックパックが壊れたついでに磁場の発生装置もおかしくなったのかもしれません。ひょっとして今のコントローラーで壊れましたか？）
　さらにじりじりと近づいていく。
（背中に背負っているのが飛行用の燃料タンクなら、燃料が尽きるまで高く上がってもらい、そして墜落させるしかないですが……燃料タンクではなかった。つまり、何かしら別のモノを燃やして空を飛んでいたということ……）
「あっ……！」
　がつん、と衝撃で我に返った記士郎。
　どうやら瓦礫に躓いてつんのめったらしい。
「……」
　上を見上げると、ちょうどロボットがずーんと立ちはだかる。
「……不覚」
　と思った瞬間、横合いから車が横切る。
「入るのだ！」
　それは、なんと車にのった後木真央であった。
　しかも、記士郎が乗っていた軽のワンボックスカーである。
　本人は鍵を閉めていたと思っていたのだが、踏みつけられそうになったことでどうやら締めたつもりになっていたらしい。
（……）
　記士郎の中にありがたいような、あとで小言を言いたいような感覚が芽生える。
　なお、真央としてはサイドブレーキなどをいじって、後ろからロボットの足の下に車が滑り込む進路を取らせるという作戦だったが、円と刀のビニールシートが先手を打ったためそれを断念し、次の機会をうかがっていたところだったのだ。
「助けていただいて感謝します。……車、返してもらって良いですか？」
「ふぇ？！　お兄さんの車なのだ？　ご、ごめんなさいなのだ！　け、けけけけ決して壊そうとかそう思ってないのだ！」
　とりあえず、最初に感謝の言葉が出てきた記士郎は、ゆっくりと言った。
　慌てて弁明するように言い訳する真央。
「……さて、とりあえず運転手交代ですね？　学生さん……まだ早いですよ？」
　記士郎は真央を見据えてにっこりと笑った。
　ただし、顔だけである。
「……はい、なのだ」
　こうして、真央と記士郎は戦線離脱となった。
「リアルニャンダムなのだ～！　真央も戦うのだ！」
「……」
　なお、その後あれはニャンダムと言う真央に別のロボット作品の良さを吹き込むのを忘れなかった記士郎である。

　その後ではあるが……。
「ちなみに、どう使うつもりだったんですか、車？」
「足元目がけアクセル踏んで、真央はドアから飛び出すのだ。ロボットの足元に車が飛び込む状況を作り続けるのだ！」
　記士郎が聞いて真央が答える。
「見れば分かると思いますけど、蹴られてひしゃげて終わりですよ？」
「バナナっぽくすべらないのだ？」
「私がロボットだとしたら近づいてきたところを手で掴んでから、ぐしゃり、です。もしくは、近づいて来るところを缶蹴りみたいに蹴り上げて終わりですね」
　嘆息しつつ、あきれて言う記士郎。
「非常時だから多少は仕方ないとは思いますが、小さいところに逃げ込むのは今回は圧倒的に不利なのです」
　分かりましたか？　という記士郎に真央はふえーと分かったか分かってないか分からない反応を返すのであった。
　

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