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鍵のない部屋で
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左右から降りかかる薄や伸び放題の紅葉の下を潜り抜け、真央は引き戸の前に立つ。格子に曇り硝子の嵌った引き戸は見るからに古く、ちょっとやそっと押したくらいでは開きそうになかった。それでも、
「不法侵入お邪魔しますなのだ~……?」
声を潜め戸に手を掛けた途端、侵入者を歓迎するかのように、戸はほとんど音もなくあっさりと開いた。
タイル敷の古い三和土には履き古した運動靴と革靴が一足ずつ。作りつけの木製の靴箱の下にも、いつ置き捨てられたのかも分からないサンダルや子供靴が何足か。
過去に人が間違いなく住んでいた形跡を目にした途端、真央の中にあったNMR取材魂が急速に萎む。ここに住んで居た人たちはどこに行ってしまったのだろう。
「グレちゃん……?」
外に満ちる黄昏の光よりもずっと暗い闇に占められた廊下に向け、真央は小さく声を掛けてみる。応えはない。もしかしたらもっと奥の方に進んで行っているのかもしれない。
木造二階建ての家屋は、外から見たときよりも随分と広い様子。玄関口で小さな声で呼んだだけでは、家の奥にいるかもしれない日暮にはきっと聞こえない。
「お邪魔しますなのだ……」
靴を脱ぎ、埃塗れの壁にうっかり触ってしまいながら廊下に上がり込む。踏み出す度にぎしぎしと抜けそうに危うく軋む木床に怯えつつ、歩を進める。
雨戸が閉ざされた真っ暗闇な畳の間の奥に放置された日本人形に悲鳴を飲み込む。廊下の床に転がった首なし布人形に涙目になる。最奥の間と廊下を隔てる障子に蝋燭らしい光が恨めしげに揺れるのは、――見なかったことにする。視線を傍らの階段に移したところで、二階の床を不気味に軋ませる重い足音を聞き、真央はとうとうその場に凍り付いた。
背筋を凍らせ冷や汗を流し、それとは反対に口から飛び出そうなほどに激しく脈打つ心臓を押さえ、
「グレちゃんなのだ……?」
震える声をどうにか放って、
「ああ、そっちか。待ってろ、今行く」
聞き慣れない男の声にもう一度身を凍らせる。重たい足音が階段に近づくも、膝が震えて逃げることも叶わない。
なんとか勇気を振り絞って階段上を見上げれば、二階から顔を覗かせたのは、黒髪短髪の大柄な男。大きな黒い眼にも、寝子高制服に包まれた百キロ越えの巨体にも生命力が満ち満ちている。どこをどう見てもお化けの類には見えない人の姿に、真央は強張っていた顔を輝かせる。
「良かったのだ他にも人……」
思わず伏し拝もうとする視界の端、見ない振りを決め込んでいた最奥の部屋の障子が音もなく開いた。暗闇に赤い光がぼうやりと揺れる。
「……ヒィッ!?」
悲鳴あげて飛び退り、何もないところで躓いて転んでついでに前転して、真央はその場に頭を抱えて蹲る。
「ごめんなさいちょっと人を捜してただけなのだー!」
両手を合わせて拝む真央に向け、奥の部屋からゆっくりと足音が近づく。
「私の他にも訪問者がいるとは思っていましたが」
落ちついた深みのある男の声に、真央は恐る恐る顔を上げる。
「人捜し、ですか?」
廊下の暗闇にランタンで出来た大きな影をゆらゆらと揺らし、長身痩躯の中年男性が楕円眼鏡の奥の灰色の瞳を温和に笑ませて立っている。
「大丈夫か?」
「ありがとなのだ、だいじょぶなのだ」
階段を駆け下りて来てくれた男子生徒に笑いかけ、目前に立つ中年男性にも笑いかけ、真央はちょっと恥ずかしげに立ち上がる。
「真央ちゃんは
後木 真央
と言うのだ」
暗い廃屋内で屈託のない挨拶をする明るい瞳の少女に、男子生徒と中年男性は短い笑みを交わす。
「
都築 弦一郎
だ」
「
久須部 紀伸
と言います。少々スケッチに来ていましてね」
男子高校生に続いて名乗って後、紀伸はランタンを掲げて踵を返す。恐れ気のない足取りに勇気づけられた真央と、カツ丼がぎっしり詰まった大袋を片手にした弦一郎が続けば、案内されたのは最奥の部屋。
開いた障子を潜った直後、
「うわ」
「おお」
真央と弦一郎は息を呑む。
床の間を奥にした二十畳はある広間の一角、写真とも見紛うほどに緻密に書き込まれた絵が十数枚も散らばっている。
「次の仕事が和風ホラーのデザインでしてね。資料にと」
楕円眼鏡にランタンの光を怪しく反射させ、紀伸は散らかした紙を拾い集める。
「やはり実物を見て描くのが一番ですね」
居間に取り残された日本人形、薄暗い風呂場、割れた茶碗が散乱する台所。黄昏の光もほとんど差し込まない廃屋の中、ランタンの光だけを頼りに描かれた緻密なスケッチは、そこから何かが這い出て来そうなほどに鬼気迫るものがあった。
「すごいのだ」
「いえいえ、アナログでお恥ずかしい」
恐ろしげな絵を描くとは思えぬ和やかな表情で、紀伸は灰色の髪を掻く。
「充分に資料が出来ました。私は帰りますが、貴方がたはどうしますか」
紀伸の言葉に、真央と弦一郎は顔を見合わせる。
「クラスメートの奴らがここに入るのを見たんだが、捜しても誰も居ねえし」
「真央ちゃんも、グレちゃんならあんなに無視しない気がするのだ」
互いに互いの事情を吐露して後、
「もしや完全無欠の勘違い不法侵入なのだっ?」
真央が頭を抱える。片付けを終えた紀伸がおっとりと微笑む。
「確かに不法侵入ですねえ」
「ばれる前にお暇しなきゃ……」
「では、さあ帰りましょう」
高校生二人を連れて外に出るべく、紀伸が灯を開いたままの障子に向けた、その瞬間。
帰らせてなるものかと言うかのように、勢いよく障子が閉まった。
「ぎゃーっ!?」
真央が目を閉じて絶叫し、唯一の光持つ紀伸に思い切りしがみつく。
「ど、どうなってんだっ!?」
「……これはこれは」
流石に焦った声を上げる弦一郎に真央を預け、紀伸はたった今何者かによって閉ざされた障子の前に立つ。障子に手を掛け全身に力を込めるが、
「……ん、動かない」
内心の困惑を微塵も感じさせない冷静な呟きに、けれど真央と弦一郎は焦る。焦りに焦る。
「開かないのだっ!?」
「ろっこんか! ろっこんなのか!? どこも開かねえ、やべえ、いつ出れるかわからん……!」
「これは困りましたね、他の出口を探さなければ……」
真央は開かない障子にタックルをかましては弾き飛ばされ、弦一郎は雨戸で閉ざされた窓を叩きながら喚き、紀伸は広い座敷を歩き回る。
ろっこんの存在を知らぬもれいびである紀伸の身に宿ったろっこんが発動し、紀伸の身から少女の幽霊が現れるが、その場の三人は誰も気づけない。
「障子に! 障子の向こうにぎゃー!」
障子に貼り付いていた真央が悲鳴を上げ、擦り切れた畳にダイブして頭を抱えて丸くなる。呼ばれた紀伸と弦一郎が障子を見れば、ランタンの光に照らされて、障子に映る日本人形の影。
ひたひたと裸足の足音が障子の向こうの廊下に響く。ピシリピシリ、家中の天井や柱が不可思議な力で打ち鳴らされる。紀伸のろっこんによって召喚された幽霊少女が、存在に気づいてくれない紀伸の力になろうと雨戸で閉ざされた窓を開こうとガタガタと窓を揺する。それが出来ないと悟るや否や廊下に佇む日本人形と友達になろうと座敷をドタバタと駆けて障子を開こうとする。
「ふ、古い家だから家鳴りがあっちこっちから反響して響くのだ、あは、あはははは」
「……か、カツ丼の切れ目が俺たちの切れ目……!!」
なにかの糸が切れたように笑い出す真央の隣に膝をつき、弦一郎はずっと大事に提げ続けていたカツ丼の袋を下ろす。俺がしっかりしなければ、と錯乱する真央の前に一杯のカツ丼を置く。
「カツ丼で生き延びるぞ!」
現状をサバイバルに持ち込もうとする弦一郎を頼もしく思いながら、紀伸は驚愕のまなざしを周囲に向ける。
(これは拙いかもしれませんね)
周囲に巻き起こる怪現象に、目に見えないナニカに取り殺されるかもと怯えるも、それは気持ちの半分。もう半分は、これを絶好の機会と捉える。
(今の私はまさにホラー作品の登場人物と同じだ)
そう思ってしまえば、紀伸の瞳は好奇心と歓喜に輝いた。
(ならば感じるままに描けばホラーそのものが描けるはず!)
嬉々として仕事道具を取り出し、揺れる障子やその向こうに蠢く日本人形も、闇が凝り固まる座敷の真中で恐怖する少女も、皆を守ろうとその場に仁王立つ少年も、それこそ憑依されたように夢中になって描き始める。
混沌を極めるその場に、唐突に明るい音色が響き渡った。
「ぎゃー! ぅうっぎゃーっ!」
亀のポーズをしていた真央が全身全霊で悲鳴を上げて立ち上がる。ポケットで鳴動するスマホを取り出し、
「な、何で今鳴るのだぎゃ~!?」
画面も見ずにぶった切る。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月01日
参加申し込みの期限
2015年03月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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