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『修ちゃん今何処なのだ!?』
着信に気づいてスマホを耳に当てた途端、元気良すぎる声で喚かれ、
八神 修
はちらりと眉を顰める。いつも通りな親友の声に、耳元からスマホを離しながらも小さく笑い、もう片手に持っていたコーヒーカップを傍らの硝子テーブルに戻す。
「植物園だよ」
『……え、植物園?』
「そう、星ヶ丘の」
考え込んで黙りこくる電話の向こうの気配に、修は黄昏の色に染まる植物園の一面の窓へと視線を流す。
どうかしたのか、そう聞くより先、
『分かったのだ』
真央は何か決意したような声を返してきた。
『それなら真央ちゃん一人でNMR取材に行ってくるのだ~!』
「一人で――」
大丈夫か、言うより前に電話が切れる。通話終了の画面を見下ろし、勇敢なくせに怖がりな親友を思って修は唇を引き結ぶ。
穏かに温かな植物園内のカフェに設けられた藤の椅子から腰を上げ、テーブルに広げていた問題集を閉じる。鞄の中にペンケースと問題集を仕舞い、席を離れる。
「ごちそうさま」
温室の中央を占める蓮池に渡された煉瓦造りの橋を渡り、出入り口の扉脇にあるカウンター内に立つ店員にコーヒーの代金を支払う。黄色い煉瓦の小路を通り、茉莉花のアーチを潜る。温室内から外へ出ようとして、
「……ん」
手を掛けた扉が押しても引いても開かないことに気づいた。瞬きひとつだけで動揺を隠し、鍵が掛かっていないことを素早く確かめる。
「どうかしたかい?」
背後から掛けられた声に振り返れば、立っていたのは柔らかな金の髪と温和そうな菫色の瞳した青年がひとり。
「ああ、いや、……」
修は言葉を濁し、周囲に視線を走らせる。然程広くはない温室カフェに寛ぐ客は二三人。カウンター内の店員も、カウンター席に掛ける客も、この突然の密室には気づいていない様子。
「少し、歩きましょう」
花と緑に溢れる静かな空間を壊したくなくて、修は声掛けてきた大学生らしい青年に何でもない風を装い微笑む。
高校生と思しき少年の、けれど高校生らしからぬ大人びた笑みに感ずるところがあったのか、青年は訝しむように瞬いて後、ゆっくりと頷いた。
黄色い煉瓦道を戻り、茉莉花のアーチを潜り、蓮池の石橋を渡る。ハイビスカスや極楽鳥花の鮮やかな色の前、他の人々に声が届かない場所に至って、修は足を止める。
黄色い煉瓦道を離れ、緑の内に隠された小さな通気窓に手を掛ける。
「矢張り開かない」
「嵌め殺し、というわけでもなさそうだ」
窓を開こうとする修の動作を窺いつつ、金髪の青年は落ち着いた声で応じる。
「扉も、開かなかったのか」
問いかけと言うよりは確認する口調で言われ、修は平静な瞳の色を失わず顎を引く。
温室に閉じ込められた状況を確定させて、けれど修の唇に浮かぶのは微かな笑み。
「『寝虚学研究会』なら焼死体がみつかる流れだな」
いつだったかに読んだミステリーを思い出してふと呟けば、
「……狂った赤い猫の夢は見るかい?」
菫色の瞳を悪戯っぽく笑ませ、青年が応じた。
「いえ、残念ながら」
偶然居合わせた青年が同じミステリーを読んだことがあると知って、修は楽しげに瞳を細める。
「
八神 修
と申します」
「
五十士 柊斗
だ」
互いに名を名乗りあい、肩を並べて温室内を巡る。
椰子と羊歯の向こうの窓も、ハイビスカスとブーゲンビリアの植木に隠れた裏口も、どれひとつとして鍵がかかっておらず、どれひとつとして開かないことを確かめて後、ふたりはライオンを模したベンチに腰を下ろす。全面窓から流れ込む夕陽を浴び、翠の宝石の色して艶やかに輝く植物を眺める。
「ここが密室になったというだけで、他に異変は起こっていないみたいだし」
天井から吊り下げられたベゴニアの深紅に視線を奪われたまま、危険もないようだ、と柊斗は安堵の息を洩らす。
「おそらくは神魂の怪異、ですね」
「……だね」
異変の中にあって落ち着きを失わない年下の少年に、柊斗は淡く笑み返す。
「暫く様子を見ましょうか」
「なら、少しの間密室について話をするのもいいかもしれないな」
修の提案に同意し、柊斗はライオンの背から立ち上がる。カフェのカウンターでコーヒーを二杯頼み、小さな卓を挟んでゆったりとしたソファが二脚置かれた席に二人で移る。
「半日たっても解消されなかったら俺がなんとかしますので」
「頼りにしてるよ」
心強い発言をする修に柔らかな笑みを向け、柊斗は不可思議な力で密室となった温室で、それを知らずに寛ぐ他の客を見遣る。彼らが事態に気づくよりも先に、この気紛れな密室状態が解けると良いのだけれど。
見たところ、どのお客も読書や長話に興じている。しばらくは心配はいらなさそうだと見当をつけ、柊斗は相席となった頭の良さそうな少年に目をやる。
密室についての話をしようと持ちかけたはいいものの、さて、何から話をしようか。
(洋書のミステリとか読んだっけなあ……)
あまり本を読まないはずの、英国人の母が何故か持っていた分厚くて重たいハードカバーの洋書を思い出す。一時期、ミステリにのめり込んでミステリと名のつくものは片端から読みふけった頃に読んだ、その本。
後から母に聞けば、押し花か何かの重石用に使っていたと悪戯っぽく種明かしをしてくれたのだけれど。
その時期があったからこそ、読書家というほどでもないにしろ、ミステリの知識はほどほどにはある。
「お待たせしました」
店員が熱いコーヒーを届け、ごゆっくりどうぞとお辞儀して去る。
夕暮れに煌々と光灯す温室のカフェで、柊斗と修はまるで探偵のように笑みを交わす。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
オールジャンル
定員
15人
参加キャラクター数
15人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月01日
参加申し込みの期限
2015年03月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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