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【二重の約束】
津軽 寂
は、一回りも年上の彼、この画家先生の隣を歩くだけで、何だか浮き浮きと、心が躍りだしてしまう気がするのです。
「まあ、可愛らしい。見てください先生、マーガレットですわ」
「ええ、本当に。可憐な花ですね」
白い花びらに寄せた目線。眼鏡の奥で細まる、
夕凪 識
の瞳。
彼の横顔を眺めていると、自然と寂の頬もほころんで、笑顔がこぼれてしまうのです。
「マーガレットの花言葉、先生はご存知ですか?」
「いいえ。何と言うんです?」
問いかけた彼に、にっこり。彼女には、このマーガレットの花に、ひとつ浮かんでくる思い出がありました。
「『恋占い』。幼い頃は良く、憧れていたものです……素敵な殿方へ思いを馳せながら、この花で恋占いをすることを。『好き、嫌い、好き』、なんて」
そう、まるでいつか見た絵本のように。恋に焦がれる少女のように。小さくて、たおやかで可憐で、ロマンチックな白い花。
見渡す限りのマーガレットの園で、物憂げに摘んだ花の花弁を一枚、また一枚。
彼は、私のことが好き? 嫌い? 好き? 嫌い……。
「そうして、最後に残った花びらの一枚は……、はっ?」
「ふふ……」
気付けば、すっかりと自分の世界へ浸っていた寂の顔を、ついと識が覗き込み、笑みを浮かべておりました。
「も、申し訳ありません。私ったら、つい……」
「いえいえ。そういうところも、寂君の可愛らしいところですよ」
「まあ」
冗談めかしたそんな言葉に、思わず、ぷ、と吹き出してしまいます。この先生は時折、こんなふうに意地の悪い顔をして、寂をからかうことがありました。それがまた、寂には楽しかったりするのですけれど。
「……あら、すっかり目的を忘れておりましたわね」
「そうですね。では、よろしくお願いしますよ、寂君」
改めて、寂は本来の目的……つまりは、識の家の庭に植える素敵な花を選ぶという、彼のお願いにばっちりと応えるため、張り切って歩き出しました。
淑やかで物腰穏やかで、それでいて天真爛漫な明るさが魅力的なこの女性が笑うたび、識は、少しばかりの罪悪感を覚えます。
(この純粋さに……胸が痛む)
園芸市にて、自宅の庭に植える花を選んで欲しい、と彼女を誘ったのは、識のほうでした。
つまりはそれは、口実なのです。寂の好きな花が庭にあれば、彼女を家へと呼ぶ理由付けになる。そんな口実を欲したからこその、今日のお誘いなのです。
識の下心を知ってか知らずか、寂はあくまで純粋で、親切でお人好しで、そして無邪気に見えました。だからこそ彼は、言わばそこへ付け込もうという自分の邪念を恥ずかしく思い、心の内で少しばかり、悶えるのです。
「ああ、どの花もとても綺麗。見ているだけで、癒されますわ。ね、先生?」
「ええ……そうですね、寂君」
彼女がそっと、店先の花に手を伸ばして触れるたび。花弁を優しく指先でなぞるたび。識の目は、そこへ吸い寄せられてしまうようです。
かつて識は、あの細く白い指に、触れたことがありました。
思い返せば、酒の席での出来事ではありました……けれどあの時、寂は識の両手をきゅっと掴んで、彼を見上げたのです。
上気した頬。ぽつり、紡がれた言葉。交わした約束……。
「……先生? どうかなさいました?」
「ああ……いえ。何でもありませんよ。少し考え事を……」
と。識は、目の前の寂が掲げた両手の中、手のひらにそっと包まれた、目にも鮮やかな花苗を見つけました。
「お庭に植えるお花を、選びましたの。コスモスですわ……ふふ、少し少女趣味かしら?」
そう言って笑う、やっぱり明るくて、純粋な彼女の笑顔。
清楚で可憐で、けれどいっぱいに広げた花弁の、確かな存在感。そっと傍らに寄り添いながら、笑顔をふりまき周囲を柔らかく和ませる……まるで彼女そのものを表すかのような、赤と白のコスモス。
「私の感謝と、『真心』を込めて。きっと、お庭に映えると思いますの。いかがですか? 先生」
微笑みながら、じっと、真っ直ぐに向けられた瞳。
コスモスの花言葉は……そう。それは『乙女の真心』であり、『調和』であり、『謙虚さ』であり。白い花びらは、『純潔』の象徴であり。
そして、鮮やかに色めく赤いコスモスが表す、秘めた言葉は……。
(ああ……そうか。そうなんですね)
識は、胸に刺さった棘のような罪の意識が、するりと解けていくのを感じながら。そっと、彼女の選んでくれた花を受け取りました。
並んで歩きながら、ずっと謝っておきたかったことがあったのだと、識は切り出しました。
「あの時は若いお嬢さんに、いささか飲ませすぎてしまいましたね。すみませんでした」
「いえいえ! お気になさらず……むしろ、その節はお世話になりました」
酔いが回って、彼の肩へしなだれてしまったこと。その後、彼に自宅へ送り届けてもらったこと……そんなあの夜の記憶が思い出されたのでしょうか。寂の頬はほんのりと朱に染まり、けれど明るく、識へ笑いかけます。
「とっても楽しかったですわ。あの日も……それに、今日も。とっても!」
「それは何より。それから……約束のことは、覚えておられますか?」
識もまた、思い出しているのでしょう。
酔いに任せてついつい口走ってしまった、とある約束を。
「覚えておられないなら、良いのですが……」
「いいえ。もちろん、覚えておりますわ!」
得意げな寂に、識はちょっぴり、照れ笑い。お酒の席での口約束でしたけれど、彼女はしっかり覚えていたようです。
「そうですか。では……あらためて、お約束しましょう。あなたの絵を、いつか描くと」
そう言って、うなずきながら。識はふいに、ぽん、と寂へ何かを手渡しました。
「先生? これは……」
それは、鉢でした。いくつも花開いているのは、薄桃色のルクリア。
「寂君にはやはり、青が似合うとも思いましたが……だからこそ、既にいくつも、君の周りにあるのだろうと思いましてね。あえてひとつ、新しい色を差してみました」
「先生……」
喜びに染まっていく、寂の顔を眺めて。
「この花を、約束の証に。時々、君のところへ見に行かせてくださいね。そして君には、私の庭に咲くコスモスを、どうか見に来て欲しい」
識は、そう告げました。
ただの口実であったはずの花は、今や二人を互いに結び続ける、想いのこもった約束の象徴でした。
「……はい! お宅にお伺いするのを、楽しみにしておりますからね」
片手に抱いた、ルクリアの鉢の重み。寂はもう片方の手を伸ばして、コスモスの苗を抱えた識の片腕、その反対の空いている手に触れて……きゅ、と小指と小指を、絡ませて。
「お花も、絵も。約束ですよ、先生?」
「ええ。約束です」
交わした指切りの、柔らかくあたたかな感触に、二つの笑みがこぼれました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年02月15日
参加申し込みの期限
2015年02月22日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年02月22日 11時00分
参加キャラクター一覧
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