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【演目その17 『人魚姫』(1)】
本番当日。
八神 修
と
飛吹 勘助
は、照明や音響などの演出装置の操作を再確認しています。
「事前にレクチャーを受けておいて、正解だったな……」
「うん……いきなり、だったら、混乱してた……かも」
二人とも、舞台の上で役柄を演じるほか、演出効果なども担当しており、今日は大忙しなのです。そのため修の発案のもと、事前にこの劇場のスタッフさんに指導を受けていたのでした。
こうして本番を迎えたからには、その甲斐はあったと思わせたいところ。
まだ始まっていない舞台の上には、寝子島映画村からレンタルすることで組みあがった、見事なセット。こちらの交渉もまた修によるもので、その手際の良い手腕には、勘助は舌を巻いたものです。
セットの真ん中には、深く、静かに、役柄へと自らを浸そうとするかのように佇む、
花風 冴来
。主演を務める彼女がこの劇に、並ならぬ熱意を注ぎつつ練習に没頭していたことを、二人も知っています。
「……絶対……成功、させないと」
「そうだな、全力を尽くそう。大丈夫さ、きっと上手くいく……絶対に!」
やがて、幕が上がります。
静かに、ゆっくりとした足取りで現れた司会者さん。手には、一冊の本を携えています。
「今日の演劇祭では、いくつもの悲しいお話、悲しい最後をたどる登場人物たちが、出演者の皆さんの手によって救われてきました」
抱きかかえるように両手で支えた本の表紙には、いささか古臭い絵柄で、魚の尾を持つ女の子が海を悠々と泳ぐ様が描かれています。
「童話のお話には得てして、作り手の思惑が含まれていたりするものです。それらは主として子供たちへと道徳や倫理を語って聞かせるための教材であり、また親と子が円滑なコミュニケーションを築くための道具であり……そのために、登場人物たちの行動には、言わば教訓的な結末が待ち受けていることも少なくありません」
本をぱらぱらとめくり、最後のページまでめくって、ぴたり。
「次なる演劇もまた、童話の世界。現代を生きる我々にとって、その結末はやはり、悲しく切ない最期を迎えることとなるのでしょうか? あるいはすっと胸がすくような、そんなハッピーエンドが待ち受けているのでしょうか? 全てはこれに挑む、彼ら次第……それでは、ご覧いただきましょう!」
「劇団『
トリトン
』で、『
人魚姫
』!!」
深く、静かな海の底。こぽこぽと浮かび上がってくる泡をたどって潜った先に、そのお城はありました。
外壁は、色とりどりの美しい珊瑚。そこへはめられた窓は、滑らかに透き通る琥珀です。その周りでは、虹のようにカラフルできらびやかな小魚たちが群れを成し、踊るように、楽しそうに泳ぎ回っています。
お城に住んでいるのは、もちろん、お魚たちではありません。
「ああ……! 私も早く、人間の世界を見てみたいわ!」
琥珀の窓から外を眺めて、うっとりと言ったのは、金色の髪が美しい、ひとりの人魚。彼女は、
人魚姫
です。
お城には彼女と、そして三人の
兄
、
妹
、
弟
たちが、仲良く暮らしているのでした。
人魚姫が、このところとても楽しみにしていることは、十五歳の誕生日を迎えた日に、この深い海の世界から出て、人間の世界を見学にいくことです。
はしゃいでいる様子の人魚姫に、彼女をとても大切に思っている兄は、諭すように言います。
「楽しみなのは分かるが、気をつけるんだぞ? 人に姿を見られてはいけないという、掟があるんだからな」
そんな兄の横から、
「人間の世界には、どんな美味しいお酒があるかなぁ? 一度、呑んでみたいもんだなぁ」
人魚姫の妹は、お酒が好きなことで有名で、人間の世界には興味津々です。
兄弟たちの末弟、人魚姫の弟は心配そうな顔を浮かべながらも、
「気を、つけて……でも、楽しんで、きてね?」
やっぱり興味深そうに、そう言いました。
深くて静かな海で暮らしている人魚たちにとっては、賑やかな人間たちの世界は、とても好奇心をそそられるものなのです。
「ええ、大丈夫よ。妖精さんにも付いてきてもらうから……ああ、それにしても、楽しみだわ」
人魚姫はにっこりと兄弟たちへと笑いかけながら、その日が来ることを待ち切れないといった様子で、期待に胸を高鳴らせるのでした。
舞台の上、中央に主演、人魚姫役の冴来。周囲には人魚姫の弟である勘助と、妹役、
酒浸 朱蘭
。兄である
堀 和哉
。
彼らを照らしているのは、ぼんやりと青いスポットライト。さらに衣装として、彼らは裾の広がりが優美なマーメイドラインのワンピースを着ることで、海の底の人魚たちを表現していて、観客たちを深い海中へと誘うのです。
美しい衣装を用意したのは、本番では
ナレーション
として語りを入れております、
北原 みゆき
です。彼女は以前にアマチュア映画に関わったことがあり、その経験が活きたこと、また何度も着合わせをしながら試行錯誤を繰り返したことで、みんなが納得行く出来の、そして素晴らしい衣装を作り上げることができました。
そして、みゆきがそんな風にして頑張っていることには、ひとつの想いが込められていました。
(……冴来先輩。見ていてください……!)
みゆきの誕生日のために、冴来がプレゼントしてくれた、清らかな雪のように輝くブローチ。冴来の手作りだというそれは、みゆきにとって今や、大切な宝物となったのです。
その恩返しができる、これは絶好の機会……!
(この劇を最高の形で成功させるのが、私から先輩への、誕生日プレゼントです……!)
みゆきは想いと共に、言葉を綴ります。
「……やがて人魚姫は、十五歳の誕生日を迎えました。待ちに待った、人間の世界を見に行く日がやってきたのです」
お供をするのは、トンガリ帽子の妖精さん。人魚姫の一族とは大の仲良しで、いつも何かとためになる助言をくれる、頼りになる水先案内人なのです。人魚姫は彼に続いて、さっそくお城を出発しました。
海面近くまで上がるにつれ、人魚姫の表情は、期待でぱあっと明るく輝き始めます。そんな彼女へ、妖精が上のほうを指差して、
「人間たちの乗る船があるよ。まずは、あれを見に行ってみようか?」
「……すごい! 人間って、こんなに大きなものを作れるのね」
二人が海面からぽっかりと顔を出して覗くと、そこには初めて見る、大きな船がありました。人魚姫は目を輝かせて、興味津々!
けれど、その時でした。
瞬く間に天気が悪くなり、黒くて厚い雲が垂れ込めて、中ではごろごろと雷が轟く音まで聞こえてきます。すぐにも雨粒が降ってきて、それはみるみるうちに激しくなっていき、びょうびょうと強い風が吹き始めます。
「いけない、嵐だ! あの船、沈んでしまうぞ」
「そんな……あっ、あそこ!」
人魚姫は、見ました。船上からひとりの人影が、海に投げ出されてしまうのを。
「助けなきゃ!」
人魚姫はもちろん、泳ぎは大の得意です。どんな魚と競走したって負けはしません……全速力で人影の元へと泳いでいき、瞬く間にその身体を掴むと、近くに浜辺を見つけて、必死に運んでいきました。
砂浜へ横たえた人影を改めて見るなり。人魚姫の胸が、どきりと高鳴りました。
それはとても美しい少年で、身なりが良くて素敵な、人間の王子様だったのです。
「……う……ここは……?」
目を見開いた王子様と、人魚姫は視線を絡ませます。人に見られてはいけない、なんていう掟のことはすっかり忘れて、じっとその瞳を見つめます。
正しく言えば、目を離せなくなってしまったのです。人魚姫は一目で、優しげな王子様に恋をしてしまったのでした。
「貴女が、私を助けてくれたのか……? ありがとう……」
嵐に揺さぶられながらも船がどうにか浜辺へたどりつき、王子様に仕える人々が彼を見つけ、やがて騒がしくやってくるまで。そして慌てた妖精が、
「人が来るよ、人魚姫! 見られてはまずい、すぐに帰ろう」
人魚姫を海へと呼び戻すまで。魅入られたようにじっと、人魚姫は王子様を見つめ続けたのでした。
(台本どおりに演じるというのは、難しいものだね……)
架神 十字
は、精神科、心療内科の医師。いわゆるセラピストです。彼は競演する学生たちとは少しばかり違った目線で、この演劇に参加しておりました。
心理劇、という言葉があります。クライアントがセラピストと共に演技をする筋書きの無い即興劇は、患者本人の経験、内面的な葛藤や課題、理想の将来像などを盛り込み演じることで、時として治療に高い効果を上げる……十字はそういったものを通じて、普段から演劇には親しんでいたりします。
彼が今回の『人魚姫』に参加するきっかけとなったのは、彼の受け持つ患者の中に、冴来がいたことでした。
いつも演じる心理劇はアドリブが主体で、あらかじめ決まったセリフを読むことは、十字にもあまり無い経験です。こうすることで、あるいは彼のライフワークへと、何かしら活かせるものがあるかもしれません。
(しかし、妖精としてこうも直接的な助言をするのは、新鮮だな)
セラピストは、軽々しくクライアントへ助言をしないものです……自分の力で気付けるよう、そっと背中を押してあげるだけ。セラピストとは、親切に助言しすぎて依存されてもいけないし、逆に突き放しすぎてもいけないのです。
十字は冴来を眺めて、
(彼女はどうやら、予後が良さそうだ。今日は、仲良く演技を楽しむことにしようか)
そんな風に思いつつ、妖精を演じます。
仕方なく、海の底のお城へと戻った人魚姫。
妹はしきりに海の上の人間の世界について尋ねましたが、ぼんやりとした彼女は曖昧な返事を返すだけで、何も答えてはくれません。兄や弟は彼女を心配しましたが、やっぱり彼女はぼんやりとして、琥珀の窓からその向こう、海面のほうを眺め続けるのみです。
人魚姫はどうしても、あの王子様のことが忘れられなかったのです。すっかり、心を奪われてしまっていたのです。
幾日か経ってから、どうしても、どうやっても彼のことが忘れられなかった人魚姫は、やがて決意しました。
(もう一度……王子様に会いたい!)
人魚姫は、妖精さんと一緒に、海の底に住む
魔女
を訪ねることにしたのです。
魔女に、この人魚の尾ビレを人間の足に変えてもらえれば、もう一度。今度は人間として、自分の足で、王子様へ会いに行くことができる!
人魚姫は、そう考えたのでした。
「人間になりたい、と言うのか? 人魚姫よ」
ふんわりと広がる、ロングスカートの黒いドレス。髪は下ろして、いつもより大人っぽく。魔女役を演じる
十文字 若菜
は、思わず微笑んでしまいそうになるのを、ちょっぴり我慢。
(演技するのって、思ったより楽しい……!)
何せ今日の日を、若菜はとても楽しみにしておりました。役者なんて初めての経験ですし、それをみんなでわいわいと、賑やかに楽しく練習して。作り上げて。こんなに大きな劇場で、こんなに大勢の観客の前で、それを上演するなんて。
こんなに楽しいとは、思っていなかったのです!
(よーっし、絶対成功させるよ! 頑張ろうね、みんな!)
海の魔女は、少なくとも今はまだ冷たい目で、人魚姫を見つめていなくてはいけません。若菜はきりりと眉を引き締めまして、
「……いいだろう。その願い、叶えてやろう」
初めての演技に、全力疾走! なのです。
魔女は人魚姫の話を聞いて、願いを叶えると言いました。喜ぶ人魚姫へ、ただし、といくつかの条件を付けながら。
「契約と引き換えに、お前は私に、声を差し出すのだ。それに人の姿で地上を歩くたび、足は鋭い針を踏むように痛むだろう。もし、想い人である王子と、お前が結ばれることができなかったなら……その時は。お前は、泡となって消えてしまうだろう」
それでも、人魚姫の決意は変わりませんでした。
「王子様と一緒にいられるのなら、そのくらい、いくらだって耐えられるわ……!」
魔女との契約は、人魚姫からあの綺麗な声を奪い、代わりに彼女は、人の姿を手に入れました。
さっそく王子様の元へと向かった人魚姫が海から出ると、地上を歩けば確かに、足は引き裂かれるように痛みます。それに、苦悶の声を上げることもできません……魔女に差し出してしまったので。
けれど人魚姫にとって、そんなことは苦ではありませんでした。
(どうしようもなく恋してしまった、王子様と。一緒にいられるのなら……!)
妖精もうなずいて、
「声が無くたって、君はそのままで、十分に魅力的だ。素直な自分を王子様に見せれば、きっと大丈夫だよ」
頼もしい助言にうなずいた人魚姫は、胸に溢れんばかりの希望を抱きながら、王子様の住む城を訪れました。
出迎えた王子様は、ちらりと見ただけの人魚姫をちゃんと覚えていて、
「貴女は……! 良く来てくれたね、歓迎するよ」
彼女の来訪を喜び、すっかりと気に入って、城に置いてくれることになりました。
声は魔女へと差し出してしまいましたから、王子様へ、人魚姫は想いを伝えることができません。それに、歩くたびに足は刺すように痛みます。けれど、彼女はそれを塵ほどにも、表情に出しませんでした。歩く時もまったく人と変わらないように、彼女は歩いたのです。
(王子様と一緒にいられるなら……この幸せな時間が、続くのなら!)
お城で王子様と一緒に暮らす日々が、その喜びが、彼女の顔には常に魅力的な微笑みとなって現れていて。王子様だって彼女のそんな笑顔を、まぶしく見つめ返すのでした。
……けれど。そんな幸せな毎日が、しばらく続いた後のこと。
ある日、人魚姫に伝えられたのは、ひどく残酷な知らせでした。その日の城内は、ある祝い話で持ちきりだったのです。城の人々は口々に、人魚姫にも嬉しそうな笑顔で、教えてくれました。
王子様が、隣国の美しいお姫様と……婚約を交わしたのだと。
(…………そんな……)
人魚姫の胸が、きつく締め上げられるように、ずきりと鈍く痛みました。
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シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
160人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月14日
参加申し込みの期限
2015年03月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月21日 11時00分
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