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【演目その17 『人魚姫』(3)】
「姫! 姫、どこにいるんだ……!」
舞台に姿を見せた修が、森の中を彷徨いながら、人魚姫を探します。探しながら、王子は心情を吐露します。
「姫……いつの間にか、心の全てを、貴女が満たしていた。身分も、育ちの違いも、この想いを妨げることはできない! あの浜辺で、私は貴女を見た。貴女が何者であっても、私は構わない……例え人間では無くとも、それでも!」
普段の修のイメージからは少しばかり離れた、それは、王子様の情熱的な愛の言葉でした。
「私は、貴女を求める……! 姫!」
王子の叫びに、暗く落ち込んでいた冴来の表情が、嬉しげに明るく輝き始めます。
と。
ナレーションに徹していた、舞台袖のみゆきが、唐突に観客席へと呼びかけたのは、この時でした。
「……真実の愛を証明するため、二人は今、魔女の試練によって隔たれています。このままでは王子様は、魔法によって隠された人魚姫を、見つけることはできません……だから、お願い!」
それは、いつのことだったか……みゆきが幼い頃に見た、心揺さぶる舞台の演出。それを今、彼女は再現しているのです。
観客と舞台を隔てる第四の壁を、今、みゆきが壊して見せるのです!
「観客のみんな! みんなの力が必要なの……声を上げて、囚われた姫の場所を教えてあげて欲しいの。お願い、王子様を助けてあげて!」
呼びかけに、観客たちがきょとんとした顔を浮かべていたのは、ほんの少しの間だけ。
口火を切ったのは、あの
北 玄
さんでした。
「あっちあっち、王子様あっち見るですよ! もっと右、右、あっちのほう、右見るですよ、右っ!」
彼はこうした時の楽しみ方を、舞台の楽しみ方を、ちゃあんと心得ているのです! おかげで他の観客たちも、一斉に指差し叫び始めました。
そっち、そっち! 王子様、あっち! もっとそっち、あっちー!
「何だ……? 声が聞こえる。俺に、教えてくれている……姫の居場所を!」
もちろん修も、王子様がその声を聞きつけたように、誘導に従い始めます。
みゆきの胸は、もういっぱいです。小さい頃に心動かされた演出を、こうして今自分が実践して、観客たちの心を動かしているのですから……!
「そう、その調子! 王子様と人魚姫のために、みんな頑張って……!」
どこからともなく聞こえてくる声は、森の住人たちのものでしょうか? 彼らが、王子様を導いてくれました。
深い森を潜り抜けるうち、彼の身体のあちこちにはいくつもの小さな切り傷ができていましたけれど、彼はそれを物ともせずに、探し求めます。
人魚姫を。
この森に彼女が囚われ、隠されているということを教えたのは、他でも無い、あの兄弟たちでした。人の目に触れてはならないという人魚の掟を曲げてでも、彼らは王子の前へと姿を見せて、託したのです。
「姫は、元は人魚。貴方に会うために魔女へ声を差し出し、人の姿を手に入れたんだ」
「王子様。どうか姉を、姫を見つけ出して欲しい……そうすれば、姫は泡となって消えてしまうことも無いんだ」
「……貴方が、姫を、愛して、いるなら……どうか……!」
王子は、人では無い彼らの言葉に耳を傾け、そして固く約束しました。必ず、姫を見つけ出すと。彼女を救うと。
森を彷徨ううち、王子は一本の大樹のもとへとたどりつきました。そして、ひときわ大きくなった森の住人たちの声に、確信し、根元にぽっかりと開いた穴の中を覗き込み、目にしました。
「姫……!」
見つけました。蔓と枝の檻に囚われた彼女を。
目を見開き、彼を見つめた、人魚姫を!
「さあ、姫、こちらへ……手を伸ばして」
うなずき、彼女はめいっぱいに手を伸ばします。差し出された彼の手へと向かって。
それらが触れ合い、絡み合い……しっかりと握り合い。互いの指へ、そっと寄せた唇。それこそが、証明となったのでしょう。二人の愛の、その真実の証明に。
二人の頭の中へと、声が響きました。
「……確かに、見せてもらったぞ。
私も、約束を果たそう!」
瞬間。まばゆい光が、二人の中心からあふれ出し、全てを覆い尽くしていきます……!
森の中で汚れてしまった王子様の服は、元通りの真っ白に。姫は、まるで王妃が身に纏うような、美しくきらびやかなドレス姿へと、瞬く間に変わっていきます。
気付けばあたりの風景だって、すっかり変わってしまっているのです。
そこはあの、王子様のお城の中。華やかで賑やかな宮廷……ダンスパーティの、真っ只中!
「まぁ……!」
思わず驚いて飛び出した声に、姫は、魔女が約束を果たしてくれたことを知りました。声は戻り、そして歩くたびにひどく苦しんだ、あの痛みがすっかり無くなっています……今、彼女は確かに、二本の足で立っているのに!
「ああ……王子様……!」
目の前には、優しく微笑む王子様。優雅な宮廷音楽が流れる中で、お城の人々も、二人を優しく見つめています。
けれど、人魚姫……今や人間になった姫は、どうやら少し、驚きすぎてしまったようです。
ずっと伝えたかった言葉を、今こそ伝える時なのに。目をぱちくりとさせながら、彼女は戻ってきた声で、上手く言葉を紡ぐことができません。
華やかなお城へと、一瞬にした変わった舞台! そこにはあの人魚の兄弟たち、和哉に朱蘭、勘助の姿もありました。
冴来や彼ら、人魚の役を演じる役者たちの衣装は、実は二段構え。マーメイドラインのワンピースの下に、ドレスタイプのロングワンピースを重ね着しておりまして、舞台の変化と同時に、光とスモークの演出に紛れて、一瞬の早着替え! 人魚たちは一瞬にして、人間へと姿を変えてみせたのでした。
ここでみゆきが再び、観客たちへと呼びかけます。
「姫はちょっと、ビックリしすぎちゃったみたい。このままじゃ、彼女は王子様に、ちゃんと気持ちを伝えることができない……! みんな、もう一度だけ、力を貸して! 姫が勇気を出して告白できるように、応援してあげて欲しいの。お願い!」
そんな言葉が伝わった、その途端に。観客席からは、轟くような声の波が届きます。
頑張って! 勇気を出して! 今だー、告白だ!
頑張って、人魚姫……!
(……嬉しいなぁ)
そんな声の数々は、そのまま、この劇へと……人魚姫へと没入してきた、冴来本人へ向けての言葉のようにも、彼女には思えました。
悲しいお話として伝わる『人魚姫』を、ハッピーエンドとして演じようと、仲間たちへ呼びかけたのは冴来でした。
彼女にもまた、想い人がいます。それがもし、伝わらなかったら? 伝えることすらできないままに、自分は消えて、居なくなってしまうとしたら?
そんな風に思ってでしょうか。彼女は人一倍、この劇の成功に全身全霊を傾け、取り組んできたのです。観客たちの激励は人魚姫へ向けてのもので、同時に、演劇祭へ心を砕いて頑張ってきた、冴来自身への言葉のようにも思えて。
そして何より、今の冴来は人魚姫へと、これ以上に無く入り込んでいました。
「あ……」
つ、と頬を雫が伝って落ちたのも、自然なことだったのかも知れません。
冴来は王子様、修の顔を見上げて、その瞳を真っ直ぐに見つめるままに……口を開きました。
「……王子様。貴方様を、心より、お慕い申し上げております……」
お城の人々の声に後押しされて、姫はようやく、王子様へと想いを伝えることができたのでした。
「ずっと……ずっとその言葉を、胸に秘めてきました。貴方様に、お伝えしたいと……私は、そう願って……」
「分かっている。分かっていたよ、姫」
ぽろぽろと零れ落ちた涙を指先ですくって、そして何かを取り出して、
「私も、貴女を愛している……」
姫の頭へと、そっと乗せました。
透き通るクリスタルの輝きが美しい、きらめく
ティアラ
。それは王子の妃となる女性へと贈られる、特別な品。
「……私の、花嫁になっていただけますか?」
王子の言葉に、再び、涙が頬を伝わって……泣き笑いの顔で、
「私で……良いのですか……?」
「ああ。貴女が、私の姫だ」
この瞬間が、王子様の妃となる女性の、お城の人々への初めての知らせともなりました。人々は歓喜に沸き、宮廷音楽は賑やかなお祝いの曲調へと変わっていき……その中には、姫の兄弟たち、兄や妹や弟もいて、姫と王子を祝福しています。
その隣には姫の仲良しの妖精と、そしてなんと! あの魔女までもが並んでいて、鳴り響く盛大な拍手の中、手を叩くのに加わっているのです。
「さあ、姫。私と踊っていただけますか?」
「はい……ああ、喜んで! 王子様!」
姫は王子の手を取り、二人はゆったりとワルツを踊ります。
兄弟たちと妖精、それに魔女も、シャボン玉を膨らませて飛ばして、優しい微笑を浮かべながら、優雅なダンスを見守り続けます。
お城の大きな窓の向こうでは、広い広い海が、豊かな青い色をたたえながら、二人を祝福するかのように、静かに揺れていました。
小さなブランコのようなゴンドラに乗って、みゆきは賑やかなダンスパーティを眼下に見据えながら、最後のナレーションを。
「こうして人魚姫は人間となり、王子様の姫となって、末永く幸せに暮らしたのでした」
そして、くすりと悪戯っぽく、彼女は笑います。
「ところで……なぜ私がこのお話を知っているのか、皆さん、気になりませんか?」
するするするり、とゴンドラが下りていきます……ナレーションであるみゆきも、衣装を身に付けていました。それは十字と良く似た、トンガリ帽子の妖精の服。
するする、するり。舞台の天井近くから姿を見せたみゆきは、
「私は、空気の精。こうして天から、全てを見ていたからなんですよ」
にっこり! 笑顔で手を振りました。
緞帳の下りた舞台の前では、カーテンコールに出演者全員が並んで手をつなぎ、晴れやかな表情で、一斉にお辞儀!
ついでに舞台袖からたくさんの花びら、シャボン玉が舞い上がれば、観客席から届く拍手と歓声は、ふわりとみゆきの乗るゴンドラを揺らすほどなのでした。
<『人魚姫』 終>
「童話にも色々あるんだけど、その中でも『人魚姫』の終わり方ってのは、これが救われねえんだよなぁ……王子は人魚姫の気持ちに気付きやしないし、姫は結局泡になって消えちまう。声は無くすし、さんざん痛い目も見たってのによ、ひでえよな。
そんな悲しい話を、ハッピーエンドで終わらせてやりたいってのは、やっぱり人情ってもんだよな! おかげでこっちはハラハラしながらも、終わった後に残る、この爽やかさ! 人魚姫や兄弟たちの思いが、魔女の心までも動かしたってところも、俺としちゃ高ポイントだったぜ。
良いアレンジだったぜ、劇団『トリトン』!」
楽屋に戻って、プチ打ち上げ。
「色々用意してあるからな、遠慮なく食べてくれ」
修が広げたお弁当の中には、幕の内弁当や、『巻きと茶』の太巻き寿司。それに修自身が考案して作った、『
人魚姫スイーツ幕の内
』ももちろんありました。
箱庭の中の美しい浜辺のようなランチボックスに、若菜が目を輝かせて、
「うわぁ、美味しそう! いただきまーす!」
貝殻型のマカロンをひとつ、ぱくり。
「う~~~ん、美味しいっ!」
絶妙な甘さが口の中に広がって、彼女は満面の笑み!
朱蘭はさっそく、劇の間は、と断っていたろっこん水をあおり、ぐびぐびぐび。
「……ッぷはぁ! いやー、演劇なんて初めてだったけどさ。楽しかったなー♪」
一瞬でいつもの調子に戻った親友に、冴来がぷっと吹き出してしまったのは、無事に終わることができた舞台に、ほっと安堵したこともあったかもしれません。
「本当に、楽しかったわ……みんな、ありがとう」
今日の彼女は穏やかに、ぺこりと仲間たちへとお辞儀。修がそんな彼女へ、
「花風さんも、お疲れさま……本当に、お姫様のようだったよ」
「うん……すごく、綺麗、だったよ……冴来さん。その、見惚れてしまう、くらいに、すごく……」
勘助も一緒に、そんな風に褒められて、彼女はちょっぴり、頬を赤らめながら笑いました。
十字はそんな若い共演者たちを見回して、
「僕からも、お礼を言わせてもらうよ。とても楽しく、そして貴重な経験だった。お誘いありがとう……あれ、何か可笑しかったかな?」
彼はまだあの妖精のトンガリ帽子をかぶっていたもので、思わずみんなは、笑い出してしまいました。
楽屋には笑顔が絶えず、美味しいお弁当も楽しく頂いて、一段落がついた頃。みゆきが取り出したのは、カメラです。
「せっかくだから、記念写真を撮りませんか?」
もちろんその提案に、反対する仲間はひとりもいません。
カメラを置いて、タイマーをセット! その隙に全員で並んで、思い思いのポーズを決めながら……和哉は、この面々と一緒に舞台へ立てたことに感謝しつつ。慣れないことにも全力で取り組みやり切ったことに、晴れ晴れと爽やかな気分に包まれながら、
「自分で言うのも何だが……良い劇だったよな」
パシャリ!
写真はきっと、彼らにとって、最高に素敵な思い出になったことでしょう。
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墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
160人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月14日
参加申し込みの期限
2015年03月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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