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【演目その17 『人魚姫』(2)】
人魚姫は、それでも気丈に振舞いました。
声は出ないので、いつものように、彼女は王子様へと微笑みます。
「……私を、祝福してくれるのか?」
王子様の問いに、張り裂けそうな胸の痛みを必死に押しこめながら、人魚姫は笑顔のままにうなずきます。
願ったのは、王子様の幸福。恋しい人がそれで幸せになれるのならと、人魚姫は彼を祝福し、そして、自分は身を引くことを決意したのです。
「そうか……ありがとう」
少しばかり、王子様が寂しげに見えたのは、人魚姫の未練のせいでしょうか? お礼を言って立ち去っていく彼の後姿に、彼女は手を伸ばしかけ……腕を引きました。
(……王子様が、幸せな結婚をされるのなら。私は……)
人魚姫は気丈でしたけれど、心残りはありました。胸が張り裂け、自分が泡となって消えてしまおうとも、王子様が幸福であるならばそれでも構わないと、そう思いながらも、ひとつだけ。
(せめて……せめて、私の想いをひとこと、ひとことだけでも良いの。彼に、伝えられたなら……)
王子様には決して見せない痛ましい顔で、ぎゅう、と自らの胸を抱いた彼女へ。
その時、声が届きました。
「ならば。試練を受けるか?」
場面の転換に伴い、舞台へは、薄暗い海の底、魔女の住居のセットが組みあがっていきます。不気味な人面岩や、海草を模した置物。揺らめく水底やこぽりと上っていく泡は、スポットライトの加減で演出。
不慣れな手際ではありながらも、人魚姫の兄、和哉は裏方にも手を抜かず、全力で取り組んできました。
(……形になると、嬉しいもんだな)
側では、同じく兄弟役の勘助が、
「そ、それじゃ、少しの、間……よろしく、お願い、します」
舞台へ出ている間の演出機材その他の操作を、一時的に、臨時のスタッフさんにお願いしています。和哉も彼も、役者と裏方を兼ねておりますもので、どうしても手が空かない時があるのです。
かなり緊張しているらしい勘助の肩を、和哉はぽん、と叩いて、
「大丈夫か? きっと成功するさ、頑張ろう」
「あ……は、はい、大丈夫、です……!」
役柄のみならず、頼りになるお兄さんのような佇まいの和哉の言葉に、勘助も少しばかり落ち着きを取り戻して、ぐっと気合を入れました。
もうひとり、人魚姫の妹役である朱蘭が、後ろには控えています。
ろっこんによって変化した水で、いつもなら四六時中酔っ払っていたりする朱蘭ですけれど、さすがに劇の間にまでもそうしているわけにはいきません。今、彼女の頭は、すっきりと冴え渡っています。セリフだっていつものような気風の良さは鳴りを潜めて、しっかりとした面持ちで演じています。
けれどそれは、酔いが抜けたため、ただそれだけなのでしょうか?
もちろん、全力で劇へ取り組む仲間たちの、その熱気に当てられたことも、大きかったのでしょう。
それに隣には、一度舞台袖へと戻ってきた、冴来。朱蘭の大事な親友が、目で言っているのです。頑張って、ね? 応援してくれているのです。
(冴来のために……みんなのために。あたしにだって、やれることがあるんだ……!)
朱蘭もまた、ぐぐっと気合を入れて。和哉、勘助、そして冴来へうなずくと、舞台へ飛び出していきました。
人魚姫が王子様と結ばれることがなければ、彼女は泡となって消えてしまう……! 妖精からの知らせで人魚姫の危機を知り、行動を起こしたのは、彼女の兄弟たちでした。
「人魚姫の兄や妹、弟たちが、何用だ?」
彼らは、あの水底の魔女の元へ、契約の変更を願い出るために押し掛けたのでした。
三人はいずれも、悲壮な顔を浮かべています。まずはその中から兄が進み出て、
「姫との契約のことは知っている。その上で頼みたい……姫を、救ってやってはくれないか?」
そう言うと、魔女は不敵な笑みを浮かべて、
「ほう……ならば、願いには代償が伴うことも知っているのだろう。お前たちは姫のために、何を差し出すのだ?」
「思い出を」
兄が重苦しく、けれど躊躇無くそう発した言葉に、妹や弟たちも、うなずきました。
『人魚姫と共に過ごした思い出』。それは兄弟たちにとって何より大切な、まばゆく輝く宝にも等しい記憶です。彼らはそれを、魔女へと差し出すと言ったのです。
「……姉が幸せになれるなら、そのためなら、あたしたちが姫のことを忘れてしまったとしても、構わない」
妹の搾り出すようなそれも、もちろん、簡単な言葉ではありません。彼女もまた、張り裂けそうな胸の痛みに耐えながら、
「人魚姫の、幸福のためならば……!」
自らを投げ出そうとしているのです。
兄も、妹も、そして一番控えめな弟までもが、魔女へと頼み込みます。
「人魚姫との、俺たちとの、思い出……」
「彼女が、俺たちを、忘れても。俺たちが、人魚姫を、忘れても。全部、忘れてしまっても、かまいません……だから、どうか、人魚姫に……姫に、幸せな未来を……!」
あまりにも真剣な彼らのことを、魔女は、冷ややかな瞳で見つめていました。軽い対価では決して、ありません。それを何の躊躇いも見せず、こうして差し出そうという彼らに、半ば呆れているようにも見えました。
けれど。しばし考え込むようなそぶりの後に、やがて魔女は口を開いて、
「……対価は、いらない」
兄弟たちの言葉に、少しばかり、心を動かされたのかもしれません。
「お前たちの覚悟は、しかと受け止めた。思い出を差し出す必要は無い、だが代わりに、私へ証明してみせろ」
本来、魔女が契約の変更を行うのは、禁忌に当たるもの。それだけに魔女との契約の代償は重く、人魚姫は声を失い、歩くたび恐ろしい痛みが彼女を襲い、泡となって消え行く定めを背負うことになりました。
その代償に代わるほどの条件を、魔女は、求めたのです。
「人魚姫と王子の、真実の愛を。私に証明して見せることができたなら、その時は、姫の命は助けてやろう。さぁ、証明してみせるのだ」
舞台袖へ戻ると、すぐさま和哉は次のシーンの準備を。
ステージへ現れたのは、鬱蒼とした森。スモークを炊いて、霧深い森を演出しながら、和哉が勘助へとうなずくと、今度は彼がスポットライトを動かし、ぽっかりと舞台の端のほう、森の中の一点を照らし出しました。
蔦や枝で出来た檻の中に閉じ込められている、冴来。人魚姫。
彼女を救い出すのが、この演劇の目指すところなのです。人魚姫を、泡とは消えさせない……!
その想いを一心に受けて舞台へ上がるのが、王子様である、修です。彼ほどこの役柄が似合う人物も、なかなか他にはいないことでしょう。
(この時のために、準備をしてきたんだ。物事は段取八割、と言うしな)
準備段階においても、彼は率先して精力的に動き、舞台を作り上げてきました。姫のためのアクセサリを用意して、冴来とダンスの練習までも行って、打ち込んできたのです。
(ここまでの積み重ねは上々、後は仕上げるのみだ……!)
気付けば人魚姫は、薄暗く深い森の中、枝や蔓で出来た牢の中へ囚われて、身動きが取れずにいました。
彼女は慌てることなく、代わりに、深い悲しみに落ちていきます。
(これは、罰なのかしら? 分不相応な、不釣合いな愛を求めたことへの……このまま泡になって消えていくのが、私には……)
太く頑丈な枝に力なく両手を添えて、悲嘆に暮れる人魚姫のもとへ。けれど、あの聞き慣れた声が聞こえてきました。
「まだ、悲しむのは早いようだよ、姫。契約が変更されたんだ。君の兄弟たちの熱意が、魔女の心を動かしたんだよ」
(妖精さん!)
そう、やってきたのは、仲良しの妖精でした。人魚姫の兄弟たちが、自分をここへ寄越したのだと、彼は言いました。
「彼らはとても君のもとへ駆けつけたがっていたけど、彼らには足が無いからね。代わりに僕が使いを頼まれたというわけさ……いいかい姫、良くお聞き」
妖精は人魚姫へ、語ります。彼女が成すべきことを。
「魔女の魔法が、姫をこの森へと隠した。そして王子もまた、ここにいる」
(王子様が……!? 一体、なぜ?)
「王子が君を本当に愛しているならば、彼はここへたどりつき、君を救うだろう。そうすれば君は、泡となって消えず、王子と幸せに暮らしていくことができるだろう」
人魚姫は、目を丸くしました。そんなことは、思ってもみなかったのです。
だって王子様は、お隣の国の姫君と婚約しているのですから……彼女はそれは美しい姫君だとも聞いていたので、なおさらです。
(……王子様が……私を? そんなこと……)
「ほら。聞いてごらん?」
妖精の言葉に、耳を澄ませた人魚姫は、確かに聞きました。
(ああ……ああ!)
聞き違うはずもありません。恋する彼の声を、人魚姫が聞き間違うはずも無いのです。
紛れも無く、遠くから風に乗って届いてくるそれは、王子様が彼女を探す声だったのです!
「姫、君が愛する王子だ。信じていいと、僕は思うよ」
声を持たない今の彼女には、助けを求めて王子を呼ぶことは出来ません。そう、ただ信ずるのみ。王子が自分を見つけてくれますように、そう信じて、ただ願うのみです。
自然と、早鐘を打ち始めた胸の前に両手を組みながら、人魚姫は祈ります。
(私はここです……お願い。私を見つけて……王子様……!)
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
160人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月14日
参加申し込みの期限
2015年03月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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