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【演目その9 『二つのF』(6)】
ファントムは物言わず、ただ、ラウルの首を括っていたロープを解き、彼を解放しました。
「クリス、ティーヌ……」
「ラウル!」
寄り添い合った二人に、佇むファントムの姿は、もはや恐ろしい怪人のようには見えませんでした。ただ孤独で、愛に餓え、目の前の暗闇に足掻く、一人の人間のように見えました。
そう。それこそが、彼の本当の……。
「殺しなさい! 殺すのよ、その二人を……その女を! ファントムッ!!」
闇を裂くほどに鋭い声が、辺りを走り抜けました。
女です。嫉妬と、憎しみと、愛情に狂った瞳で彼らを睨め付ける、女……オペラ夫人。
ファントムを産んだ、母でした。
「なぜ! どうしてその女に固執するの、ファントム……!! 見なさい、その女の目に映る、哀れみを! お前を愛してなどいない、哀れんでいるだけなのよ! 彼女はお前など愛さない! 愛していない! 愛していない!!」
紛れも無くそれは、女がヒステリックに叫ぶのは、狂気であったと言えるでしょう。そして同時に、愛でもあったと言えるでしょう。
「お前を愛しているのは、私だけ……この母だけなのに」
ファントムは、愛されていたのです。それは歪で不義でたがの外れた形でありながら、確かに、ファントムは愛されていたのです。
「それなのに……ああ! 何故分からないの、ファントム? 愚かなことだわ。こんなにも貴方を愛し、理解してきたでしょう? 貴方の母は? 貴方の成すことの全てを、見逃してきてあげたでしょう? なぜ分からないの? ファントム……!!」
「クリスティーヌ、こっちへ……僕の、後ろへ……」
息も絶え絶えながらに、ラウルはクリスティーヌを背にかばいます。
オペラ婦人はとうに、隠そうともしていなかったので。手に握り込んだ、鋭利な刃を。
それは嫉妬であったでしょう。音楽の才能。美しい容姿。息子は母がいくら望めども手に入らない全てを携え、この世に生まれてきたのです。
そしてそれは確かに、愛情でもあったでしょう。彼がその才能を発揮し自らの元から飛び立ってしまわないよう、独占してしまえるよう、完璧だった息子の顔を焼き、欠点を作り出そうとしたほどに。それは、深き愛情であったことでしょう。
少しばかりの欠点さえあれば、母は躊躇い無く、際限なく息子を愛してやることができました。
「貴方の才能は、私だけが愛でるの。私だけが愛でていいの。それなのに……」
母が瞳に映し出すのは、クリスティーヌ。歌姫。息子を奪い去ろうとする、彼にお似合いの花嫁。
それが、母は許せませんでした。
「この……女がァァァアアアッ!!」
「 ─ 止めてくれ!! ─ 」
閃き真っ直ぐに伸びていく短刀の刃が、悲しげに親子を見つめるクリスティーヌへ、彼女を庇おうと必死に両腕を広げたラウルへと、届き貫くその瞬間を。
「何故、何故なの! 何故止めるの、邪魔をするのッ!! ファントムゥ!!」
母の凶行を阻んだのは、息子たるファントム、その人でした。
「……行くんだ。行ってくれ。クリスティーヌ」
─ 行かないでくれ。ここにいてくれ。愛しい人 ─
クリスティーヌは見ました。仮面を外して床へ落とし、晒された彼の素顔を。彼の内面を形作る表裏を。そのどちらからも向けられる、自分への尽きぬ愛を。
「彼と行け。帰るんだ、君の生きるべき世界へ」
─ 行ってくれ。愛しい人。君の生きるべき世界へ ─
そして知りました。もう二度と、音楽の天使が彼女の元へと降りてくることは無いのだと。
もう、二度と。
「 ─ お別れだ、クリスティーヌ ─ 」
「離しなさい! ファントム! 殺すのよ、あの女を!! 貴方を愛していいのは、この母だけなのよ! ファントム! ファントォォォム!!」
母の腕を捕らえて離さず、じっとクリスティーヌを見つめるファントム。寄り添う彼女と、ラウル。
頭上から、彼らを探す声が届きます。歌姫を救い、怪人を討たんとする人々の声が。
「……あそこだわ!」
クリスティーヌの友人、心配そうに息を切らせたメグを先頭にした一団が指差すのを目にするなり、ファントムはマントを翻し、叫び喚く母を腕に抱えて、溶けるように。
闇の中へと滲んで、消えて行きました。
残された彼女を、ラウルがひしと抱き寄せます。
「ああ……クリスティーヌ。君を愛すると誓うよ。僕の生涯を賭して……あの、哀れな怪人のためにも」
彼女の音楽の天使は、その愛を、認めてくれたようにも見えました。そうであって欲しいと、彼女の願いが篭もった瞳を通して見たものであったとしても。
「……私もよ。ラウル。あなたを……いつまでも……」
そっと寄せた唇は、目の前の彼のために。零れ落ちた涙の雫は、闇へと消えた彼のために。
クリスティーヌは、胸へと強く、祈りました。
抱き合う二人へと、静かに微笑んでから。
メグは、舞台の端にそっと残されていたそれを拾い上げました……怪人の残していった、仮面を。そしてそれを身につけ、観客席へと向かって、最後に問いかけました。
「……残虐で、激しい情動のままに愛を貫こうとした怪人。迷いながら、慈しむように穏やかな愛を求めた怪人。そして、怪人ファントムを産み落とし、その愛が故に支配しようとした、悪女たる母親。ファム・ファタール……二つのFが交錯し、今此処に、一つの物語が完結と相成りました!」
「怪人の心が救われたと、そう思われた皆様は、
どうか拍手を! 喝采を!!」
立ち上がる観客もいれば、身動き取れずただ一心に、手を叩く客もまたありました。
拓郎や彩葉は、ふいにぱちり! と片目を閉じて見せた武道のひとひらのお茶目にどきりとして。文は取材のことも忘れて、手を叩くことに没頭し。セレッソは見たことの無い恩の演技に、ぽうっと頬を染めながら。
舞台へ届くのは、もちろん、大喝采!
メグは、紅葉は仮面を外して、舞台袖から現れた彼らへと手をかざします。
武道、なぎさ、牡丹。エリューシアに恩、寿美礼にロベルトも。
それに、裏方も全員、舞台裏から姿を見せまして。望月、薫、彩斗にルドも。
「派手にいくよぅ!」
陽太と聖華、並びつつも競い合うような演奏が響きます。陽太の滑らかなピアノの音色に、聖華のドラムが力強く。華々しく!
「Music come back to me!」
並んだところで……望月に合わせ、全員が深々と、一礼!
カーテンコールに降る拍手はしばらく鳴り止まず、会場へ興奮の坩堝を呼び込み、沸かせ続けました。
<『二つのF』 終>
「『オペラ座の怪人』を舞台で演じようと思うなら、まず戦わなければならないものがあるわよね。それは既成概念……幾度と無く演じられてきた題材に、あえて『二つのF』と銘打ったのだもの、相応の型破りな変革が要求されることは必然。これは、大いなる挑戦だわ。
ええ……もちろん、素晴らしかったわよ。誰も見たことの無い、あなたたちだけの『オペラ座の怪人』……あたしにとっても、これは初・体・験! 魂が震えたわ。
良い意味で大きく期待を裏切ってくれた劇団『NK2』へ、心からの賛辞を述べさせてもらうわ。良くやったわね、あなたたち!」
「はーい、『二つのF』をお送りしました! ドッキドキだったわね、お姉さんももちろん震えてしまったのよん……あんな風に愛されてみたい! 暗闇に拉致されて愛を囁かれたいッ! っていうのはさておいて。ね、ね、そろそろ皆さま、お腹が空いてきた頃合じゃあありませんか? 演劇祭はここでひとまず、第一部の終了! とさせていただきまーす。少しの間、お昼休み! ゴハンを食べてお腹いっぱいにして、それからまた、素晴らしい演劇を観劇してくださいなー。お姉さんも、ガッツリ! 頂いてきます! ってなわけで、See you later♪」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
オールジャンル
定員
1000人
参加キャラクター数
160人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年03月14日
参加申し込みの期限
2015年03月21日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年03月21日 11時00分
参加キャラクター一覧
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