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鬼が居ようとランドリー
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いい天気です。秋晴れ。
夏の濃い青とも冬の淡い青ともちがう、透き通るような青い好天でした。
寝子島全体が晴天なので当然、桜花寮の上もクリアブルーです。
その朝、目覚めたばかりの
哀坂 零葉
は何の気なしに寮の窓を開け、空を眺めました。
すると空を、飛行機がよぎっていくのが見えたのです。すうっと迷いのない飛行機雲を描いて。
そうだ、と零葉は言いました。
用事のない土曜日です。いまのうちに洗濯を終わらせたい。
そうと決まれば時は金なり、彼女は回れ右してピンク色したプラスチックのカゴを持ち上げます。
……重い。かなり洗濯物が溜まっているようですね。
押し込んだりして物理的容量を減らし、ここまでウィークデイを騙し騙し乗り切りましたが重量は正直です。
重さによたっとなりながら、零葉は寮の洗濯室を目指しました。
共用洗濯機がずらり並ぶ中、零葉は
浮舟 久雨
を見かけました。
「久雨さん」
現在零葉の目の前では、ごうんごうん音を立てて洗濯機がその身をシェイクしています。
「おはよう零葉。洗濯?」
「ええ洗濯です。いくら私が家事が不器用といっても、今は洗うのは自動ですから失敗はありませんよ」
なぜか胸を張る零葉でした。なお現在彼女はロングスリーブのTシャツ一枚、シャツの色はアイボリーです。ところが勢いがいいのはここまでで、やがてふっと零葉は視線を足元に落としたのです。
「その後のアイロンや畳むのは聞かないでください……」
「ふむ……」
久雨のほうは制服姿でした。学校に行く用事はありませんが、しっかりとネクタイまで締めています。結び目がしっかり左右均等の逆三角形型なのも、完璧主義者の彼女らしい。
「ならば、私がアイロンがけを教えようか?」
「ええっ!」
「安心しろ。身構えるほど難しくはない」
「いえ、そうではなくて、ですね。せっかくのお休みだというのに……」
「気にしなくてもいい。私も今日は予定がない。乾燥機にかけた後、午後にでも手伝いに行こう」
実に無駄のない返答をすると、久雨は一迅の風のようにその場を去って行きました。
彼女の背を目で追いながら、零葉は胸の前で両手を重ね合わせていました。祈るように。
「やっぱり久雨さん、あなたは天使です……♪」
昼を回ったころ、零葉の部屋のドアをノックする音がありました。
「ようこそ私の部屋へ。そのままどうぞ。今日は同室の方も出掛けていていませんよ」
「そうか」
と言って久雨は、アイロンやその台など、一式を持ちあげて入室します。
「よっ、と。邪魔するぞ、零葉」
てきぱきと準備を整え、アイロンのコードを差すところまで、久雨はまるで流れる川のようにとどこおりなく終えました。
「まずは衣類のタグを確認して、書いてある表示を確認するんだ」
久雨は正座して、すっと背筋が伸びております。マナー講師のようです。彼女といると零葉も、きれいな姿勢になるのです。
「あ、はい……ええいと」
「大抵のもののタグはこのあたりにある。そうだ」
洗濯表示タグにはアイロンのマークと、「高」「中」「低」の種別が示されています。なかには「×(不可)」といってアイロンがけができないもの、「当て布」といって当て布を使ってアイロンがけすべきものもありますが、零葉の洗濯物には今回、そういった特別なものはないようでした。
「では、基本のYシャツからやってみるか」
と言って、久雨は自分に一枚シャツをとり、零葉にも渡しました。
「綿のYシャツはシワになりやすいので、アイロンがけする前に全体に霧吹きを吹きかけ湿らせるといい」
シュッシュと霧吹きをかける久雨に促され、零葉もやってみました。久雨のようにムラなくはできませんが、それなりにはできた気がします。
アイロンの熱加減を見てから、久雨は実際のアイロンがけにはいります。
「アイロンをかける順序は『細かい部分から』が基本だ。Yシャツで言えばエリからだな」
話しながらも彼女の手は、熟練の動きを見せていました。
「表裏かけるのに注意したい。エリは他より生地が厚くなっているため、両面からかけることによりシワが綺麗に伸びるからだ。左手をうまく使い、縫い目を引っ張りながらかけるとうまくいくだろう」
といった風にゆっくりと説明しつつ、久雨はYシャツのエリから肩、カフス、そうして袖へと順番にアイロンを当てていくのです。まるで魔法の手です。久雨がアイロンをかけた場所はすべて、ぴったりと気持ちのいい伸び方をしていくのでした。最後に、『身ごろ』といって服の残る部分を仕上げ、ハンガーにかけて完成です。
「これで一丁上がりだ」
うながされて零葉もやってみます。
「えっと……」
ところが久雨のようにスムーズにアイロンが進みません。よたよたとよろけてしまいます。
「力を抜け。その方が上手くいく」
アイロンのコツは滑らせること、そう言いながら久雨は、手を零葉の手の上に重ねて優しく指導するのでした。久雨の手のひらは柔らかく、そして陶器のようになめらかです。久雨の手が離れても、零葉の手の甲には、しばらく彼女の感触が残りました。
山のような洗濯ものといってもしょせんは一人分です。みるみるうちにアイロンがけは終わり、さらに畳み方もレクチャーを受けて、一連の作業はつつがなく終わりました。
「お疲れ様。筋が良いな、回数を重ねればきっと上達するぞ」
「ありがとうございました……!」
「なんの。困ったときはお互い様だ」
偉ぶるでもなく恩着せがましくもなく、当然のことをしたまで、とばかりに清々しい久雨の口調です。同い年ながら大人びているようにも思え、零葉は彼女への尊敬の念を新たにしました。
「お茶にしませんか。お礼といってはなんですが、ささやかながらお菓子も用意しました」
「お茶? それは、ありがたいが……なにか、私が手伝うことはないか?」
「いえいえ、久雨さんは座っていて下さい。そのままで」
スチームの香がほんのり残る中、クッキーと紅茶を盆に乗せて戻ってきた零葉は、久雨がハムスターのぬいぐるみを手にしているのを見ました。ベッドの上に残していたものです。久雨はものも言わず、手触りを確かめるようにしながらじっと見つめています。
「おっと、失礼。勝手に手にしてしまった」
「構いませんよ。ハムスター、好きですか?」
「うむ。可愛いな」
ところで、と久雨は一言挟んで続けました。
「なあ。これ、私に贈ってくれた鯨と同じ……零葉の手作りか?」
久雨の切れ長の瞳でまっすぐに見つめられたせいか、いささか照れるように零葉はうつむいて、
「え、ええ、私がぬいぐるみ教室で初めて作ったものです。久雨さんにお渡しした鯨のぬいぐるみもその時に……ちょっと変でしょう?」
「いいや。素敵だ。誰が何と言おうとな」
久雨の口元がほころびました。
たしかに、技術的には未熟なところがあります。失敗しているところもありました。けれども、心を込めて作ったぬいぐるみが、悪いものであるはずがないのです。もし機会があれば、今度はぬいぐるみの作り方を教えようかな、と久雨は思いました。
久雨はハムスターをベッドに座らせました。
クッキーをつまみお茶を味わってしばし歓談します。
話の種はつきません。授業のこと、共通の友人について、行きつけの店や、最近見聞きしたものごとなど……気がつけば、驚くほどに時計の針が進んでいました。
このとき零葉が、ふと思ったことを口にしていました。
「ところで久雨さんは、なにゆえぜスカートや女性らしい服をあまり着ないのです?」
最初にも書きましたが、今も久雨は男子制服に身を包んでいるのです。それ以外の服装であってもユニセックスかあるいは、むしろ男性寄りのものばかり彼女は身につけていました。
久雨は少し、言い淀みました。語り出すと長くなりそうだからです。
けれどもここは詳細な説明を求められているわけではないだろう、と考え直して、それでも、つっかえつっかえしながら応じました。
「丈が長い物は……昔、散々着させられたから。短い物はすーすーして落ち着かんから、苦手だ。私は、自分で選んで良しとした物を着たい」
こんな言い分で納得してもらえるだろうか――そんな迷いがあるからか、やや上目遣いになってしまう久雨でした。
彼女らしい理由です、となんとなく零葉は思いますがその一方で、でもやっぱり可愛い服も似合うはずと考えたりもするのです。
ここでぴこんと音がしました。
実際に鳴った音ではありません。零葉の脳内でした音です。いわばひらめきの効果音。
「そうだ……! 久雨さん、ちょっとここで待っていていただけますか?」
と言い残し、盆も残して、零葉は身を翻しました。
しばらくたって戻ってきた彼女は戻ってきません。もうじき夕方なので、あまり長居してはと久雨は立ち上がりました。
「ご馳走さま。私はそろそろ……」
「あ、待って下さい」
ここで零葉が戻ってきました。出てきて最初に言った言葉が、これです。
「久雨さん、遅れましたがお誕生日、おめでとうございます♪」
そうして零葉は久雨に、何やら包みを手渡したのでした。
「え……」
予想外だったので久雨は即応できません。しばし言葉を失って、ようやく、
「誕生日? ……もしや、覚えていてくれたのか!?」
瞬時、胸がいっぱいになりました。じんと熱いものがこみ上げます。それでも久雨はなんとか、言葉を絞り出します。
「あ……ありがとう。大事に、させてもらうな」
「手製の薔薇をモチーフとしたドレスです」
零葉は満面の笑みを浮かべて言いました。
「本物のドレスと違って素材は安上がりですけど……これも私の手製です。以前、久雨さんがこれを素敵な表情で眺めていたと目撃情報があったので再現してみましたけど……どうでしょう?」
ちょっと遅くなってしまいましたが、いつか渡そうと零葉が用意していたものです。今日はアイロンがけたりお話していたりして頭がいっぱいになったせいか、うっかり渡しそびれるところでした。
「いつか、着ているところを見せて下さいね♪」
「ああ……もちろんだ」
久雨は深くうなずきます。
気に入らないはずはありません。
けれど着る機会があるだろうかと、そんなことも久雨は思うのでした。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年01月29日
参加申し込みの期限
2015年02月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年02月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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