鬼が居ようとランドリー｜リアクション

鬼が居ようとランドリー

　エピローグ

　さて榛名冥は、無事洗濯機を動かしたのは良かったのですが、
「一回じゃ入りきれないから、ってことで洗い物、もう半分残ってるんだよね」
　洗濯機が終わるのを待ってもいいけれど、なんだか今日は、それで終わりにしたくない気分でした。
　そのとき冥は思いついたのです。
「もうこうなったら手でやろう手で！　足でジャブジャブするの、一度やってみたかったもの！」
　思い立ったが吉日と言いますもの、彼女は大きなたらいを洗濯室の隅に見つけると、これを担いで中庭に飛び出しました。
　たらいに水を溜めて洗剤を適量混ぜて、そこに素足で飛び込みます。
「せーの、いっちにいっちにいっちに！」
　これは……楽しい！
　降りて洗濯ものをひっくり返します。
　意外と重い。水を吸った洗濯物はここまで重くなるのですね。これは発見でした。
「それでは再開！　よいしょ」
　ところが、ここでトラブル発生！
「……っとあいたぁ！？」
　冥は転倒してしまったのでした。たらいがバタっと垂直に立って、どばっとその中身を彼女の身に浴びせます。
　すなわち彼女が、濡れネズミになってしまったということです。
「えうう……結局全身濡れた……ケッコーちめたい……」
　はっきり申しまして下着までぐっしょりでした。
　いま着ているものも、また洗濯する必要がありそうですね。
「でも、め……めげないもん！」
　と強く誓った冥ですけれども油断大敵！
「なー、そこ、なにやってんスか？」
　ちょうどそこに南波太陽が通りかかったのです。彼も今から洗濯に行く様子で、スーパーマーケットで見るようなカゴで汚れ物を運んでいます。
　彼はヘラっと、ビニール袋なみに軽い笑みを浮かべました。
「おひょ、なんかびしょびしょのスケスケッスよ？　濡れスケってやつッスか－？」
「って……見ちゃダメ！　ダメったらダメなんだからね！！」
　スコーン！　良い音を立てて、太陽の脳天をたらいが直撃しました。

　高い高い青空。
　宙を舞うたらい。
　そしてふわふわ、しゃぼん玉。
　日本の秋です。

「くしゅん、着替えてこなきゃ」
　ぽたぽた水滴を垂らしながら、冥は部屋へと戻っていくのでした。

『鬼が居ようとランドリー』おしまい

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あとがき

担当マスター：桂木京介
ファンレターはマスターページから！

　ご参加ありがとうございました。桂木京介です。

　皆様の素晴らしいアクションのおかげで、バラエティ豊かなお話になったと思います。こういった日常系のシナリオは、寝子島のみなさんの生活を垣間見るようで楽しいですね。私自身、楽しんで執筆できました！
　日常系のシナリオは、これからもぽつぽつとやっていきたいと思います。
　ご意見ご感想あるいは「こういう日常の話をやってほしい」といったご要望などありましたら、よろしくお願い申し上げます。

　それではまた、あなたとお目にかかる日を楽しみにしております。
　桂木京介でした。

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