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鬼が居ようとランドリー
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むくりと
深倉 理紗子
は身を起こしました。
寄りかかるようにして柱に手を滑らせ、立ち上がります。そして鏡の前に立ちました。
……ひどい格好です。
服は昨夜と同じものを着たまま、だから当然、シャツはくしゃくしゃです。頭は寝癖ぼうぼうで焔のごとし、よく寝たはずなのに目の下には隈があります。なんと首かけの名札を外すことすらしておらず、提げ紐が伸びたラーメンみたいに見えました。
自分に「おはよう」なんていう元気はありません。
「はぁ……」
かわりに、洩れてくるのは溜息でした。
時計を見ると既に、午前十時をまわっていました。まだ寝足りませんが理紗子は仕方なく、死刑台に直立した囚人のような足取りで振り向きました。身体がだるい。両肩に、弁当と水筒を詰めたリュックサックを背負っているような重さとだるさがあります。
スーパーで売られている鯛のような目で、彼女は部屋を見回しました。
ひどい。
これが独身女性の部屋でしょうか。
元気な犬が数頭、飛び込んでひと暴れした後のようになっていました。
あちこちに脱いだ服が転がっています。針金のハンガーに掛けた上着がハンガーごと落ちており、本棚からは靴下が片方だけ顔を見せていました。ビタミン剤の瓶は横倒しになっていて、フタが落ちたか中身が散乱していました。積み上げた本が雪崩を起こして、封を切らないままの封筒束を覆い隠しています。テレビのリモコンが斜めに突き立っているのはなぜか、飲み口が白くカサカサに汚れたワイングラスでした。電報といっしょに送られてきたぬいぐるみが、電報を抱いたままノートパソコンの上で行き倒れております。ぬいぐるみが持っているのは多分祝電だったはずですが、これが『助けて……』というダイイングメッセージだったとしても理紗子は驚かないでしょう。
このとき理紗子の脳から、薄もやのようなベールは取り払われていました。
まず愕然として、そして、崩れ落ちたくなります。
「自分の部屋も片付けられないなんて……」
このとき涙がひとしずく、彼女の頬を伝い落ちていました。
もちろんこの部屋を荒らしたのは、元気な犬ではありません。
朝は6時半出勤・夜は午前様、休日出勤は茶飯事で、寝ていてもたたき起こされ病院に駆けつけることも珍しくない……そんな勤務医としての毎日に忙殺された彼女自身が、少しずつしかし着実に、この惨状を作り上げたのです。
今日は、ようやく訪れた非番の日でした。……といっても、急患や受け持ち患者の容体急変という事態さえなければ、の話ですけれども。
ゾンビそっくりの顔色とステップで、ゆっくりと彼女はシャワールームに移動を開始しました。
泣いている場合じゃない。
人間に、還ろう。
着替えた理紗子はまず、脱ぎ散らかした服や下着をどんどん拾い集め籐の籠に投げ込みました。
これらをパンパンに詰めると少し、部屋がましになったように見えます。
そして籠をかついで、彼女はマンション一階のコインランドリーへ向かいました。
「あっ、財布わすれたー。オーマイガッ!」
理紗子の目の前でランドリーの入口から、中学生くらいの少年が飛び出して来ました。
よほど急いでいたのでしょう、彼は慌ただしく自転車をひっぱり出してまたがり、矢よりも早く漕ぎ去っていったのです。
あれくらいの子をランドリーで見かけるのは珍しいことです。
家でお母さんが洗濯してくれるだろうに……?
などと考えながら、理紗子は実家を思い起こしたりもしました。そういえば久しく東京には帰っていません。帰りたいとはあまり、思いませんが。
コインランドリーは空いていました。とくに何も考えず慣れた手つきでセッティングを終え、スイッチを押してベンチに座り込みます。
理紗子は両膝を開いて重心を落とすと、両肘は膝に置き、ふたつの手で頭を抱えました。
聞こえるのは、アイドリング中の救急車のような低く静かな低音……洗濯機の呻り声だけでした。遠くに人の話し声のようなものもしましたが、気にはなりません。
待ち時間に……何をする気もおきませんでした。
読みかけの小説を持ってきてもよかったのですが、読みたいとは思いませんでした。そもそも話の筋が理解できるか不明です。もう二週間以上、手に取る暇すらなかったのですから。
携帯でニュースをチェックしたいとも思わない。どうせ世界は、理紗子の意向なんて一瞥もせず転がっていくだけでしょう。芸能人の誰と誰がくっついて別れたか、なんていう話はたとえ暇があっても興味すら起こりません。
現実に理紗子の目の前あるのは洗濯機と乾燥機だけですが、彼女はそこに、分厚い壁があるように思いました。
分厚い壁です。
打ちっ放しの冷たいコンクリートで、表面はざらざらとしている壁です。
壁は目の前だけではなく背後にも、両脇にもあります。
行き止まり。
理紗子は、行き止まりに追い込まれたような焦りを感じていました。
職場の彼女を知る人は彼女を、優秀な女医と評することでしょう。知識豊富で冷静な判断力があり、リーダーシップがあって面倒見がいい。颯爽としていて、つねに胸を張って歩く。実際、困ったことがあるとまず、理紗子に相談してくる同僚や後輩は何人もいました。近い将来主任になるだろうと、噂している声は何度も耳にしています。
でも本当は……。
理紗子は叫びたいのです。
本来の深倉理紗子は、打たれ弱く凹みやすい人間なのだと。
幼き日から親に叩き込まれた劣等感の塊で、泣き虫なのだと。
理紗子は己のなかにある強い承認欲求が嫌いでした。第三者に評価されたがる性根を憎んですらいました。医者になったのだって、人道的な使命感からではありません。はっきりと言うと、他人に頼られる人間になりたかったからです。だからこの選択には……今なお迷いがありました。
それが育ちに原因があること、具体的に言えば、並外れて優秀な兄と姉にいつも比較されて育ってきたせいであるということも彼女はわかっていました。
虐待ではありません。両親は理紗子に奮起をうながすつもりでいつも、彼女を兄と比べ姉と比べしてきたのです。理紗子はそのことだって理解していました。愛情ゆえのことであると。
けれど愛からなされた行為が、すべて価値ある行為というわけではない……!
思考はそこから進みません。そこで行き詰まって理紗子はまた、過去の記憶に苦しみ、仕事のことに悩み、医者になって良かったのか……という迷宮へと戻っていくのでした。堂々巡り、です。
洗濯機が止まりました。
理紗子はのろのろと立ち上がります。
本当はこんなこと、考えるのは嫌です。逃げ出したいくらいです。
でもそれは、人の命を預かる職にある者としての責任感が許さないでしょう。
「……こんなので本当に、これから医者としてやっていけるのかな、わたし……」
ぽつりと理紗子の唇から言葉が洩れました。
それを耳にしたのか、隣のベンチにいた少女の三つ編みが揺れました。
常闇月は顔を上げましたが、なにも言わず自分の懐中時計に視線を戻しました。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
桂木京介
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
コメディ
定員
15人
参加キャラクター数
16人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年01月29日
参加申し込みの期限
2015年02月05日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年02月05日 11時00分
参加キャラクター一覧
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