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ミッドナイト・フリーキー・ショウ! ~立入禁止
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【斜陽】
カアと一声、カラスが鳴いて。
ふわり、顔を覆った翼の感触を、彼は覚えています。
あちらにも、こちらにも。ミラーハウスの無数の鏡に映し出された、無数の自分の顔を。
彼は、
八神 修
はまだ、覚えています。今は、まだ。
御剣 刀
にとって何より大切なものは、このフツウの日々です。
穏やかな寝子島に生きる自分の、フツウの日々。気の置けない友人たちと共に過ごす、フツウの日々。
確かにこのところは、神魂の影響やら何やらで、そこへ奇怪な現象とか不思議な生き物とかが、これでもかとトッピングされていたりもしますけれど……今はそれも含めて、刀のフツウ。日常でした。
それらを、守ること。自ら、手にした剣で守り抜くこと。それこそが、刀が日々己を鍛え上げる、最大の理由です。
この島における日常とは、かくも脆いものなのです。刀はこれまでに、痛いほどに実感してきました。
崩れてしまったら。無くなってしまったら……。
故に彼は、今日も、寝子島神社の境内へ向かいます。そこが彼にとって定番の、剣術の修行にはうってつけの場所でした。
「ああ、今日も良い天気だな……」
さて、今日はどんな修行をしようか。考えを巡らせながら、神社へ続く山道を歩いていたところへ……目の前に、あまりにも唐突に、現れたのです。
規制線まみれの、扉が。
自分の持つ力について、修は常に憂慮し、抑えつけてきました。
岩。コンクリート。金属。彼が望むなら、そんなものとて、バラバラに分解することができました。彼は手を触れ、息を止め、意識を集中するだけで良いのです。
いえ、このところ更に強まった力は、視線が通ってさえいれば触れずとも分解してしまえるほどに、成長していました。それも、影響を及ぼすことのできる範囲は、彼自身にももはや想像が付きません。
もっとも、能力が十分に効力を発揮するまでには、相応の時を必要としました。強力であっても、瞬発力に優れてはいません。
ただ、事物には基点、基礎といったものが存在します。基点を突き、効率よく破壊を伝播させ、能力をより広範囲に、最大限に発揮する。そこへ至る道筋、工程の全てを理論として構築するに足る頭脳を彼が備えていたことが、今、彼自身にとって、最大の危惧となっていました。
彼は、見て、息を止め、意識を集中するだけで良いのです。
ただ、それだけで。
(また神魂か……やれやれ)
ひとつため息をついた刀の胸の内は、この時はまだ、平穏でした。
突然現れる、奇妙な現象。すっかり見慣れてしまったこんな怪異とて、彼にとってはまだ、フツウの日常の範疇に思えたのです。
何かに導かれるように、張り巡らされた黄色と黒のテープを破り捨て、扉を開くまでは。
「……え」
そこは寝子島高校、1年1組の教室でした。
慌てて扉を閉め、深呼吸をして、もう一度開けば……そこは、寝子島神社の境内。いつもの修行場所でした。
「っ!」
勢い良く扉を閉め、もう一度。
そこは、山道商店街でした。いつも刀が買い物をしている、見慣れた場所。
「何だよ……何なんだよ、これはっ!?」
教室で、神社の境内で、山道商店街の至るところで。
朱に染まり、倒れていました。全ての人々が。
見知った顔も。そうでない顔も。一緒に他愛の無いことで笑ったあいつも。共に剣を振るい、高め合ったあの人も。困難へ立ち向かい、協力して乗り越えた彼も。何気ないフツウの日々を、一緒に過ごしてくれたあの子も。
みんな。みんな。みんな。
「みんな……死んでた? 死んだ? 何で、何でだ…………いや。そうだ。見間違い、神魂が見せた幻だ。まだ直接確かめたわけじゃない……そうだ、まだ俺のフツウは、崩れちゃいない……」
ふと、刀はまぶしさに目を細めます。
空に滲む西日が、島を赤く、赤く染め始めていました。
思えば、あの時。翼が触れた時、芽は植えつけられていたのでしょう。
始まっていたのでしょう。修の中の、変化は。
ただ、それを彼へと伝えられる誰かは、この場にはいません。
「…………フフ」
ぺたりと、鏡へ、修は手を添えます。
自分の顔。いつもと何も変わらない修の顔が、ミラーハウスの鏡の一枚に映し出されています。
「何を迷っていたんだろうな、俺は。バカバカしい。俺にはやるべきことがあったというのに。何にも勝る、俺にしか出来ない使命があったというのに」
いつもと変わらない、自分。そう、これは修自身の意思による行い。誰に促されたのでもなく、修が心から願い、渇望してきたこと。
時が、来たのです。
「俺が、この世界のフツウを……分解する!」
鏡と、そこへ映る旧態依然とした古い自分の姿を粉々に分解し、彼は今、完全なる目覚めを果たしました。
かつての修を、あの冷静で理路整然としていて、誰にも頼られる修を知る誰かがこの場にいれば、あるいは彼は、踏みとどまれたのかも知れません。正気を取り戻すことができたのかも知れません。けれど、それは叶いませんでした。
そんな誰かは、影すら残らないほどにまで、分解されてしまった後だったので。
その日、凄まじい地震が、寝子島を襲いました。
「くそ、どうなってる……!?」
おぼつかない足元に悪態をつきながらも、瓦礫を避け、地に走った亀裂を飛び越え、刀は全力で駆けていきます。
「……俺の力が、足りなかったのか? また、届かないのか? 俺の剣は……」
目まぐるしく通り過ぎていく、島の風景。今、それらの全ては、単一の色に染まっていました。
粘つくようにどす黒い、赤へ。
「何でだ。何で、こうなったんだ……」
横たわった親子らしき二人を避けて、壁にもたれたまま動かない老婆を横目に、川の中に浮かぶ学生の上を飛び越えて……あれは、知っている誰かでは無かったか? 今、水中の一角へと紅色を滲ませながら揺れている、見慣れた制服の誰かは?
「……誰が……こうした……!? 俺の日常を……島のフツウを、こんなにも、一体、誰が……!!」
工事現場の高所から滑り落ちた建材に貫かれた女の脇をすり抜け、濁流を流れていく多くの人々に歯噛みしながら、欠けた校門の間をくぐり、蜘蛛の巣のようにひび割れたグラウンドを目にした、瞬間。頭上から、金切り声が轟きました。
砕けて一枚も残っていない窓ガラス。南校舎。その、屋上。鉄柵の向こうに。
二つの人影が。
再度響いた声に、扉をぶち破って屋上へと飛び込んだ時、目に入った人影はひとつ。
代わりに、カラフルな微粒子が風に乗って流れていくのを、刀は絶望的な気分で眺めます。
知っている気がしたのです。屋上に見た人影の一つを。
彼女は、そう……刀にとって、そしてこの島に暮らす人々の何割かにとっては、フツウの日常を象徴するような……そんな存在だったはず。
それを。この男は。
「…………ゥゥ……ああああああああァ!!」
修は、己の無力に迸らせた刀の咆哮を、聞いてはいませんでした。彼を見てはいませんでした。ここから良く見える九夜山を、ただじっと、かけた眼鏡のレンズを通して、静かに見据えています。
口元を歪ませ、張りつけた笑いと共に。
「お前が!! お前が……壊した! 無くした……何故だ! 何でだ、八神ッ!!」
ケースから引き抜いた木刀を振るい、切っ先を突きつけ、溢れ出るままに叫べば。
「……理由が何かなんて言うのは、些細なことさ。いかにも凡百な輩の気にするような、つまらないこと……俺は違う。違うんだよ、御剣」
西日が眼鏡を通し、その瞳は、まるで燃え盛るような紅に染まって。
「俺には、出来る。それが、それこそが最も重視されるべき点なんだ。フフ、どうかな……お前には、理解の及ばない領域かも知れないが」
「!!」
刀はその時、確かに、空に聞きました。遠ざかっていく、カアという鳴き声を。
飛び去っていく一羽のカラスを、確かに、その目で。
「……お前」
「フフ……ハハハ! さあ、まだ終わってはいないぞ? こいつは少しばかり、時間がかかるのが難点でね……だが、もうすぐだ。もうすぐ……」
ぐ、と息を飲み込み、馴染んだ柄を拳が白くなるほどに握り締め、切っ先の示す先、その軌道をなぞるように、刀は飛び出しました。
その後、二人がどうなったのかは誰も知らず、語られることもありませんでした。
地の底から突き上げるような地震に揺さぶり尽くされ、山よりも高く押し寄せた波に余さず飲み込まれた寝子島には、語ることのできる誰かはもう、一人も残されてはいなかったので。
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担当ゲームマスター
墨谷幽
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
推理・サスペンス
ホラー
SF・ファンタジー
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2015年01月17日
参加申し込みの期限
2015年01月24日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年01月24日 11時00分
参加キャラクター一覧
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