怪人セブンの復讐｜リアクション

怪人セブンの復讐

【撲滅隊の迫害】

「ギャハハハハ！　いい気味だぜェ！」
　犬神は叢雲の黒服６名をあっという間に叩きのめしてしまった。
　結局、泉月花のいる教団施設へ戻る撲滅隊はメサイアと結託することになった。
　手始めに外の見張りの黒服６名を襲撃することに。
　犬神を中心とした20名以上のもれいびが黒服どもを袋叩きにしたのだ。
　南無三！
「ゴーレム野郎はマジ勘弁だけどよォ、生身のもれいびなら花梨ちゃん無双だぜ！」
　黒服の山の上に仁王立ちになって胸を張る犬神であった。
「……な、なんだお前……？　まさか、プロの殺し屋……？」
　意識の残っている黒服の男が、恐怖で顔がひきつる。
「あァん？　俺様が誰かって？　決まってんだろ！　よーく聞きやがれ！」
　男の顔を踏み付けながら、犬神は高らかに名乗った。
「俺様は戦闘狂集団『七星』が１人、『貪狼』の犬神花梨ちゃん様だぜ！　職業は……」
　ビシッと親指を立てる犬神。

「保育士だッ！」
「お前みたいな……保育士がいて、たまるか……！」
　ガクッと男の首がしなだれ、意識を失ってしまった。
「さーってと、とっととバス乗って帰ろーぜ？　ああ、運転は任せろ。俺様は保育士だからな！」
　送迎バスを毎日運転しているというが、子供が泣かないか非常に心配になる強面である。
「俺も運転できるぜ！　運転免許取ったからな。……バスはまぁ、気合だろ、気合！」
　クロウディアも運転手に立候補した。
　とても不安になる言葉を聞いた気がするが、これで運転手が２名に。
「……では、３号車は俺たちが運転しよう」
　三城のろっこんで回復した九重自ら運転するらしい。
　と、ここで如月が九重に声を掛けた。
「……さっきはすまなかった。１つだけ、聞きてぇことがある……」
　九重は無言で如月の言葉を促した。
「あんたは、“ヒト”と“もれいび”はどう付き合っていけばいいのかその考えを知りたい」
　如月の質問に、九重は口を真一文字に閉じた。
「俺は不良だが、力が無ぇ奴らを巻き込む暴力には憎悪を抱く。……叢雲がそれだ……」
　如月の顔が、嫌悪感によって歪む。
「あんたらはどうなんだ……？　聞かせてくれ」
「僕も聞きたいことがあるんだ。メサイアが戦うのは何のため？　叢雲を倒したあとはどうするつもりなのかな？」
　新井も疑問を投げ掛けた。
　２人の問いに、九重はしばし沈黙。
　考えをまとめているのか、なかなか答えなかった。
「……俺たちは、そもそも“ヒト”だとか“もれいび”とか、区別して考えていない」
「ほう」
　如月の目の奥が光った。
「俺たちは『フツウを見守る』存在だ。つまり、俺達は監視者だ。だからフツウが乱されそうになれば、その障害を排除して、虐げられた側を庇護する。そこに力の有無は関係ない。善悪も関係ない。俺達はフツウにとって“より有害な存在”を攻撃するだけだ」
「それじゃ、立場が違ったら僕たちを攻撃することもありえたってこと……？」
「そういう未来もあったかもな？」
　九重の答えに新井の顔が曇った。
「……そうか。あんたが骨削を躊躇なく撃った理由、なんとなく分かった気がする……」
　小声で、やりづれぇ、と如月は呟いたのだった。