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秋の夜長は一回休みなのさ
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「あ……。こ、こんばん……は……」
どこに隠れたらいいんだろう。
浅葱 あやめ
は思った。
「ああ、今夜はいい月だな。眼鏡屋、あんたも月見か?」
それというのも、隣の時計店の店主、
仁科 宝良
に話しかけられたからだ。
別に隠れる必要はないという話もあるが、少しだけ気になった白猫にちょっかいをかけようとする前に逃げられたところを宝良に見られたあやめは、何となく気まずい思いをしていた。
そもそもこの隣人とあまり頻繁に会話をした憶えがない。いやそもそも、あやめは隣人と世間話を滑らかにできるような社交性は持ち合わせていない。要は、何を話したらいいか分からないのだ。
「い、いえ……月見というわけでは……その、猫が、ですね……。あ、でも月も綺麗ですね、確かに……」
たどたどしく、あやめは応える。しかし言葉は少なく、状況を確実に説明しているようにも聞こえない、しかも取ってつけたように月も綺麗だなどと答えていて、何が言いたいのかいまいち伝わらない。心情的にはこうだ。
自分は別に月を見るために今こうしてベランダに出ているわけではなくて、そもそもの目的は白猫に構おうとしたことであるわけだから目的は月見ではないという説明は正しい、しかし相手が言わんとしていることは果たして自分がベランダに出ている目的を問おうとしているのだろうかといえば、いやこれはやはり社交辞令的な挨拶と捉えるべきだろうし、これにただ否と応えては相手の言葉全部を否定しているようで印象が悪くないだろうか、普段会話も少ない相手なのだからこそ悪い印象を与えることは極力避けたい、ならば宝良の言葉通り月は綺麗であるということはしっかり伝えなければならない、そこは返しておこう、これがベストだ。
細かいところを気にしすぎているうえに、思考が二重三重にもループしている。しかも、その結果として各方面に気を使っているようでいて、その全てがぼやけてしまっている。典型的な話し下手であった。咄嗟に社交辞令的な挨拶を返すことが苦手で、何か口を滑らせて相手に不快感を与えてはいけないと臆病になるあまり、肝心なことは話せなくなるタイプである。仕事中はまだ接客という意識が働くのでどうにかなるが、このようにプライベートな空間ではそれも難しい。
故に、少し恥ずかしいところを見られたこともあって、あやめは一瞬にしてこの場から消え失せてしまいたいという衝動に駆られるわけだが、それすらも叶わない。
何しろ、小さなベランダ同士で向かい合わせになったお隣さんとの間に隔てるものは何もなく、その二人を照らし続ける眩しい月が無慈悲なほどに輝き続けているのだから。
「ああ……あの白猫か……そういやあんたんとこも猫飼ってたな」
「は……はい……」
宝良もまた、あやめとの間に流れる微妙な空気を感じながら、次の言葉を探していた。
「いいんじゃねぇか。猫に限らず、動物好きはいい奴が多いって言うしな」
何を言っているんだろう、と我ながら思うが、この目つきの悪い隣人とは日頃そこまで会話もしていないものだから、正直何を話していいのか分からない。
宝良とて愛想のいい方ではない、というか、はっきり言って無愛想だ。しかも喋ったかと思うと、口も悪いときている。
「……」
宝良は黙ったまま次の煙草を取り出して火をつけた。宝良は元よりヘビースモーカーだ、この場においてこの動作は不自然なものではない。
しかしまいったな、と宝良は思う。
日頃の会話も少ないこの隣人と何を話していいものか。店も隣だしまるで会話がないわけではないが、特に話題のない社交辞令的な挨拶が終わってしまうと、お互いに口を開くタイミングがない。
そして、二人とも世間話が苦手なタイプだ。
かといって話しかけたのは宝良の方だ。このままだんまりを決め込むのも、無言で部屋に戻るのも失礼というものだろう。
しかし話題がない。普段は使わない類の脳細胞をフル回転させて、宝良の口から紫煙と共に吐き出された台詞がこれである。
「……秋も半ばになると、ずいぶんと涼しくなったな」
まさに世間話であった。互いの間に話題がありませんと宣言しているようなものだ。
しかしやや意外なことに、あやめはこの話題に乗ってきた。
「……そう、ですね。もうそろそろ……暖かいものが、美味しい季節になってきましたね……」
「あったけぇもんか……」
あやめの言葉に、宝良は自然に頷いた。宝良自身は料理や家事は最低限しかやらないので思いつかなかったが、あやめは家族の分の食事も担当しているため、料理の話なら少しは応対できるのだ。
「……あ……」
しかし、次の言葉を紡ぐ前にあやめは宝良から目を逸らしてしまう。
「……どうかしたか?」
怪訝に思った宝良が訊ねる。
「い、いえ……何でも……」
あやめは自然に食事の話で応対したものの、次の瞬間に思ってしまったのである。
いきなり食べ物の話だなんて、食い意地が張っているとか思われなかっただろうか、と。
まさに無駄な気遣いと言えるだろう。実際のところ、あやめの仄暗さは見た目だけでなく、このネガティブさにも起因するのだ。
しかし、宝良はそんなことは気にも留めていない。例えば、食いたければ食う、それが宝良のスタイルだ。
「そうだな、冬になったら鍋なんかもいいかもしんねぇな」
「あ……、そ、そうですよね……鍋、いいですよね……うん」
どうやら自分の心配が杞憂であったことをようやく悟ったあやめは、宝良の呟きに相好を崩した。
「いいねぇ……まだ鍋本番って季節じゃねぇが、秋はうめぇもんが多いからな……気の早い鍋なんてぇのもいいかもしれねぇな」
話題に乗ってきたあやめを見て、宝良も少し気が楽になった。寒い冬に暖かい鍋はそれだけで心躍るメニューだ。
「身体を温める料理とか……食材を工夫すれば、な、鍋にも応用できます、よね……」
あやめの脳裏にいくつかの料理のレシピが浮かぶ。生姜や根菜、ネギなどをふんだんに入れた鍋などは温まりそうだ。秋の食材ということで、キノコ類をメインに据えてもいいかもしれない。
「そりゃあ美味そうだ……ま、二人で鍋も味気ねぇがな……食材も余るしよ」
今のところ宝良は甥との二人暮らし。さほど料理に凝るわけでもない身としては、食材の種類を増やすのは後々の処理に困るのだ。そもそも、何となく土鍋のイメージで話をしているが、調理器具の中に土鍋はあっただろうか。
「あ……それでしたら、今度……」
作ってみましょうか、と言いかけてあやめの言葉が止まる。
あやめは普段、浅葱家の食事を作っている都合上、時折仁科家におかずのお裾分けなどをしているが、鍋となるとまた話は別だ。鍋ものであればやはり暖めながら食べるのが望ましいし、鍋の美味しさのひとつにはやはり大人数で囲んで食べるというものがある。
つまりこの場合、あやめが鍋を作ってみるということは、自動的に『鍋を食べに来ませんか』という『お誘い』になってしまうのだ。または『鍋を持って作りに行きます』という宣言に取られてしまうかもしれない。
あやめはあやめで、自分などが食事に誘うなどおこがましいのではないか、などとまた余計な気を回したところであった。
「……あ、いや……その……」
するともう、あやめの口からは何となく言葉が出なくなる。
そんなあやめの様子を見て、宝良は軽くため息混じりに頭を掻いた。左手の薬指に指輪が光る。
宝良にも何となくあやめの思考回路が見えてきた。具体的な内容までは分からないが、何かが勝手に脳内で進行するタイプの人間のようだ。
何となく放っておけない。口は悪いが面倒見のいい宝良のアンテナに、何かが引っかかる。
「あー……んじゃ、今度鍋でも食おうか。呼んでくれりゃ、酒でも持って行くさ」
「え……」
いいんですか、僕なんかで。
あやめの口からそんなネガティブな言葉が出て来そうになった時。
あやめの携帯からメッセージの着信音が鳴った。
「あれ?」
誰だろう、こんな時間に。とあやめは携帯を取り出す。宝良も腕時計を見た。
「おっと、長い一服になっちまったな。俺ぁ戻るぜ、あんたも冷えねぇ内に家ん中入れよ。身体……弱そうだしな」
「あ、はい……おやすみなさい……」
宝良は軽く手を振ってベランダから部屋に入る。あやめもまたハシバミと共に部屋に入り、携帯のメッセージをチェックした。
「あ、また今度、くらい言えば……良かった、かな。でも……」
あやめはふと、宝良との何でもない会話を思い出す。
特別な話題がないからこそ、世間話で少し盛り上がったというこの時間が楽しかった。
ちょっとだけ、友達っぽかったな、とか。
「だとしたら……嬉しいな」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
まるよし
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月21日
参加申し込みの期限
2014年12月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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