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「……どうして信じてくれないんですの!」
エリーゼ・ハルトマン
は頬を膨らませた。旧市街の天利探偵事務所に駆け込んで来たはいいが、当の天利がまるで取り合わないのである。
「……嬢ちゃん。それ、こないだの服だろ。用意周到に服を返す準備をしてから悪い人に追われて来る奴ぁいねぇよ」
天利は冷蔵庫から取り出した発泡酒の缶をかしゅっと空ける。まぁ座れよ、と椅子を差し出しながら。
「むぅ~、そうとばかりは限らないですのに~!」
むくれるエリーゼは持参してきた手提げ袋を膝の上に置きながら、示された通りに椅子に座った。
その天利に、先に事務所を訪れていた
綾辻 綾花
は声を掛ける。
「そうですよ、ここを目指して来る途中に変質者に追いかけられたりしたかも……」
グラスを口に運ぶ天利。黙ってエリーゼの足元を指差した。
「仮に誰かに追われてこの辺を走り回ったのなら、もう少し靴や足元が汚れていてもいい筈だ。
それに、嬢ちゃんは息を切らしてはいるが汗が少ない。実際には走ってきていない証拠――つまり演技さ。
そもそも、その嬢ちゃんならそこらの変質者程度で逃げる必要はないだろ?」
ぎくり、と身を固くするエリーゼ。天利の言うとおり、お嬢様として育てられながらも、武術や格闘技を得意とするエリーゼであれば、生半可な変質者など相手にもなるまい。
だが、武術や格闘技の鍛錬を積んでいることは、天利には言っていない筈なのだが。
「……分かるんですの……?」
「分かるという程じゃねぇがな。身体運びが違うのさ、そういう連中は」
立ち上がった天利は、エリーゼが持って来た手提げ袋を受け取って、中を覗き込んだ。中に入っていたのは、この間の猫探しの途中で海に落ちたエリーゼのために天利がその辺の洋服店で買ってきた安物の洋服だ。その上に、天利がいつも吸っている煙草が一箱入っている。
「それに、仮に敵わないような相手だったとしても、嬢ちゃんなら逃げる手段に不足はないのさ……そうだろ?」
中から煙草の箱だけを取り出して、洋服を袋ごとエリーゼの膝に返す。
「う……その通りですわ……」
天利が言っているのは、エリーゼのろっこん『ダイアルC』のことである。目視先へと自分を瞬間移動できるその能力を駆使すれば、誰かから逃げることにそこまで苦労するとは思えない。
「ほらよ、煙草だけ貰っておくよ」
その能力で猫を助ける時に天利ごと海に落ちたエリーゼは、天利の煙草を濡らしてダメにしてしまったことを気にして、洋服を返すついでに新しい煙草を用立ててきたのだ。
「……お洋服もありがとうございました、お返し致しますわ?」
袋ごと洋服を差し出す。しかし天利は自分の椅子に座り直し、新しい煙草の封を切って一本取り出した。火をつけて、煙を天井に向けて吐き出す。
「いらん。一人モンの男が女児用の洋服持っててどうすんだ……変な噂が立ったら困る、持ってってくれ」
エリーゼは袋の中の洋服をしげしげと眺めた。白地にピンクのラインが薄く入った、シンプルな丸襟のワンピース。確かに安物だが、デザインとしては悪くないように思えた。
「……頂いても、よろしいんですの?」
エリーゼの問いに、天利は煙草をふかしながら答えた。
「ああ、この煙草の礼だ……いらんのなら悪いが、処分しておいてくれないか?」
その返答の代わりに、エリーゼは膝の洋服を袋ごときゅっと抱き締めた。
「……で、でしたら煙草は、それで良かったですの? 同じような箱の銘柄を探してもらったんですの……ですが、もし特別な、大切な物だったのなら……」
「いや、これで充分だ……俺が普段吸ってるのより高いヤツだな……つうか、何でわざわざ下手な芝居を打ってまでここに来たんだ?」
「え……だって……」
エリーゼは思い出していた、前回の気まずい別れ方を。普通に来ても追い返されるかもしれないと、彼女は内心考えていたのだ。だが、天利は何も気にしていない風で答えた。
「あん時ゃ、もう帰れって言ったんだ。別に来るなとは言ってない」
「え……」
「来るなとは言ってない……メールも送ったろ」
天利の言葉で、エリーゼの顔に僅かな笑みが浮かぶ。確かに、猫探しの騒動が落ち着いた朝、エリーゼに天利から軽い謝罪のようなひと言のメールが届いていた。大の大人が子供である自分にメールで謝るその事実が可笑しかった。おずおずと、エリーゼは口を開く。
「え、ええ……じゃ、じゃあ今度こそ助手に……」
「いや、そういうのはいらん」
即答。
「どうしてですの!!」
「常識的に考えろ! それこそ大の大人が小学生低学年を助手にしてたらおかしいだろ!」
「わたくし4年生ですわ、低学年ではありませんわー!!」
「ああそうか、そりゃ悪かったな! 同じだ同じ!!」
☆
「……寝ちゃいましたね」
天利との不毛な口論の末、結局事務所のソファで寝息を立て始めたエリーゼを眺めて、綾花は呟いた。
「もう子供は寝る時間だからな……ったく……何しに来たんだ……」
ぶつくさと文句を言いながら、天利は携帯を取り出して電話を掛けた。
「……ああもしもし……探偵の天利と申しますが……ええ……はいはい」
わずかなやり取りの後、天利は電話を切る。珍しく敬語だ、と綾花は思った。
「どこに電話したんですか?」
「この嬢ちゃんの保護者さ」
「どうして電話番号を?」
「……企業秘密。執事と大喧嘩して家出して来たんだとよ……これから引き渡しに行く」
よいしょ、という軽い声と共に、天利は眠ってしまったエリーゼを抱え上げた。まだ9歳のエリーゼの身体は軽く、簡単に抱えられてしまう。
「……どうして……ですの……」
「え?」
寝言だろうか。エリーゼの呟きに、天利は耳を傾けた。
「どうして、どうして渡里は私の振舞いを許してはくれないのですの……?
私はただ……お姉様の様に強く格好よく……なりたいだけですのに……」
渡里、というのが喧嘩した執事だろうか。天利が何も言わすにエリーゼを背負うものだから、綾花も何も聞けないまま、天利を見つめた。
「ほれ、もうここは空にするぞ、学生さんももう帰りな。寮だろ」
「ええ……でも、私の寮は門限がないので……」
「……門限がねぇったって、夜道が危ねぇことに変わりはねぇだろ。ほれ、どうせこの後出掛ける予定だったんだ、一緒に行くぞ」
「あ……はい」
どうやら天利に送ってもらえるらしい、綾花は自然に帰る準備を始めた。
天利がエリーゼの執事と落ち合う場所に歩いていくまで、エリーゼは天利の背中で眠りながら、幾つかの寝言を呟いた。
「お姉様……お姉様みたいに……白猫のようだと……可愛いと……言ってくれた……」
「……」
天利は何も言わない。ただ、黙々と歩いた。
「未熟だから……? だから許してくれないのですか……? だから強くなりたいのに……それすら……」
まるで泣き声のように、エリーゼはぽつり、ぽつりと呟いた。
「誰も……許してくれない……好きに生きてはいけないんですの……? 渡里も……天利のおじ様も……」
「……?」
不意に名前を呼ばれた天利は、一瞬だけエリーゼに気を向けた。
「私が未熟だから……名前で呼んではくれないのでしょうか……」
「……そういえば、天利さんは誰も名前とかで呼びませんよね……?」
黙って着いて来ていた綾花も、ぽつりと呟いた。
「……」
天利は答えない。寝ているのか起きているのか、エリーゼの呟きをただ背中で聞きながら。
「認めて貰えてないみたいで……とても悲しいんですの……」
やがて連絡した執事と落ち合った天利は、エリーゼを引き渡す。車に乗せられたエリーゼの髪をそっと撫でながら、静かに呟いた。
「あのなぁ嬢ちゃん……寝てんのか起きてんのか知らねぇけどよ……」
「……」
「認めるとかどうとかじゃねぇんだ……ただよ、大人ってのは持ってる荷物が重くってなぁ……」
そっと、エリーゼの隣に洋服の入った手提げ袋を置いた。
「今以上には……大事なものを持ちきれねぇのさ」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
まるよし
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ(150)
グループ参加
2人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月21日
参加申し込みの期限
2014年12月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月28日 11時00分
参加キャラクター一覧
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