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秋の夜長は一回休みなのさ
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「……と、さすがに飲んだな」
いよいよ時間も夜。
神無月 文貴
は行きつけのキャバレーを出たあと、店の前まで見送りに来た女の子達に手を振りながらぽつりと呟いた。
文貴は旧市街にある極道
『神無組』
の四代目である。
生まれも育ちも旧市街、地元に根差す老舗の極道の組長である彼は、今日も今日とて夜の周回に忙しい。こうして夜の街を歩きながら変わったところはないか、変な奴はいないか、困っている奴はいないかと見回りをしているのだ。
もちろん、そのついでに立ち寄った店で酒を飲むことは忘れない。
もちろん、さらにそのついでに店の女の子と楽しい時間を過ごすことも忘れない。
文貴は酒と女と地元をこよなく愛する、正しい極道であった。
そんな彼が、ふと見覚えのない男に出会う。
天利 二十だ。
「おっ……」
ゲイバー『ジオフロント』から少し慌てた様子で出てきた天利を見つけた文貴は、軽く声をかけた。
「よぉ、どうした兄さん。何かあったかい?」
正確に言えば、文貴にとって天利は見覚えのない顔ではない。数年前に寝子島旧市街に流れ着いた変わり者の探偵の噂は聞いていた。特に害のある男ではなさそうなので放っておいたが、最近は金を取らない雑用を引き受けていると舎弟から報告を受けている。
『仕事』と言いながら金を取らない男の存在を、少しだけ気にはしていた。
「……いや、何でもない」
天利は答えた。特に文貴を気にする様子もなく、立ち去ろうとする。その背中を文貴の声が止めた。
「何でもてぇことはねぇだろ、そんなに息を切らしてよ。バーのママからツケの催促か? 金なら貸してやるぜ?」
ピタリと天利の足が止まり、首だけが文貴を振り返る。
「……」
「知ってるぜ、金を取らずに妙な依頼ばっか請け負ってる探偵だろ――何も調べるのはソッチの専門じゃねぇってこった」
軽く口の端を上げる文貴。旧市街は隅から隅まで文貴の庭のようなもの、少し探りを入れれば風変わりな探偵がゲイバーでツケを溜めてることくらいはすぐ耳に入ってくる。
「別に隠した憶えもねぇけどな。ま、大きなお世話だ」
特に驚いた様子もなく天利は答える。一瞬しらけた間が空いたのをいい事に、文貴に対して背中を向けた。
「おいおい待てよ、互いに知らねぇのはフェアじゃねぇな。俺は――」
「――神無組の組長さんは大層お暇なようだな」
文貴の自己紹介をぶった切って、振り向きもせず天利が呟く。
「てめえ――」
一歩踏み出して、天利の肩を後ろから掴んだ。天利は再び首だけ振り返ると、文貴と目が合う。
文貴もその程度で怒ったわけではないが、天利の人となりを知っておくことはマイナスではないと感じた。天利といえば、やや強引に肩を掴んだ文貴を睨みつけるでもなく、かといって脅えた表情をするでもなく、ごく平静な様子で文貴の顔を眺めていた。
「何か用かい、組長さん? こちとら忙しいんだが」
「ふん。こっちの素性を知っておきながらその態度か」
「別に。噂も高い神無組の組長が、人畜無害なおっさんに難癖つけてくる程度の男だったら、そもそも会話すらしねぇ……で、何か用なのか?」
「……」
数秒。文貴が天利の肩を掴んだままの姿勢で、二人は互いの目を見る。
サングラスの向こう側の天利は無気力を装ってはいるが、芯の腐った男ではないと文貴には感じられた。
「ふん……気に入ったぜ。ちょっとそこの屋台で飲まねぇか。金がねーなら奢ってやるぜ?」
天利はようやく振り返り、軽く肩をすくめた。
「飲むのは構わんが、組長さんに借りを作るのはぞっとしねぇな。金ならある、遠慮するぜ」
文貴の誘導に従って、天利は屋台の方へと足を向ける。歩きながら、文貴は尋ねた。
「ん? 金があるならゲイバーのツケくれぇ払えるだろ?」
「ああ……相手の懐に深く入るには、あえて弱味を見せるのが一番なのさ。まぁ……ママには黙っててくれると助かるけどよ」
無精ヒゲの口元を軽く上げた天利の横顔。文貴は思った。
楽しい酒になりそうだ、と。
☆
「邪魔するぜ、おやじ」
文貴は屋台の赤いのれんをくぐり、年配の店主に軽く挨拶をした。
「おや四代目、ご無沙汰じゃないですか」
極道の組長を相手にしているワリに気さくに返す店主。文貴と店主の年を考えれば、この店主は文貴が子供の頃から店を出しているのだろう。昔なじみにしてみれば近所の子供のようなものだ。
「おっと、先客かい」
「どうも」
その屋台ですでに一杯ひっかけていたのが
南戸河 蔵人
である。
「隣、いいかい」
「ええ、どうぞ」
文貴の言葉に蔵人は頷く。文貴は天利を促した。
「ほれ、探偵さん」
「お邪魔しますよ……っと」
天利は文貴と蔵人の間に腰掛ける。自然、蔵人に軽く会釈をする格好になる。
「……探偵さん?」
日常的にはあまり聞きなれない単語に、蔵人は反応した。
「……ああ。旧市街で探偵やってる。天利 二十だ」
「南戸河です、よろしく。えと、一応……作家やってます」
「ほほう、作家さん」
何となく自己紹介をして、3人は並んで酒を飲むことになった。
「おう、ついでだ。そこの兄ちゃんの分も俺が持つぜ!!」
文貴は威勢よく啖呵を切る。
「え、いいんですか?」
天利の向こう側から蔵人が文貴を見た。店主はにこやかにその様子を眺めていた。黙って、文貴の前にコップに注がれた酒を出す。
ゆるやかに、時間が流れていった。
「どうだ、この街にゃあ慣れたか」
「ああ、もう数年になるからな」
文貴は天利と軽くコップを合わせると、ぐいとひと飲みして訊ねた。
「そうか。まあそっちの兄ちゃんもよ、袖振り合うも多生の縁て奴だ――わかんねーことがあったら俺に聞け。自慢に聞こえるかも知れねーが、この辺のことに俺より詳しい奴ぁそういねぇ」
「はは、ヤクザ屋さんに借りを作るのもぞっとしねーが、覚えておくよ」
軽く笑う天利。その隣の蔵人も天利に話しかけた。
「あの、探偵さん――天利さん?」
「ん。なんだい、作家さん?」
文貴との会話を続けながら、蔵人にも応答する。なかなかの忙しさだ。
「言えないことが殆どだとは思うんですけどねぇ、どんなお仕事してるんですかー?」
「ん?」
軽く眉をひそめる天利。ここ最近は逆に守秘義務が発生するほどの仕事をしていないような気がしたからだ。ただ、その反面誰かに言って面白いような内容ではないのも確かだ。
「おう、俺もそいつは興味あるな。どうやら依頼といいつつ金は受け取らねぇとか言ってるらしいじゃねぇか?」
ぐい、と文貴が顔を出してきた。
「ああ……別に、金を受け取らねぇワケじゃねぇけどよ」
天利は少し口ごもる。つい、と蔵人に顔を向けた。
「つうか作家さんよ。探偵の話なんて聞いても面白いモンじゃねぇだろ? どんなの書いてるんだい?」
「え? ああ私ね。本職は絵本や童話、冒険小説とかね――そういうのって、探偵ってつきものじゃないですか。
まぁ……最近だと散文的なものとか派手なものが好まれる傾向なんですけど。
やっぱ私としては人情物とか、そういうしっとりとしたものの方が好きで」
ひょっとしたら長くなるんだろうか、と天利は文貴のほうを見た。
「おう。で、どうなんだ? 最近のシノギはよ?」
ふ、と天利は軽く笑って、懐から野菜ジュースを2本取り出した。
「あん……何だ?」
「今日の報酬さ。女子高生を寮まで送った」
「へぇ?」
「まぁ、誰でもできる仕事さ……だがな、今日あの時間にあの女子高生を送っていけたのは俺だけなんだ。
もちろんただの偶然さ……けどそういう場にたまたま居合わせたことが、俺の『仕事』なんだよ」
「ほぅ」
文貴は店主が注いだ酒をまた一杯飲み干した。天利の向こう側から、蔵人も口を挟む。
「あ、そうそう。そういう地味って言ったら失礼だけど、そういう静かな話を聞きたいんですよね。
ほら、物書きなんかしてると現実と想像の境界線が曖昧になるっていうか。
実際のところ、探偵さんっていうのがどういう職業なのか分からなくなってるみたいで」
「……何だって同じさ」
その蔵人に、天利は静かに告げた。
「何だって、自分が『仕事』と思えばそいつの『仕事』なのさ。
作家さんだって、自分の書きたいものだけ書いて飯は食えねぇだろ? でも、あんたは自分の『仕事』はまだ飯の食えねぇ分野にあると思ってる。
俺も同じさ……ただ、今は生活するのに金を得る仕事をする必要がない。……だから俺は俺の『仕事』に専念できる、ってワケさ」
天利もまたぐい、と自分のコップに入った酒を飲み干した。
「なるほど……『仕事』……そうですね、私も自分の『仕事』に専念したいけど、まだそうもいかないかな……」
コップに注がれた酒を、蔵人も飲み干した。文貴はその様子を見て、声を掛けた。
「おう、しみったれたツラすんなよ、てめぇら家族はいねぇのか?」
天利と蔵人は顔を見合わせる。文貴は続けた。
「家族はいいぜ……ほれ見ろ、うちの娘だ」
文貴は懐から写真を取り出して天利と蔵人に見せた。そこには高校生くらいの女子が映っている。
「反抗期に入ってからツレねーがよぉ、ヤクザ稼業の俺にゃあもったいないくらいのいい娘だ」
職業柄、やはり険のある表情が多い文貴だが、娘の写真を眺めるその横顔は、どこにでもいるようなひとりの父親だった。写真を見て、天利はひと言漏らした。
「ずいぶん目尻が下がってるな、ヤクザの親分も。……家族か……いねぇなあ、今は」
そのひと言に文貴は反応し、天利に向き直る。
「おうそうか……分かるぜ、独り身の夜は人肌のぬくもりが恋しいだろ?」
「……別に」
「まあそう言うなって。アテがねーならイイ女紹介してやるぜ……行きつけのスナックのママなんだがよ、脂が乗っててなぁ」
「はは、遠慮するよ」
苦笑を浮かべて、天利は文貴の提言を断る。
「何だ、熟女はお嫌いか? それともやっぱゲイバーのママの方が……」
「え、天利さんってソッチ方面の方?」
蔵人まで乗ってきた。天利は首を横に振る。
「いやいやいや、俺はストレートだ。あまり変な噂を流さないでくれや」
その様子を見て、また酒を飲む文貴。蔵人も天利も、つられてついつい飲みすぎた。宴も終わりに近づいた頃、文貴が何か言っていた気がした。
「この街はイイ街だぜ……そりゃ俺は極道だがよ。だからこそ俺が睨み利かしてる内は揉め事も起こらねぇ。
てめぇみてぇな言い方すりゃあ……そいつが俺の『仕事』なのかもな」
夜も更けつつ、屋台の中からは文貴のご機嫌な声がいつまでも響き渡る。
「ぷはぁ、熱燗が五臓六腑に染みるねぇ。寒ぃ夜にゃこういう酒が一番うめぇ。てめもそう思うだろ、なあ?」
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2人まで
シナリオジャンル
日常
コメディ
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月21日
参加申し込みの期限
2014年12月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月28日 11時00分
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