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秋の夜長は一回休みなのさ
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「……ん、随分と早く起きたな」
旅鴉 月詠
は唐突に目覚めた。まだ夜中だ、強いて言えばそろそろ夜明けが近いだろうか。
普段なら目覚める時間ではない。もう一眠りしてもいいのだが。
「……それもつまらないな」
妙にすっきりとした目覚めに、月詠は身体を起こす。
まだ暗い時分だが、出掛けることにしよう。理由は特にないし、そもそもこんな時の彼女に理由は必要ない。
おにぎりを作って愛用のスケッチブックと筆記用具を持てば、それだけで準備は完了だ。
「さて、どこまで行こうかな――」
秋の夜は更け、ようやく明け方に差しかかろうとしている。まだ辛うじて見える月が、月詠を眺めていた。自転車に跨ると独り、走り出す。
星ヶ丘から走っていると、道端で白い猫と目が合った。この夜あちこちで目撃されている猫だが、月詠はそのことを知る由もない。だがその汚れひとつない白猫に興味を引かれた月詠は、自転車を止めた。
「やあ、今晩は――いや、おはようと言うべきかな?」
猫としてはこれから寝る時間だから、やはり『今晩は』だろうか、と月詠は思いながらも猫用の煮干パックを取り出してガサガサと振ってみた。
白猫は少し月詠の方へと歩み寄ってきた。
「食べるかね」
しかし、煮干は食べない。だがまるで何かを呼びかけるように月詠に向けて二度、三度と鳴いてみせた。
「――ふむ、着いて行ってもいいかね」
月詠は白猫に語りかけた。白猫もその言葉を待っていたかのように、くるりと背を向ける。
「よし」
その態度を了承と受け取った月詠はペダルを踏み、白猫の後を走り出した。旧市街の方向だ。
「――これはさすがに……」
しばらく走ると、白猫は塀の上を登って行ってしまった。自転車で塀に登れるはずもない、大体の方向から猫の行き先を予想して、月詠は裏路地を回り込むことにした。
「おっと、悪いな学生さん」
そこで月詠は一人の男が裏路地から出てきたところに接触しそうになってしまった。さすがにこんな時間に人がいるとは予想外、軽く頭を下げて謝る。
「すまない、失礼した――ちょっと猫を追っていたもので」
その男――天利 二十は月詠の言葉に反応した。
「猫? あの白い奴か? ――妙に小奇麗な」
すれ違いそうになった天利の言葉に月詠も足を止める。
「ああ、そうだ……どっちに行ったかね?」
「えーと、あっちだな。……今夜はやけにあの猫を見る。何か妙なことが、起きていないといいんだが」
そう言って天利は懐から名刺を出し、片手で差し出した。
「私立探偵……ああ、何でも麺類で例える探偵とは貴方か」
名刺を受け取って月詠は呟く。天利とは初対面だが、噂には聞いていた。
「いや、別に麺類に限ったことじゃないんだが」
よく分からない言い訳のようなことをモゴモゴと呟いて、天利は頭を掻いた。
「まぁ、何かあったら連絡くれ。猫にしちゃ妙に行動範囲が広すぎるもの気になる。嫌な雰囲気ではなかったが――」
「貴方はあの猫を探しているわけではないのかね?」
ふと、月詠は天利を占ってタロットを一枚引いた。死神の逆位置。カードを示すと、天利は軽く肩をすくめる。
「デスのリバースか――今は仕事中じゃねぇからな、特に用事はねぇよ」
立ち去る天利。その背中に、月詠は軽く視線を投げかけた。死神のカードがその背中に映り込む。
「求めるものは、思いも寄らぬところに――か」
裏路地を抜けると、白い猫が確かにいた。
「……?」
だがその猫を追っているのは自分だけではないと、月詠は同時に知る。瞬時に路地裏からの人影に気付いた。いや違う。そもそも猫が一匹ではない。
その白い猫は明け方の光を浴びて透明感を増し、月詠を先導するかのように走る。その横に、似たような白い猫が併走してきたことに月詠は気付いた。
「似たような……いや、同じ猫にも見えるが……!?」
目の前で、白い猫の像が一つに重なっていく。その様子を見て、月詠の他に白い猫を追ってきたであろう人物が驚きの声を上げた。
「おぉ? 猫が一匹になった!? ――って旅鴉じゃねぇか!?」
風雲児 轟
だった。白い猫を追って走ってきた彼は、同じ様に旧市街の裏路地へと誘われたのだ。
「やぁ風雲児、おはよう。妙なところで会ったものだね」
驚いた様子もなく、月詠は猫から視線を離さずに轟に軽く手を上げる。白い猫はそんな二人を誘導するように、旧市街を走った。
そろそろ日が昇ってきている。暗く美しい月を浮かべていた空は白み始め、清らかな空気を醸し出していた。
「どこまで行くつもりなんだ……?」
走りながら轟は呟いた。こうなるとただ猫に付き合って散歩をしているのとは都合が違う。
「この方向は……寝子島神社ではないかな」
轟の呟きに月詠は返す。
自転車を置いた月詠は、轟と共に鳥居をくぐった。白い猫は二人を先導するように境内へと進んでいく。
「あ……」
そこに、
新井 すばる
がいた。同じ様に白い猫と共に歩いている。
「やぁ月詠ちゃん。君もこの白い猫くんに呼ばれて来たのかい?」
「すばる、君もか」
軽く挨拶を交わすと、他にも数人が境内に集まろうとしているのが分かる。茂みや道端から、似たような白い猫が次々と現れてきた。皆、この白い猫に誘われて来たのだろう。
和服を着た男、
山野 無花果
もその一人。
「――何匹もいた、というよりは……同じ猫……? 奇妙なこともあるものだな」
無花果は呟く。見ている端から数匹の白い猫は、次々に重なって一匹の猫になっていく。ぼやけた輪郭ははっきりと線を描き、奇妙な透明感はやがてしっかりとした存在感へと変貌していった。
新江 天懸
もまた結局白い猫が気になって着いて来た内の一人だ。
「……どういうことだよ、こりゃ」
その問いに応えるものはない。みな、無言で白い猫の動向を見守った。
「……なるほど、そういうことか」
すばるは呟いた。神社の裏側、目立たない場所に一匹の猫が倒れている。月詠たちを誘導してきた白い猫は、その猫の傍らに立ち、ひときわ高く鳴くと、すぅっと消えてしまった。
「……まだ息があるな」
無花果は近寄って猫の様子を見る。ひどく怪我しているのだろうか、前足と後ろ足の毛が赤茶色に染まっている。
天懸は手早く白猫の様子を探ると、何となく集まった面子の顔を眺めた。
「……動けねぇのか? けど他に怪我はねぇ……弱っちゃいるが、すぐに医者に見せれば助かりそうだぜ」
その言葉に轟がいち早く反応した。
「よっし、なら俺がひとっ走り医者に運んでやるぜ――って医者はどこだ!?」
慌てる轟に、無花果は静かに告げた。
「まぁ落ち着いて……夜間でも見てくれる動物病院もあるだろう、調べてみればいい。迂闊に動かすと容態を悪化させてしまうかもしれないからね」
「あ。そ、そうか……」
うっかりすると白猫を抱きかかえて走って行きそうな轟。それを横目に天懸は携帯を操作して、夜間でも緊急で見てくれそうな動物病院を検索していた。この様子だと、ほどなく見つかるだろう。
「……どうやら心配なさそうだね」
その輪から少し離れて、すばるは月詠と共にその白猫の様子を窺っていた。月詠は境内にいた他の猫に煮干を取り出して与える。あまり他の猫が近づくと、弱っている白猫に悪影響かもしれないからだ。
煮干を配りながら、月詠は呟いた。
「そのようだ。怪我をしていながらも助けを求めることができず……生霊のようなものだったのかな。霊的存在であれば数の概念に囚われることは確かにないかも知れないね、不思議なこともあるものだ……まぁ、日常茶飯事だがね」
月詠はスケッチブックを取り出す。自分を誘導してきた白猫、その美しい佇まいの不思議な魅力を残しておきたいと思った。その様子を尻目に、しゃがみ込んで足元の猫を撫でていたすばるは立ち上がった。
「さて、猫くんも心配なさそうだし、ボクは失礼するよ。そろそろ妹が起きる時間だからね」
「――随分と早起きだね、妹さんは」
時計で時間を確認する。子供が起きるにはまだ早い時間ではないだろうか。
「いや――夕べは遊び疲れて早く寝ちゃったから、そろそろ起きるはずなんだ。宿題に手をつけてない筈だから、手伝ってやらないと」
「そうか。妹想いなことだな」
スケッチブックに鉛筆を走らせながら、月詠は呟いた。その様子に目を細めると、すばるは歩き出す。
「じゃ、またね」
「ああ、お休み」
月詠が視線を移すと、鳥居の方から先ほど出会った男がふらりと顔を出した。天利 二十だ。
「なんだ探偵さん、結局来たのかね」
「よぉ学生さん。なんだか気になってな……まぁ、杞憂だったようだが……?」
天利は神社の裏側から轟が怪我を負った白い猫を抱えて出て来るのを眺めながら呟いた。そしてその隣に天懸がいることに気付き、軽く手を挙げる。
「よぉ坊主、奇遇だな?」
「あんたか、見ての通り忙しくてな」
どうやら病院の目処がついたのだろう。天懸は先に白猫を抱えた轟を行かせて、何か言いたそうな天利の前で足を止めた。
「……何だよ?」
「いや……人間以外の動物は苦手じゃなかったのか、てな?」
天利の軽口に、軽く肩をすくめる天懸。
「……そりゃあそうだが、明らかに助けを求めてるのを無視するのはまた違うだろ?」
違いねぇ、と呟く天利。天懸は先に行った轟を追って走り出した。
「おい、そっちじゃねぇよ! 病院はこっちだ!!」
「なにぃっ!? よっし案内してくれ!!」
「……まぁ、貴重な体験ができたな。さて、帰って続きを書くとするか」
呟いて立ち去る無花果。月詠は、そんな一行の様子も一枚のスケッチブックに留めていた。
白い猫に誘われて、一同に会した人々。奇妙な出来事ではあったが、いつか懐かしく思い出す日も来るのだろうか。
鳥居をくぐると、また知った顔に出会った。散歩の帰りにふらりと立ち寄った
桜 月
だ。
まったくの偶然であるのに、二人とも学校の廊下ですれ違ったかのように自然に挨拶を交わした。
「やぁ旅鴉さん、こんばんは」
「やぁ月。もうお早うの時間だよ」
「はは、そうだね。何か絵の題材に興味を引くものがあったのかい?」
月は先ほどすれ違った轟と天懸の二人が白い猫を抱えていたことを思い出す。あの白い猫に関わる、何かしらの出来事があったのだろう。
月詠はその問いかけに軽く頷いた。
「ああ、そうだね――高貴孤高な猫かと思っていたが、結局は人の温かみに助けられた……まぁ、また会えるかもしれない」
具体的に何があったのかは分からないが、月は月詠の返事に満足した。月詠はスケッチブックをしまい、自転車の方へと歩き出す。
「さて、そろそろ帰るよ」
「そうだね、日が昇る。私ももう帰るよ――ああそうだ、旅鴉さん」
月を振り返る月詠。
「何だい?」
「旅鴉さん達にお願いがあるんだけど。
もし良ければ、今度私がデザインした服を縫ってくれないかな。旅鴉さんのとこのメイドさんは洋裁も得意だろう?
もちろん材料などはこちらで準備するから、今度返事を聞かせてくれないかな――」
歩きながら会話を交わす月と月詠。やがて日が昇り、また寝子島に新しい朝がやって来た。
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2人まで
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日常
コメディ
定員
20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月21日
参加申し込みの期限
2014年12月28日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月28日 11時00分
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