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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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突然の決戦は肩車の騎馬戦で！
海風が吹く中、哀坂 極夜は黒髪を弾ませて走る。目と同じ色の鮮やかな緑のシャツの裾がはためく。
「――今日もバイトで疲れた。早く家に帰って、否、そうではない」
極夜は歩道を滑るようにして止まった。横手の砂浜に鋭い眼光を向ける。入り乱れて戦う人々の姿が目に飛び込んできた。
「私が向かう先は家ではない。騎馬戦をしなくては！」
一度は自身の言葉を否定するかのように頭を振った。抗し難い状況が身に振り掛かっているのか。誰か、と譫言のような声を出して周囲を見回す。
同時刻、解放的な姿で矢萩 咲が通りを行く。白いキャミソールの上に黒いチュニックを重ね着して軽やかに歩いていた。
「……海が見たくなってきたわ」
街中から寝子ヶ浜海岸に向かう道へと折れる。ゆったりとした足の運びが次第に速くなり、ポニーテールが激しく揺れる駆け足となった。赤い眼には情熱という名の炎が宿る。持っていたハンカチは直ちに額に巻いた。
青い海を目にした途端、咲は武者震いを起こした。
「何故、騎馬戦を欲するのか、わからないわ」
咲は自身を両腕で抱き締める。内なる衝動に震えながらも怒声を発した。
「また神魂の仕業か！」
その時、極夜の姿を目にした。探し物をするかのように動きが忙しない。
「極夜君も同じなのね。渡りに船だわ」
咲は極夜に向かって走り出す。向こうも気付いて、咲先輩、と喜びの声を上げて駆け出した。
二人は砂浜が見える歩道で向き合った。極夜が一歩、前に出た。
「咲先輩、体育祭の練習を兼ねて、これから騎馬戦をやりませんか？」
「いいわ、その練習に付き合ってあげましょう」
「ありがとうございます。では、私が咲先輩を肩に担ぎます」
「そ、そうね」
咲は強気な顔でスカートに当たる部分を握ると、それとなく押し下げるような動作をした。その場でぎこちなく回って背中を見せる。少しずつ足を開いて極夜に恥ずかしそうな表情を向けた。
「これで担げるわね」
「……はい、大丈夫だと思います」
緊張が伝染したかのように硬い声で返すと、咲の開いた足の間に極夜はゆっくりと頭を差し込んだ。絹糸のような髪が内腿に触れると、んぁ、と生欠伸のような声が漏れた。
「咲先輩、立ち上がりますよ」
「い、いいわ」
極夜は自然な様子で立ち上がる。浅く膝の曲げ伸ばしを行い、半ば感心したような表情となった。
「咲先輩はとてもスタイルが良いのにかなり軽いですね」
「……どういう意味かしら」
咲は豊満な胸をそっと腕の中に隠した。
「褒め言葉のつもりが、すみません」
「怒ってはいないわ。それよりも騎馬戦に集中するわよ。防御と攻撃の配分を考えて、敵の背後を衝くような動きで撃破するわ」
「はい、わかりました」
勢いよく答えて極夜は太腿に両手を掛けた。瞬間、咲が薄目で身を捩らせた。
「極夜君、もう少し優しくして――」
「あ、すみません。支える手は、これくらいの強さですか？」
「……あ、そう…それでいいわ」
仄かに色付いた顔で咲は眼下の状況と向き合う。
「近いところにいるわね。あの一組を狙うわよ」
「わかりました。咲先輩、行きますよ」
涼しげな顔で極夜は斜面を駆け降りる。その勢いは本気で静かな闘志が胸の中を燃やしていた。
斗南は視界の隅に砂煙を見た。
「面倒な相手が来たみたいだ」
「え、どこですか」
真由良に答える前に斗南は身体を向けた。間近に極夜が迫る。上にいた咲が真由良の髪に目を留めた。
「その髪留めを頂くわ」
「簡単には渡しません。もっと近づいて！」
真由良の言葉に斗南が従う。二組の距離は無いに等しい。上の二人の視線もほぼ同じ高さで正面切っての戦いが始まった。
先に真由良が手を出した。咲は上体を柔らかく曲げて躱し、反撃で髪留めを狙う。その手は相手の腕によって弾かれた。
「やるわね」
「当たり前だ、ですよ」
真由良は両手を使って全力で奪いにきた。咲は上体の動きと腕で阻止すると、僅かな隙を狙って手を出した。
「取られてたまるか、ですよ！」
真由良は髪を振り乱して抵抗した。その振動で斗南の動きが不安定となり、絶妙な防御を生み出した。このまま膠着状態に突入するかと思われた。
瞬間、真由良の眼前で乾いた音が炸裂した。驚いた表情で身体が固まる。一秒に満たない時間を奪われ、髪留めは咲の手に握られた。
「猫騙し、意外と使えるわね」
「ちょ、それはないわ～」
騙し討ちのような方法ではあるが負けたことに変わりはない。納得した表情で斗南は真由良を降ろした。
「僕は行くよ」
斗南は背を向けて歩き出した。斜面を上がって道に出ると眠そうな目を砂浜に向ける。
「もっと早くに、こんな風に楽しめば良かったのかな」
口の端に微かな笑みを浮かべて斗南は帰っていった。
「――今日もバイトで疲れた。早く家に帰って、否、そうではない」
極夜は歩道を滑るようにして止まった。横手の砂浜に鋭い眼光を向ける。入り乱れて戦う人々の姿が目に飛び込んできた。
「私が向かう先は家ではない。騎馬戦をしなくては！」
一度は自身の言葉を否定するかのように頭を振った。抗し難い状況が身に振り掛かっているのか。誰か、と譫言のような声を出して周囲を見回す。
同時刻、解放的な姿で矢萩 咲が通りを行く。白いキャミソールの上に黒いチュニックを重ね着して軽やかに歩いていた。
「……海が見たくなってきたわ」
街中から寝子ヶ浜海岸に向かう道へと折れる。ゆったりとした足の運びが次第に速くなり、ポニーテールが激しく揺れる駆け足となった。赤い眼には情熱という名の炎が宿る。持っていたハンカチは直ちに額に巻いた。
青い海を目にした途端、咲は武者震いを起こした。
「何故、騎馬戦を欲するのか、わからないわ」
咲は自身を両腕で抱き締める。内なる衝動に震えながらも怒声を発した。
「また神魂の仕業か！」
その時、極夜の姿を目にした。探し物をするかのように動きが忙しない。
「極夜君も同じなのね。渡りに船だわ」
咲は極夜に向かって走り出す。向こうも気付いて、咲先輩、と喜びの声を上げて駆け出した。
二人は砂浜が見える歩道で向き合った。極夜が一歩、前に出た。
「咲先輩、体育祭の練習を兼ねて、これから騎馬戦をやりませんか？」
「いいわ、その練習に付き合ってあげましょう」
「ありがとうございます。では、私が咲先輩を肩に担ぎます」
「そ、そうね」
咲は強気な顔でスカートに当たる部分を握ると、それとなく押し下げるような動作をした。その場でぎこちなく回って背中を見せる。少しずつ足を開いて極夜に恥ずかしそうな表情を向けた。
「これで担げるわね」
「……はい、大丈夫だと思います」
緊張が伝染したかのように硬い声で返すと、咲の開いた足の間に極夜はゆっくりと頭を差し込んだ。絹糸のような髪が内腿に触れると、んぁ、と生欠伸のような声が漏れた。
「咲先輩、立ち上がりますよ」
「い、いいわ」
極夜は自然な様子で立ち上がる。浅く膝の曲げ伸ばしを行い、半ば感心したような表情となった。
「咲先輩はとてもスタイルが良いのにかなり軽いですね」
「……どういう意味かしら」
咲は豊満な胸をそっと腕の中に隠した。
「褒め言葉のつもりが、すみません」
「怒ってはいないわ。それよりも騎馬戦に集中するわよ。防御と攻撃の配分を考えて、敵の背後を衝くような動きで撃破するわ」
「はい、わかりました」
勢いよく答えて極夜は太腿に両手を掛けた。瞬間、咲が薄目で身を捩らせた。
「極夜君、もう少し優しくして――」
「あ、すみません。支える手は、これくらいの強さですか？」
「……あ、そう…それでいいわ」
仄かに色付いた顔で咲は眼下の状況と向き合う。
「近いところにいるわね。あの一組を狙うわよ」
「わかりました。咲先輩、行きますよ」
涼しげな顔で極夜は斜面を駆け降りる。その勢いは本気で静かな闘志が胸の中を燃やしていた。
斗南は視界の隅に砂煙を見た。
「面倒な相手が来たみたいだ」
「え、どこですか」
真由良に答える前に斗南は身体を向けた。間近に極夜が迫る。上にいた咲が真由良の髪に目を留めた。
「その髪留めを頂くわ」
「簡単には渡しません。もっと近づいて！」
真由良の言葉に斗南が従う。二組の距離は無いに等しい。上の二人の視線もほぼ同じ高さで正面切っての戦いが始まった。
先に真由良が手を出した。咲は上体を柔らかく曲げて躱し、反撃で髪留めを狙う。その手は相手の腕によって弾かれた。
「やるわね」
「当たり前だ、ですよ」
真由良は両手を使って全力で奪いにきた。咲は上体の動きと腕で阻止すると、僅かな隙を狙って手を出した。
「取られてたまるか、ですよ！」
真由良は髪を振り乱して抵抗した。その振動で斗南の動きが不安定となり、絶妙な防御を生み出した。このまま膠着状態に突入するかと思われた。
瞬間、真由良の眼前で乾いた音が炸裂した。驚いた表情で身体が固まる。一秒に満たない時間を奪われ、髪留めは咲の手に握られた。
「猫騙し、意外と使えるわね」
「ちょ、それはないわ～」
騙し討ちのような方法ではあるが負けたことに変わりはない。納得した表情で斗南は真由良を降ろした。
「僕は行くよ」
斗南は背を向けて歩き出した。斜面を上がって道に出ると眠そうな目を砂浜に向ける。
「もっと早くに、こんな風に楽しめば良かったのかな」
口の端に微かな笑みを浮かべて斗南は帰っていった。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2014年12月15日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年12月22日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2014年12月22日 11時00分
