【体育祭】熱闘！　寝子高伝統の騎馬戦！｜リアクション

【体育祭】熱闘！　寝子高伝統の騎馬戦！

「ようやく真央ちゃんたちの出番なのだー！！」
　後木真央はがるるっと暴れ足りない闘争心を剥き出しにした。
　チーム【練】も何度か白猫組と衝突があったものの、お互い決定打に欠ける内容ばかりであった。
「秘策もあるんだ、当然、先生たちの赤ハチマキ、狙いに行くよ！」
　桜崎巴が吠える！
「いいかい！？　あたしたちはルールに則って外道なことをするよ！」
「それを言うならルールの穴を突くと言ってくれ」
　八神修は珍しく黒い微笑を湛えていた。
「先生どもに吠え面かかせましょう！」
　こちらも完全に閻魔モードの森蓮である。
「森くんは本当にワイルドになったね♪　……閃いた」
　競技中なのに、新しいBL同人のネタが思い浮かんできた響タルト。
「気持ちよく勝って、原稿も気持ちよく描きたいよね♪」
　意味深な発言である。
「ではいくぞ！　全員、先生たちへ突撃開始！」
「「おー！」」
　チーム【練】、本格始動、開始！

　そしてこちらもようやく出番が来たと張り切る。
　黒猫組の【豚まん】チームだ。
「蓮たちが先生に突撃していくのだ、しゃおりーたちも追っかけるのだ！」
　騎手の李小麗が騎馬メンバーに号令を飛ばす。
「負っけねーぞっ！　いままで暴れられなかった分、ここでぶちかましてやるぜっ！」
　右馬の楢木春彦が不敵に微笑んだ。
「そうだ、小麗！　点心暗号、ちゃんと覚えているか！？」
「勿論なのだ、しゃおりーのために覚えやすい工夫してくれてありがとなのだ！」
　樽木は彼女のために、馴染み深い要素で行動の暗号を作成していた。
「俺も点心暗号は覚えやすくて助かったよん♪　思い浮かべるとお腹が空くよね～！」
　軽口を叩いてチームのムードメイカーに徹するのは八城昌也。
　自称・空気が読めるホストとして、このポジションは譲れない。
「最後に一度確認しよう。左は肉まん、右が餃子、上は団子で前は焼売、後ろ月餅。間違いないか？」
　鴻上彰尋が進軍しながら手短に暗号内容を確認。
　李は「あってるのだ！」と声を張り上げる。
「みんな、早速、蓮たちを追い掛けて焼売なのだー！」
　チーム【練】の援護に【豚まん】が参戦！
「菜々緒も早く来るのだ！」
　一緒に行動してた芽森菜々緒の騎馬。
「……ここまで来たら、やるしかないわね」
　イメージ崩壊よりも、親しい友人の期待を裏切ることを恐れた菜々緒。
　彼女もまた追従していく。

　チーム【練】の突撃の影響は、生存している黒猫組全体に及んでいく。
　壮絶な両陣営の潰し合いにより、ハチマキ奪取の機会に恵まれない【咲朱子若】もこの機に乗じて進撃を決意。
「あんまり活躍できねぇと酔いが醒めちまうぜ……」
　先頭の酒浸朱蘭は口角の端を愉快そうに釣り上げる。
「先生チームに狙いが集中する今なら、後ろから体当たりで大量得点のチャンスだな！」
「先生に挑むチームのハチマキ、預かれたらいいんだけど……」
　十文字若菜は安全に先生たちと渡り合ってほしいという考えから、味方のハチマキを回収しようと思ってた。
　しかし、気が付けば黒猫組は残り僅か。
　ハチマキを持っているのは【一騎当千】のみで、他の騎馬は未だにハチマキを獲得できていなかった。
「止むを得んな、咲たちも白猫組の取り巻きを襲撃する！」
　矢萩咲の掛け声に十文字が応じる。
「子夜ちゃん、命令だよ！　白猫組のあの小さい女の子たちを狙うよ！」
「……御意！」
　命令に従い、哀坂子夜は白猫組の【桜楓謳歌】に狙いを定めた！
　そこへ……。
「きゃあ！　凛々しいわ、咲！　けどあまりにも騎馬戦楽しみ過ぎて遠足前の小学生みたいに眠れなくなったり、暇を持て余してチーム全員のマントを夜なべで自作する可愛い咲が素敵よー！　頑張って～！」
　観客席から長女の矢萩秋の声が飛んできた。
　妹への愛は、相変わらず鼻から真っ赤に漏れていた。
（うぐ……、家族の応援が恥かしい……。というか、昨晩のことを暴露しないで！）
　応援された次女も顔が真っ赤になった。
「姉さん！　衆人環視の中で個人名を出さないでください！！」
　怒鳴りつける咲だった。