【体育祭】熱闘！　寝子高伝統の騎馬戦！｜リアクション

【体育祭】熱闘！　寝子高伝統の騎馬戦！

　再び白猫組。
　変態……もとい【白猫変隊】から暗黒のオーラ（笑）が展開された。
「いよいよ、だぜ……！　つくしちゃんの応援も受けて戦意は最高潮！　まゆ先生！　今日こそは俺の愛を受け取って下さい！」
　本命の標的、先生ズの登場に鼻息が荒くなる冴木竜司。
「私はフジコ先生を……。絶対に負けられない戦いが今、始まります！」
　鬼崎あやめ（純情びっちワンコstyle：レベル２）は、自分の地位向上のために戦うと改めて決意する。
「言っておくけど、私たちの出番は先生たちが弱ってからよ？」
　添木牡丹は至極面倒臭そうに念を押した。
（本来なら、彼氏とチームが違うから出場せずに保健委員として出場拒否しようと思ってたんだけど……。あやめちゃんが先生ズを倒したいから付き合っているだけ！　むしろ男どもに背後から襲われないように、私が後ろ馬になって守ってあげなきゃ！）
　添木の動機は義妹のあやめのためだけで、勝負自体はどうでもよかった。
（……とはいえ、あやめちゃんをみすみすフジコ先生の『犬』にさせてたまるものですか）
　全ては義妹のために、あんまり乗り気じゃない添木がほんの少しだけ本気を出すことに。
「……フジコ、先生……」
　斉藤次久は尊敬するフジコ先生の強さと美しさの謎を、今回の戦いで少しでも自分のものに出来たらと考え始めていた。
「演技……、怖い人の……演技すれば……、相手に、隙……できるかな……？」
　充分今でも怖いという事実に無自覚な次久、更に凶悪なメンチを切ってくために眉間にシワを寄せて顔を強ばらせた。
「先生ズを倒せば、卓球部の知名度もガツンと急上昇なんじゃ！」
　九十九髪夜光も何だかんだで撃破目標は一致していた。
　……しかし、冴木は押し寄せる黒猫組の騎馬たちに焦りを覚えた。
「あの、添木＝サン？　黒猫組、一斉にこっち向かってるんだけど？　先生ズ、多勢に無勢なんだけど？　ていうか勢いがゴイスー（凄い）だけど！？　まさか、このまま俺たち、出番なしって可能性が……」
「うるっさいわね、ほら、仲間の騎馬が食い止めに行ったじゃない。大丈夫よ、おとなしく私の言う事を聞きなさい」
　添木は冴木の足を蹴っ飛ばした。
「ちょ、どいひーっ！？　はぁ……了解であります、添木指揮官殿……」
　一抹の不安を胸の奥にしまい込む冴木は、やむなく『待機』をした。
「冴木さん、ここは仲間とお姉ちゃんの言葉を信じましょう……！」
　あやめはお守りのアクアマリンのネックレスを握り締めた。
（……『お兄ちゃん』、私に力を！）
　今はネックレスに勝利を祈るあやめであった。

　……実のところ、冴木の直感は正しかった。
　黒猫組は白猫組より生存数は劣っているものの、矢萩家の派手な応援の効果で著しく戦意向上していたのだ！
　それを見抜けなかった添木の判断は、このあと、どう影響するのであろうか……？