this frame prevents back forward cache
0
0
はじめての方へ
ヘルプ
ログイン
\ オーバータイム!/
種族
学年:職業
00月00日生 00歳
AAA000000
ホームトップ
おしらせ
新着通知
はじめての方へ
遊び方
世界設定
キャラクター一覧
キャラクター検索
キャラクター作成
らっポ
チケット
コミュニティトップ(検索)
コミュニティ一覧
公式コミュニティ一覧
公開トピック一覧
コミュニティ書き込み検索
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
イラストトップ
イラスト一覧
イラスト検索
イラストレーター一覧
イラストレーター検索
自作イラスト一覧
アイテム一覧(検索)
マイリスト一覧(検索)
寝子島(全景)
寝子島(地図)
寝子島(セカンドマップ)
寝子島高校
9月の★ハッピーバースデイ
<< もどる
1
…
12
13
14
15
16
…
17
つぎへ >>
●9月26日
木原 一颯
の誕生日●
【星ヶ丘:villa L'eremita】
ヴィラ・レェレミータ
──隠者の住処を意味するその店は、星ヶ丘の小高い丘の上にあった。
「んー……ホントにここでよかったのかねぃ?
引退した楽器職人さんがやってるってお店は」
その瀟洒な邸宅にいきなり足を踏み入れるのは躊躇われ、
呉井 陽太
はうろうろと庭の周囲を歩く。店舗と言っても、オーナーの自宅を兼ねているらしい。2階建ての白亜の壁の家は、海からの日差しにまばゆく輝き、どこか地中海に建つ家々を思わせた。
丁寧に刈り込まれた芝生の庭には、香り高いオレンジとオリーブの木々が植えられ、裏庭の方はどうやら果樹園になっているようである。
「ん? お客さんかね」
その敷地の一画で、庭木の手入れをしていた老紳士が、呉井の姿を認めて立ち上がった。
「こんな辺鄙な店にお客とは珍しい。
愛しのルチアの導きかな」
左目のモノクルが白く光る。皺の刻まれた顔に柔和な笑みを浮かべて、呉井を手招きした。
「ご覧の通り暇を持て余していてね、歓迎するよ」
その穏やかな物腰の老紳士は、
木原 一颯
とそう名乗った。
「わー♪ 木原さんのお店すごいなぁ、
オレの大好きな物がいっぱいあるぅ」
1階の店舗部分に足を踏み入れた呉井は、すぐに感嘆の声を上げた。店内に展示されているのは例えば、人ならぬ表情を湛えたビスクドール、華麗な装飾を施したマスカレードの仮面、ヴェネツィアンガラスのランプシェードなどの品々。
「僕は最近までヴェネツィアで、20年ほど暮らしていてね。
その間に買い集めた品々だよ」
「へぇ……このオルゴールもよく出来ててすごいなぁ」
何の店だとは明確に定義しづらい。強いて言えば、アンティークショップの類だろうか。それでいて雑多な感じがまるでしないのは、展示されている品々が、オーナーの確かな審美眼によって、選び抜かれている故だろう。
「オレもいつかこういうのを作れるように頑張らないと……」
アンティークの家具の上にさりげなく置かれた、古いオルゴールをしげしげと眺めていた呉井が、
「あ。すみません。せっかく案内してくれてるのに考え事をしてしまって。
あの、こちらの店では楽器の修繕も受け付けているとか」
「年寄りの無聊の手遊びだがね。持ち込みかな?」
「いえ、ここに持ち込めるような物ではないので……」
呉井はふるふると首を振って、
「木原さんは、その道では有名なピアノ職人さんだったとお聞きしました。
実はオレ、木原さんに調律の事を教わりたいってお願いしに、今日はここへ来たんです」
「ふむ、僕をご存知とは……」
思わぬ呉井の申し出に、木原が眉を寄せ、思案深げな表情になった。けれども、
「だが教えを請われても、僕は既に引退した隠居の身。それに……」
そして遠くを見るような目でぽつりと、
「僕はかつて罪を犯した。
前途ある若者を導けるような人格者ではないのだよ」
◇
「そうですか……スミマセン、無理を言って」
肩を落としてうなだれる呉井に、木原は穏やかな声で言う。
「こちらこそ、折角足を運んでくれたのに幻滅させてすまない。
さあ、暗い話はここまで。ゆっくり見て回るといい。
どれも一流の職人が丹精込めた、1点物だよ」
呉井が手に取る品々に折りにふれ解説を挟み、それから裏庭の果樹園に用意したテーブルで、彼をもてなす。美味しい紅茶と焼き菓子をご馳走になり、そして広々とした海を見ながら話をしていると、次第に呉井も落ち着いてきたようだ。
「実はオレ、職人の道に行きたいって弟に話してから、
ギクシャクした関係が続いてて……」
親身に聞いてくれる木原の人柄に惹かれてしまい、ついそんな話になった。
「そうか、君も弟と仲違いを……」
呉井の語る悩みにじっと耳を傾けた後、
「僕にも、同じ職人の道を志した弟がいた。
随分前に亡くなったが……彼とは確執があった」
海から視線を転じ、丘の向こうにある教会の方角を、じっと老職人は見つめる。あそこには、
彼の弟が眠る霊園がある。
そもそも、ヴェネツィアから帰国した木原が、この星ヶ丘に居を構えたのも、彼の墓参りにいつでも行けるように、という理由が大きい。
「呉井君。弟を愛してるなら逃げずに対峙したまえ」
遠い記憶にしばらく目を閉じていた木原が、やがて呉井の方に向き直り、彼にこう伝えた。
「衝突を避けていては、何も生まれない。
歩み寄りの努力を惜しんではいけないよ。
僕はもう手遅れだが、君はまだやり直せる。
それで決裂したとしても、怯惰と怠慢を理由に疎遠になるよりは
ずっといい……自戒と悔恨を兼ねて、ね」
「って、あぁー……いつの間にか相談に乗ってもらってるぅ」
すっかり冷めてしまった紅茶の味に気が付き、呉井が慌てて席を立ち上がった。
「でもお陰様で、元気が出てきました。
木原さん、弟さんとの事も話して下さってありがとうございます。
オレ、弟ときちんと向き合えるように頑張ります」
最後にもう一度お店に戻って、気になっていたオルゴールの音を聴かせてもらう。そのオルゴールが、ある貴婦人の誕生日のために職人から贈られた物だという謂われが語られ、そんな話からの流れで、
「えっ? 木原さんの誕生日、今日だったんですか」
呉井が店主の誕生日を知ることになった。
「誕生日か……この歳になると、すっかり忘れていたよ」
「なら、そこにあるピアノ借りてもいいです?」
呉井が、店内にあるグランドピアノを指さし、
「お祝いに1曲弾かせて下さい」
快くこの申し出は受け入れられ、そっと呉井がその鍵盤に指を置くと、やわらかな旋律がその指先から溢れだす。ソファに深く身を沈める木原の全身を、ぬくもりのある音色が包み込んでいく。
「懐かしい……日だまりのような音だ」
最後の余韻の後、長い溜め息をついて木原がそう、感想を伝えた。
「この曲、うちのばあちゃんが大好きでよく弾いてた曲なんですけど。
木原さんにも気に入ってもらえたなら、嬉しいです」
「有難う、最高の贈り物だ。
弟さんが惜しがる気持ちが理解できたよ」
◇
最後に木原は、ピアノの調律について玄人の立場から幾つかの助言をし、呉井を激励する。
「僕は師と仰がれるような立派な人間ではないが、
できる範囲での助力は惜しまない。
いつでも店に立ち寄ってくれたまえ」
彼に師になってもらうという当初の希望こそ叶わなかったものの、呉井もぺこりと頭を下げ、
「木原さん、今日は親身なアドバイスを頂いて、本当にありがとうございました。
オレ、あの野ざらしのピアノもきっと元通りに直せるって、そう思えてきましたよ」
「野ざらしの……ピアノ?」
訝しげにふと聞き返す木原に、呉井が、
「あ、木原さんはずっと外国だったから、知らないですよね。
今は廃墟になってる遊園地に、捨てられたピアノがある
んですよぅ。
オレ、あの野外音楽堂のピアノの、元の音色を取り戻したいんです」
老紳士のモノクルの瞳が、わずかに見開かれる。
「そうか……君が……」
礼を述べて去っていく若者の背中に、その老職人の呟きは届かない。
「ルチア……これも君の導きなのかい?」
答える者はなく、海からのやわらかな風がただ、丘の上を吹き抜けていくばかりだった。
<< もどる
1
…
12
13
14
15
16
…
17
つぎへ >>
このページにイラストを設定する
シナリオ
シナリオトップ
シナリオ一覧(参加受付中)
シナリオ一覧(すべて)
リアクション一覧
ゲームマスター一覧
ゲームマスター検索
シナリオご利用ガイド
グループ参加ご利用ガイド
シナリオタイプのご案内
9月の★ハッピーバースデイ
シナリオガイド
リアクション
参加キャラクター一覧
コメントページ
ダイアリー一覧
シナリオデータ
担当ゲームマスター
鈴木二文字
シナリオタイプ(らっポ)
ブロンズシナリオ(100)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
恋愛
オールジャンル
定員
30人
参加キャラクター数
31人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月28日
参加申し込みの期限
2015年01月04日 11時00分
アクション投稿の期限
2015年01月04日 11時00分
参加キャラクター一覧
もっと!