旅鴉 月詠は、ふと登ってきた道を振り返る。
目の前には、数字のしるされた道標と、行く先をしめすバラバラの矢印。
どうやらここでひと区切り。この先はどこに進んでも良いし、進まなくても良い。
「ふむ、こちらだな」
けれどその矢印の1つを選び取り、彼女はまた歩き出す。
キャンバスに進める絵筆のように、その歩みは迷いなく、のびやかな線を描いてゆく。
青空にどこまでも伸びてゆく、ひとすじの飛行機雲を眺めながら。
浅山 小淋もまた、思う。
(もうすぐ誕生日。私も、16歳になるんですね……)
胸のスケッチブックにこれまで書き留められた、言葉たちはそのまま、彼女の15歳の軌跡だ。
誕生日にはこの真っ白なページに、いったいどんな言葉がしるされるのだろう?
白い月の光を振り仰ぎ、
花風 冴来もまた、願う。
「ねぇ、妖精達に月の女神様。
あなた達の力を、少しだけ貸して欲しいの」
──泉に薔薇を浮かべて祈りを捧げれば、妖精達が願いを叶えてくれる。
それは自分の創り噺だったけれど、それでも願わずにはいられない。
青い薔薇のような奇跡と祝福が、この自分にも起こることを。
最初に目を奪われたのは、その薔薇のドレスなのか、それとも鯨のぬいぐるみだったのか。
用事を終えて、すっかり暗くなってしまった帰り道。
浮舟 久雨は、ショーウィンドウの前で足を止め、そこから1歩も動けなくなってしまった。
(何をしているんだ、私は……。早く帰らなければいかんと言うのに!)
そういえば……と、ふと久雨も思い出す。自分の誕生日も、もう近いことを。
(……ええい馬鹿な、一体何を考えているんだ、私は!)
ガラスに映る自分の顔を見つめながら、それでも魔法に囚われたように彼女は、その場を立ち去れない。
1年に1度きりの誕生日──
あなたは何を思い、どんなふうにその日を過ごすのでしょうか?
こんにちは、マスターを担当させていただきます、鈴木二文字です。
こちらは9月生まれのキャラクターさんをお祝いするシナリオです。
これまでの誕生日シナリオと同様、
各々のお誕生日を過ごす、PCさんの様子をフリー形式で描写いたします。
期間は9月の上旬〜下旬まで、どの日時をご指定いただいても結構です。
場所のご希望についても、寝子島の島内であれば、出来る限り対応します。
お友達をお祝いするなど、誕生日に関連するアクションであれば、
9月生まれではないPCさんも、自由にご参加いただけます。
(※運営部よりのお知らせも、併せてご参照下さいませ)
「6月の★ハッピーバースデイ」でのエルデストさん主催の誕生日パーティのように、
誰でもご参加いただける形式のパーティなどを、ご企画いただくのも大歓迎ですし、
勿論お1人でゆっくり、誕生日を過ごされるのも自由です。
寝子島高校の教職員NPCでは、1年1組担任の島岡 雪乃先生と、2年7組担任のフジコちゃんも、
それぞれ9月にお誕生日を迎えますので、
彼女たちの誕生日を、いっしょにお祝いしてあげるのも良いかもしれません。
それ以外のNPCは原則登場させられませんので、ご了解下さい。
最後に、旅鴉 月詠さん、浅山 小淋さん、花風 冴来さん、浮舟 久雨さん、
美しいイラストを贅沢にガイドに使わせて頂き、ありがとうございました。
ガイドはあくまでイメージですので、
内容にはとらわれず、どうぞ思い思いの誕生日を、自由にお過ごし下さいね。
それでは今月も皆さまに、素敵なお誕生日が訪れますよう!