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満月の夜に
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黄昏の色混ざり始める空に耳を澄ませば、チェロの音が響いている。丁寧に音程をなぞるその音を追って聞こえるのは、オーボエだろうか。
お月見にはまだ早い時間帯、それでも屋台目当ての人込みに賑わう境内、どこか控えめにばらばらに聞こえてくる楽器の練習音を辿るように、
綾辻 綾花
は参道を歩く。開演時間より早いめに来たつもりだけれど、社殿前の会場近くに行けば、もしかしたらいつも聴いている寝子島交響楽団の楽員たちの練習風景を見ることが出来るだろうか。
細いうなじを覆うほどの黒髪を揺らし、綾花は肩にさげた鞄を軽く叩く。鞄の中には、ここに来るまで聴いていた寝子島交響楽団のCDをセットしたCDプレイヤーが入っている。
(ネコフェス以来ですね)
あの夏の日、大切な友達と一緒に生で聴いた楽団の音とその興奮を思い出す。彼らの音楽を、中秋の名月の今日もまた聴くことができる。
暮れて行く陽に合わせ、足もとの影が伸びる。屋台の軒に白熱灯の眩しい光が灯り始める。
「きょうのお月さま、まんまるなんだよね!」
傍らをツインテールの小さな女の子が駆け抜ける。黒髪を元気に揺らして、飛び跳ねるように後ろを振り返る。女の子の視線をそっと辿って、母親らしい女性に行きつき、綾花はそっと微笑む。
母親に手を振る元気いっぱいの女の子の邪魔にならないように歩く道をちょっと譲り、飲み物やおでんやフランクフルトを売る屋台の前に移動する。演奏が始まるまでに、温かい飲み物と食べ物を何かお腹に入れておこう。
「みんな、神社にいるかなー?」
追いついた母親の手を取り、
小島 海美
は人懐っこい笑みを浮かべる。神社でいつも遊んでいる友達は、探せばこの人込みのどこかに見つけられるだろうか。
(でも、)
神社にはいつも来て遊んでいる。屋台は出ているけれど、夏祭りに来たときと大体一緒。
(せっかくだからもっと別のほうにもいってみよう!)
暗くなり始める空を探せば、光を強めていくまんまるお月さま。
明るい月さまにも好奇心をかき立てられ、海美は母親の手を離して駆け出す。海美、と慌てて呼ぶ母親に、肩越しに振り返って元気に手を振る。
「おかあさん、わたし遊んでくるねー!」
参道商店街に生まれ、ご近所さんや親戚に可愛がられて育った天真爛漫な小学一年生に、怖いものはあんまりない。
「お祭りがおわらないうちにかえってくる!」
母親に心配を掛けないような一言を残して、出会うひとも、うっかり出会うひとじゃないナニカも、みんな友達に思う海美は人込みに飛び込む。
元気いっぱいな女の子の声を背中に聞きながら、綾花は屋台の店員からフランクフルトとペットボトル入りの温かいお茶を受け取る。
「ありがとうございます」
丁寧に礼を伝え、屋台の前を離れようとして、並んでいた次の客の足元にお座りして大人しく控える柴犬と眼が合った。賢そうな眼に思わず微笑んで、飼い主の少年に小さくお辞儀する。
「ああ、今晩は」
平静な声で挨拶を返す飼い主の少年の、光に金に透ける薄茶色の髪と怜悧な瞳に見覚えがあった。夏のネコフェスでも顔を合わせたことのある少年。あの時は確か、真っ白な子猫を連れていた。子猫の名前は、確か、
「あの、……ミルクちゃんは?」
「ミルクは今日は留守番なんだ」
星ヶ丘の自宅に多数の動物と暮らす
八神 修
は、今日のお供の柴犬のカーキーの頭を撫でる。肩から提げたカメラを片手で支え、屋台の店員にフランクフルトを一本注文する。
(島に来た当初はカード払いをしようとしたな)
代金を支払いながらふと思い出し、瞳の端にほんの微か、苦い笑みを滲ませる。
「音楽会の撮影ですか?」
「いや、月と月が映る池と山とを撮りに行こうと思って」
ふらりと出かけ、賑わいに惹かれて神社に立ち寄った。おやつを買おうと屋台を巡り、人形焼も先に購入している。
「これから少し歩いてロープウェイに乗るよ」
フランクフルトを受け取る。足元に置いていたロープウェイに乗る間にカーキーを入れるケージを取り上げ、修は夏のネコフェスでも顔を合わせた少女と別れて歩き出す。食べ歩き用に買ったフランクフルトの先を少しだけ千切りとり、足元にきちんとついて歩くカーキーに一口与える。
「塩分多いから一寸だけな」
「あれ、八神君」
穏かに声掛けられて顔を上げれば、黄昏の色の中にひとり立つ浴衣姿の少女。
「詠坂」
「いいお天気で良かったわ」
「そうだな」
「お互い楽しめるといいね」
夕暮れの終わりの空に光を増す満月を同学年の男子と揃って見上げ、
詠坂 紫蓮
は帯の背に差した紅い風車をカラカラと風に回しながら手を振る。
浴衣の袖と結い上げた黒髪が秋風に揺れる。茜の空と同じ色した瞳にもう一度中秋の名月を映し、紫蓮はその瞳を細める。
(満月、か……)
いつもよりも輝きを増して見える丸い月を仰いでいると、不思議な気持ちになるのは何故だろう。
(音楽と一緒に月見とか、素敵よね)
屋台の軒に掲げられた白熱灯の眩しい光に照らし出される石畳の参道を下駄を鳴らして歩く。音楽会の演者達が練習しているのだろうか、人込みのざわめきに混ざって、遠く、楽器の音色が聞こえてくる。
(寝子島交響楽団、だっけ)
境内のあちこちに貼られたポスターに書かれたメイン出演者の名を思い出す。
(交響楽団って事はクラシック系か)
いいかも、と遠い楽器の音色に耳を澄ませる。音楽と一緒にお月見を楽しむなんて、
(素敵よね)
人込みに紛れて参道を歩く。浴衣の人々を時折見かけることに少し安心する。折角だからと浴衣を着付けて来たけれど、浮いてしまったりしないか、実は少しだけ心配していた。その時はその時だと割り切って来はしたが、その心配はいらなかった様子。
七夕にも着た、お気に入りの浴衣の袖をちょっとつまむ。
(一番見せたい人は、……今日は忙しいみたいだけど)
そこはやっぱり残念だけれど、仕方がない。
今日はひとりで色々楽しもう、そう決めて、ぐるりを見回す。月夜の境内に賑わう屋台。人のざわめきの向こう、漣のように微かに聞こえてくる様々な楽器の音。
(ん、いい感じ)
心に呟いて、鼻をくすぐる屋台からの食べ物の匂いにちらりと笑む。賑わいの真中で月を見上げて、心に浮かぶ違和感に小さく息を吐く。
賑やかなのもいい。でも、
(今日は静かに月を眺めたい気分ね)
とは言え、周りに漂う食べ物のいい匂いには逆らえない。小腹も少し空いてきた。何か買おう。
人波に逆らわず、焼きもろこしの煙やわたあめの匂いを嗅ぎながら流れに沿って歩く。迷う紫蓮のゆっくりとした足取りと同じくらいののんびりとした歩幅で、茶色の髪を緩くふたつに結った中学生くらいの少女が歩いている。
「何があるかなぁなのー」
焼きそばのソースの焼ける匂いと煙にまんまるの眼を細め、たい焼きの甘く焦げる匂いに足を緩め、
四月一日 菊乃
は今日の予算を考える。
寝子島神社のお月見音楽会に屋台が出ると知って、家族にお願いして夕方の外出を許してもらったはいいものの、あまり遅くなると怒られてしまう。門限は七時。それまでめいっぱいお祭りを楽しむために、予算は出来る限りあった方がいい。
(決めたのなのー)
思い切ってお小遣いの半分、大枚五百円を使ってしまおう。となれば、買うものは厳選しなくてはならない。でも、
「うー、皆美味しそうなの……」
うーんうーん、心の声を漏らして真剣に考え込む菊乃を横目に、紫蓮の足が止まったのは焼き鳥屋の前。
「こんばんはなのー。焼き鳥も美味しそうなのー」
「うん、美味しそうね」
人懐っこく笑い掛けてくる悩める女子中学生に笑みを返し、紫蓮も悩む。
「……ちょっとおじさんみたいかなぁ……?」
「焼き鳥、おじさんみたいなのー?」
「お酒のおつまみみたいなのよね。でも、好きなのよねぇ……」
焼き網の前で鳥の焼き加減を見ていた老人と眼が合って、紫蓮は黄昏色の瞳を瞬かせる。曖昧な笑みを浮かべる。
「年取ったら酒飲みになっちゃうのかしら」
「大人なのー」
お気楽に笑う少女の言葉に思わず笑みを零す。お酒はたしなむ程度ならともかく、あんまりはしたない感じにはなりたくないけれど、
「ま、その時にならなきゃ分からないか」
「なのなのー」
菊乃ののんきな笑顔に助けられて考え直す。今は食べたい物を食べよう。屋台の老人に明るい笑みを向けて、紫蓮は菊乃と手を振って別れる。焼き鳥屋に真直ぐ足を向ける。
浴衣姿の少女が焼き鳥の屋台で足を止めるのを何となく眼にしながら、
樋野 秀吉
は空きっ腹を抱える。羨ましげな視線を少女の風車を挿した帯の背中に向ける。
秋風に流れた焼き鳥屋のいい匂いの煙を正面から浴びて、腹の虫がたまらず鳴いた。とは言え、今月も毎月と変わらずもちろん金欠。空腹に従い好き勝手に買い食いする余裕はない。
空腹につられてなんだか哀しくなってきて、空を仰ぐ。知らぬ顔で真っ白に輝く月を見つめる。元はと言えば、月の美しさに誘われてうっかり散歩に出てしまったのがいけなかった。
下宿しているねこじま荘を出て、月の光を辿って歩きだした。中学まで暮らしていた本土ではお月見なんてあまり気にしたことがなかったのに、
(月に近づいてみたい)
無性にそう思えてならなかった。月なんて一つしかないのに、違いなんてあるわけがないのに、寝子島の月が本土よりも綺麗に思えてならなかった。
何故だろうと考えて、答えを見つけられないまま、もっと近くで月を見たいと願って歩き続けて、黄昏に眩しく見える灯りと賑わい、それから美味しそうな匂いにつられて神社までふらふらと歩いてきてしまっていた。普段の静かな神社とはまるで似ても似つかない賑わいに半ば圧倒されながら、月を見上げて息を吐く。寝不足気味の黒い瞳を伏せて俯き、親指の爪を噛みそうになって、
指に巻いた絆創膏に阻まれた。黒髪の下の眉を顰め、親指を拳の中に隠しこむ。もう一度息を吐いて、学校で見かけたことのある浴衣姿の少女の背中を横目に見遣る。空腹は耐え難い。何か一つだけなら、
(一個ぐらいなら買ってもいいッスよね……)
自分に言い訳して少女の後に並ぼうとして、買い物を済ませた少女がくるりと振り返った。ぶつかりそうになって、秀吉は慌てて後ずさる。生来の不器用さが祟って転びそうになった背中を、
「っ!?」
「……と」
和装姿の青年にぶつけた。よろけながらも背中を支えてくれた黒髪の青年に、秀吉は慌てて振り返る。冷や汗をかきながら何か言わなくてはと口を開きかけて、
「ごめんね、大丈夫?」
背後から浴衣姿の少女に声を掛けられた。人と話すことが苦手な少年の心臓は跳ね上がる。どちらに先に言葉を返せばいいのか迷いに迷って、
「すんませんッしたっス……!」
挙句、明後日の方向に土下座の勢いで頭を下げる。脱兎の勢いでその場から逃げ出す。
「彼氏?」
「違うわ」
浴衣姿の少女に問いかけてきっぱり否定されながら、
山野 無花果
はほくろの口元を引っ掻く。気弱過ぎる少年と黒髪の少女との恋愛話が組み立てられるかと思ったが、そう上手くはいかないか。
難しい顔で腕を組み何事か考え込む和装の青年に軽くお辞儀をして、紫蓮は静かな場所を探して歩き始める。そろそろ、音楽会が始まる時間になろうとしている。
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阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月01日
参加申し込みの期限
2014年12月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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