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満月の夜に
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コンビニ袋には安いコップ酒にチーズかまぼこ、小さな月見団子。
心地いい秋の夜風に羽織ったコートの裾を引かれ、
伊予 祐
は琥珀の眼を細める。月の光に誘われて、月見と洒落込もうと外に出てみて正解だった。
満月を仰ぎ、海への坂道を下る。纏わり着く秋風に足取りも軽く、堤防沿いの道路に出る。コートのポケットに突っ込んでいた片手を出し、堤防に手を掛けてひょいと飛び乗る。月明かりと海風を短い黒髪に遊ばせ、鼻歌交じりに堤防の上を歩く。
人がたくさんいるところへ行くのもいいけれど、今日は例えば縁側で静かに過ごすように、
(まったり飲むかねえ)
月が足元に落とす己の影をお供に先へと進む。等間隔に周囲を明るく照らす街灯の光の輪を幾つも擦りぬけ、静かに波が寄せるばかりの防波堤の上で足を止める。
人気のない場所に腰を下ろす。テトラポッドに寄せては砕ける波を足下に見つつ、コンビニ袋を傍らに置く。すぐさま酒を開ける気にはなれず、風と波音を耳にしながら月を見上げる。
雲のない空から海に降り注いで揺れる月の光を眺め、遠い水平線を行くタンカーを見送る。
「なげけとて月やは物を思はする」
風に紛れてぽつり呟き、ちらりと首を傾げつつ、
「かこち顔なる わが涙かな」
心に浮かぶまま、下の句を風に流す。ええとなんだっけこれ、と月を仰いで、
「あ、百人一首か」
思い出せたのが嬉しくて、くすり、笑む。
両手を後について月星を見ていて、風の中に人の足音を聞いた。のんびり視線を投げて、月明かりに歩く長身の少年の姿を見る。
「よお青少年、君も月見か」
気さくに話しかけて、こちらを見遣る少年と面識があることに気付く。
「っておお、スーさんじゃん」
「珍しい所に俺以外の人が居ると思ったら……タッさんか」
悠然と月の光を浴びて立つ顔見知りの
篠木 昴
に向け、祐は人懐っこい笑みを向ける。座るかい、と己の傍らを示す。
断る理由もなく、昴は祐の隣に座る。静かに月見をするつもりだったが、これも何かの縁だろう。
「しかしこんな日に一人とは意中の相手に振られでもした?」
「スーさんこそ」
「俺はもともと一人のつもりでここに来た」
亜麻色の眼を屈託なく細め、昴は手にした包みを掲げて見せる。
「茶と少しのつまみを作って、ね」
「お、手作りか」
「焼き鳥、おこわ、それとモツ煮」
「渋いなあ」
昴が包みの中身を言い立て、祐が嬉しげに笑う。
「邪魔じゃなければ一緒に食べないか」
「勿論。ホラ、旅は道連れ世は情けって言うしさ」
おどけて言いながら、祐はコンビニ袋の中身を間に広げる。静かに笑み浮かべ、昴もそれに倣う。
祐はコップ酒、昴は茶。星ヶ丘寮の執事と猫鳴館の寮生は月の下でささやかな宴を始める。
「図書館のバイトはどう? 順調かね」
「お蔭様で問題なく働けている」
酒を口にしつつ問う祐に卒なく答え、昴は図書館の常連の横顔を見遣る。外側は二枚目な癖して内側は三枚目なこの執事と、折角だし話をしよう。
(こういう機会中々無さそうだ)
茶を含み、鋭い瞳を瞬かせ、
「ドジっ子なあの人との関係は順調なのか?」
「え、司書さん?」
物怖じしない少年は直截に切り込む。祐はちょっとむせた。
「あ、え、うん」
大丈夫か、と心配そうに背中を叩く昴を涙目で見、祐は動揺を隠したつもりで上手く隠せずに頷く。
「お、お蔭さまでその、うまくいってる、と思うけど」
(ここでこうして一人で居たって事は、あまり進展があるわけでもなさそうだけど)
月と海に泳ぐ琥珀の瞳を冷静に観察して、昴はそう判断する。異性との関係性の発展はやはりどんな人間であっても難しいものなのだろうか。
「花火の時も高校生より余程青春って雰囲気でてたのにな」
「そうだ、花火大会のときはサンキュー」
気ぃ使わせちまったよな、と苦笑いして、祐は背筋を伸ばす。うっかり涙目になってしまった眼を擦り、気付け薬代わりに安酒を舐める。
「良ければ今度ラーメンでも奢るぜ」
大人ぶって笑い、ふと月へと瞳をもたげる。
「……あの人、放っとくと一人でどっか行っちゃいそうな気がして」
危なっかしいから俺が見てないと。そう思う反面、彼女の優しさや笑顔に、いつも元気を貰う。幾度も心を救われている。
「俺にとって、等身大の天使みたいなひと」
息を吐くように言ってから、声にした自身の言葉に赤面する。
「あー何言ってんだろ俺。ただの惚気だこれ」
酒のせいか月のせいか、とコップ酒を片手に煩悶する恋する青年の傍ら、
「はいはい、お惚気ご馳走様」
動じぬ少年は持参した料理を口に運ぶ。
「出来ればタッさんがあの人と一緒の時にその話を聞きたかったね」
「スーさんはどうなのさ」
赤面した頬を隠そうと口元を掌で覆い隠し、祐は昴をちょっと睨む。
「花の高校生じゃないか」
下手すれば社会人の自分よりも大人びて見える少年の、おそらく苦手とする恋の話をお返しとばかりに振る。
「寮のお嬢さん、ケッコー気にしてるみたいだったけどなあ」
からかうように言ってから、人の好い執事はどうしようもなく人の好い、面倒見のいい笑みを浮かべる。
「何かあったらいつでも相談乗るぜ?」
祐の笑みを受け、昴は微かに眉間を寄せる。祐のような恋の話は、
(自分語りは好きじゃないのだが)
「端的に言うと今は無い」
「端的?」
チーズかまぼこを齧りながら突っ込まれ、昴は頬を引っ掻く。
「最近までもしかして……と思ったのはあったけど」
「おお!」
聞かせろ、と身を乗り出す祐に、困惑して首を横に振る。そんなに大した話じゃない、と前置きして、
「一度知り合いの気になるお嬢様を怒らせてしまったことがあってさ」
「うん」
「……その後そいつと仲直りしたら、なんか友達ですっぽり収まっちゃって、それ以来か」
「何にも?」
「何も無い」
感情を乗せずに頷いて、昴は口を閉ざす。
(ただ、)
心に、自分自身に囁く。
ただ、この収まり方はどこか違う気がしてならない。
(俺が望んだのはこうじゃないだろ)
己が内で、幾度となくそう思って、けれど、ならばどんな収まり方を自分自身が本当に望んでいるのか、それが未だに分からない。
(どうしたものか)
口を噤み、思いに沈んだ瞳で海に揺れる月光を見つめる少年の、それでも真直ぐに伸びた背中を祐は叩く。励まして、短歌を紡ぐ。
「命短し恋せよ乙女、紅き唇 褪せぬ間にってね」
歌う口調で言い、明るい瞳で空の月を見上げる。
「青年期って案外短いらしいから。互いにがんばろーぜ」
ばしばしと昴の背中を叩きながら、ところで、と声を潜める。内緒話をするように問う。
「スーさんとあの人との関係って何なの?」
「バイト先の上司で大切な友人。それ以上も以下もないね」
昴は間髪入れず、迷いなく応える。あからさまに安堵する祐をちらりと見、祐を倣って月を仰ぐ。
「ま、タッさんがあの人にベタ惚れなのは知ってるから俺はその応援をするつもりさ」
「サンキュ」
「……今はな」
「い、今は?!」
深い意味を持たせず放った言葉に眼を剥く祐に、昴はわざと意味深な笑みを向ける。話し込む間に高く昇った月を写し取って、自分のコップに茶を注ぎ直す。喉も渇いた。
「……乾杯をしよう」
促せば、納得できかねる表情をしながらもお人好しな執事はコップ酒を同じように持ち上げる。
「世界の夜を照らすまん丸でっかいお月様に」
月に手を伸ばすように、昴はコップを高く掲げる。
「乾杯!」
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月01日
参加申し込みの期限
2014年12月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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