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満月の夜に
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「遊園地の廃墟?」
「三夜湖の畔にあるって噂だぜ」
美術館学芸員としての仕事で滞在している、寝子温泉の古く小さな旅館の近所に見つけた移動販売ケバブ屋の店主からそんな噂を耳にして、
服部 静
は灰色の眼を興味深げに輝かせる。
ワゴン車の胴体に貼られたポスターには、中秋の名月の夜に、温泉街から山頂展望台までの登山道を燈籠が並び照らすイベントの告知がされている。日付を見れば、丁度今日がその当日。
(廃墟に満月……か)
店主に礼を言い、一度宿に帰る。一度決めてしまえば、連れも居ない一人旅、身は軽い。宿の者に遅くなるかもしれないことを告げ、懐中電灯とカメラを持てば準備完了。
暮れ始めてしまえば日没まで間のない秋の道を急ぐ。
黄昏の光差す、山頂に至る道に沿って置かれた燈籠に灯が入っている。緑に左右を覆われた道の先に視線を伸ばせば、このイベントの主催者だろう温泉街の有志連が燈籠に灯を入れながら山道を登っていくのが見えた。
仄かな火の色を瞳に映し、静は淡く頬を緩める。優しい色に照らし出された山道は、空から降る満月の光と相まって、まるで物語の中にいるかのように幻想的で、
(芸術的、だな)
道を飾る灯篭をよくよく見れば、作った手が違うのか、それぞれ微妙に形や絵柄が違う。
燈籠と月をカメラに収めようとして、肝心の月が然程高い位置に来ていないことを確かめる。燈籠の月見は帰りにしよう。
(……まだ置いてあったら、だが)
日暮れに見たポスターには一夜限りと記されていた。廃墟の遊園地で満足出来なければ、早々に戻って燈籠の道を楽しむのも悪くない。
うなじでひとつに結った髪を揺らし、静は展望台よりも先にある廃墟の遊園地を目指す。
「……ん」
足早に先を急ぐ物静かそうな雰囲気の青年に先を越され、
晴海 正毅
は何気なくその背中を追う。着痩せ気味の引き締まった長身と身運びに、己と同じに格闘技を嗜む者の気配を薄く感じ取る。
正毅の視線を感じたのか、前を見据えていた青年が僅かに首を巡らせた。偶々に視線が合った青年から軽く会釈を受け、正毅は生真面目な目礼を返す。
「いい景色だ」
大人しそうな青年の顔に気さくな笑みが浮かぶと共に話しかけられ、
「中々悪くないね、雰囲気が出てる」
正毅は眼鏡の奥の鋭い黒の瞳を僅かに和らげる。笑めば、近寄り難い雰囲気が一新する。面倒見の良い人柄が滲む。
写真でも撮るのか、カメラを手に山道を登っていく、おそらく二十は年下の青年の背をのんびり見送り、再び一人静かに燈籠の道を辿る。
父の休日を前にして、逃げるように友達の家に行ってしまった娘をちらりと思う。
仕事に追われる会社員のたまの休みを、こうして一人で過ごすのも悪くはない、と小さく息を吐く。たまの休み、本当は今は唯一の家族である娘と過ごしたいと思いはするものの、年頃の娘との距離は最近開くばかり。
娘との関係に鬱々とする気分を払いたくて、月を見上げる。
あいつが生きていれば、と癖のように思うのは、娘が生まれた日に亡くなった、妻。
(……あいつはこういう地域の行事が好きだったかな、寂しがりやだったのが大きいんだろうけど)
それに対して、己は昔からこういう行事ごとが苦手だった。仕事の関係で五年ほど島外に暮らしてはいたが、元々は寝子島出身の正毅は思い出す。
(たまにこういう風流なイベントやるんだったな、この島……)
昔も今も、人の集まるイベントの際は、皆から一歩距離をとって、賑わう人々から外れて眺めていることが多かった。
まだ然程高くはない月へと向けた視線を、燈籠の頼りない光に照らされた道へと落とす。燈籠に火が入れられて間がないせいか、人気の少ない坂道を黙々と上る。
何事もなく展望台に至り、眼下に広がる月明かりの島を見晴るかす。展望台前駅と砂掛谷駅を行き来するロープウェイの籠に灯る光、寝子温泉街に集まる温かな光と月夜に立ち昇る湯気、その下に光を吸い込んでぽっかりと黒く見える耳福池、寝子島神社から下に広がる参道商店街の灯り。そうして今しがた辿って来た燈籠の道を瞳に映して、
「……ん?」
燈籠の光に彩られた山道に何とも言えぬ不審な気配を感じた。不快げに眉を寄せて腕を組み、暫く考えて後に坊主頭を一撫でする。展望台に設置された椅子に腰を下ろす。
(……ま、態々首を突っ込んでやることもないか)
島の向こうに広がる月明かりの海を眺める。海を行く船の光を見送る。
(拝み屋は廃業したしな)
幼少の頃は跡継ぎの修行もしたが、今は至って普通のサラリーマンだ、と月を仰ぐ。
(……いい月だな)
月を仰いで思うのは、妻の事。
変なオカルト話を真に受けて、妊娠中は夜の外出を嫌がった事。
学生時代はしょっちゅう夜一緒に出歩いて居た事。それは主に心霊スポットから連れ戻す帰りだった事。
妻との思い出が、無鉄砲な娘の面影に重なる。心霊ものに対する危なっかしいほどの好奇心は、幸か不幸かきっちりと娘にも受け継がれている。
(……血って言うのは怖いな……)
口元が苦笑いに歪む。娘は、年々妻に似てくる。
生まれ育った島を見渡す。島に帰って来て、妻の事を思い出す機会が増えた。
(そりゃそうか)
この島に生まれ、この島の高校に行って、この島で妻と出会った。この島は、どこも妻との思い出に溢れている。会社の命令で島から離れて五年、娘が生まれると同時に妻を亡くしてから、ずっと引き摺っていた思いも多少は吹っ切れたと思っていた、けれど。
(一生背負うのも、悪い話じゃないよな)
静かな諦念宿した瞳を月に向ける。秋の夜風にそよぐ九夜山の木々の音に耳を澄ませ、ふと、小さな小さな笑みを唇に滲ませる。
(まあ、せめて娘が嫁に行くまでは……いや、)
そこまで思って笑んだ唇が困惑に歪む。
(行くかなぁ……)
どこまでも一人で元気に突っ走っていきそうで怖い娘を思い、年頃の娘を持つ父親は月下にひとり頭を抱える。
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シナリオデータ
担当ゲームマスター
阿瀬春
シナリオタイプ(らっポ)
シルバーシナリオ★(150)
グループ参加
3人まで
シナリオジャンル
日常
冒険
定員
50人
参加キャラクター数
50人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年12月01日
参加申し込みの期限
2014年12月08日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年12月08日 11時00分
参加キャラクター一覧
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