職業体験学習でお仕事しよう！｜リアクション

職業体験学習でお仕事しよう！

●忙しいけど楽しい駄菓子屋

　選び終わった商品をカゴに入れ、子供達が秋生がいるレジへ。
「ゾーグル３つ、粉末ジュース５つ、でっカツ４つ……と。いくらだ！？」
　初めての店番、初めてのレジ打ちにテンパる秋生。
「お兄ちゃん早くー！」
「わ、わかってるって！」
　バーコードレジに慣れている子にとって、手打ちレジは使い慣れないので手間がかかるようだ。
「涼太郎さん、これとこれでいくらですか？」
　値段はわかるが、計算が苦手な空歌は涼太郎に頼ってしまう。
「ゾーグル３つ、粉末ジュース５つ、でっカツ４つ、合わせて２６０円だね☆　秋生くん、落ちついてやれば大丈夫だからね」
「涼太郎さん、すごいですっ！　空歌、お菓子を袋に詰めますね」
「俺も手伝うよ」
　詰め終わると「お待たせしました！」と空歌と秋生は袋を子供達に手渡す。

「涼太郎さん、ごめんなさいっ！　空歌、お勉強がんばって、もっとお役に立てるようになります！」
「簡単そうだと思ってたけど、結構大変なんだなぁ……」
　初めて間もないが仕事の難しさ、大変さを身をもって体験した空歌と秋生。
「って、そんなこと考えてないで働かなきゃな！　職業体験学習とはいえ、ここで働かせてもらっているんだ」
「頼もしいね☆　ふたりとも物覚えが良く要領いいから、安心して任せられるよ。自分達ができることをすればいいんだよ☆」
　涼太郎に頼りにされたことで意欲が湧いてきたふたりは、それぞれの仕事を。
「ゾーグル当たった！　ちょうだい！」
　空歌とお菓子を選んでいた子のひとりが、ゾーグルのフタを持って戻ってきた。
「当たった？」
「フタの裏にアタリって書いてあるだろ？　当たったらもう１個もらえるんだ」
「当たりくじがついているんですねっ。今、持ってきますっ」

　あっという間に、職業体験学習終了の時間に。
　別のところで仕事を、と考えていたふたりだったが、駄菓子屋の楽しい雰囲気がすっかり気に入り、最後までここで仕事をした。
「キラキラのお兄ちゃん、ありがとうございましたっ！」
　ペコリと頭を下げ、お礼を言う空歌は少しでもお役に立ててたら嬉しいなと思う。
「お仕事、楽しかったです！　またお手伝いしたいなぁ。その前にお客さんかな？」
「どちらでもいいよ、また来てね☆」
「ふぅ～終わった～！　初めてだからすっげー疲れました！　でも楽しかったっす！　良い経験になりました、ありがとうございました！」
　疲れているが、姿勢を正してお礼を言う秋生。
「秋生くんもお疲れ様。きみもまたおいで。あ、ちょっと待ってて。ふたりに渡すものがあるから」

　店の奥に行った涼太郎を待つ間、空歌は両親からお小遣いをもらったので、お土産を買って帰ることに。
「パパにはしょっぱいの、ママには甘いのを……。喜んでくれるといいなぁ♪」
　お土産なので、自分の分は我慢。
「俺も駄菓子買っていこう。これ、買ったことないな」
「糸ひきあめって、糸を引いて買うんでしたよね」
「何が買えるかわからない、ってのが面白いよな」
　ふたりは、どの紐にしよう選んで１本引く。空歌はイチゴ飴、秋生はミルク飴を引いた。
「お待たせ！　はい、これ、頑張ったご褒美だよ。うちのお店、楽しめたかな？」
　働いたふたりに、お礼の駄菓子の詰め合わせをプレゼント。
「ありがとうございますっ！　あ、糸引きあめと酢昆布くださいっ」
「俺も糸引きあめを。待っている間、アヴェルスと引いたんだ」
「それのお代は結構だよ。頑張ったご褒美としてあげるね。詰め合わせ、どうぞ☆」
　酢昆布と糸引き飴の代金は、涼太郎のポケットマネーで支払うことに。
（ふたりとも頑張ったからね。せめて、これくらいしないと）

「また遊びにきてね。はーっはっはっはっはっは！！」
　家に帰るふたりを、涼太郎はキラキラ笑顔で店の外で見えなくなるまで見送った。