職業体験学習でお仕事しよう！｜リアクション

職業体験学習でお仕事しよう！

●駄菓子と文具のお店『つばき』

「職業体験学習、か。ふふ。今のうちから、いろんな経験を積めるのは良いよね！　美しきこの僕がお手伝いとして参加させてもらうよ！」
　寝子高の近くにある受け入れ先のひとつ、駄菓子と文具のお店『つばき』は花椿涼太郎の祖母が営業しているが、休日や放課後は彼も手伝っている。
　小さなマンションの一階のテナント店舗だが、内装はレトロな雰囲気の木造風、懐かしい駄菓子、ちょっとした文房具、子供向けのおもちゃなどを販売している。

「ここか……やっぱ駄菓子って、いくつになっても心踊るな～！」
　冊子片手に来た塩坂秋生は、店内にある駄菓子やおもちゃを見ながら、ここで働くのかとワクワクする。
「すみませーん！　職業体験学習で体験に来た塩坂です。お店の方はいらっしゃいますかー！」
　開店しているのに誰もいないのか？　と思っていたら、どこからか「はーっはっはっはっはっは！！」という高笑いが。
「はーっはっはっはっは！　駄菓子と文具のお店『つばき』へようこそ。僕は先輩として、皆と一緒に働く寝子高１年の花椿涼太郎だよ！」
　秋生は本土から寝子島に越してきたので、寝子島の住人にまだ慣れていない。そのため、涼太郎の振る舞いに少し驚いた。
「あっ……あの……年齢、近いですね。中学３年の塩坂秋生です。よろしくお願いします」
「こちらこそよろしく頼むよ！」

　それから少しして、もうひとり、学習体験希望者が来た。
「ぼんじゅーる！　空歌・アヴェルスですっ。小学１年生ですっ！　きょうはよろしくおねがいします！」
　ニッコリ笑ってペコリとお辞儀する空歌。
「やあ、いらっしゃい。可愛いお嬢さん。僕は花椿涼太郎だよ！　ここでのお仕事は、僕が教えてあげるからね！」
「空歌、お菓子だーいすき！　だから、ここに来ましたっ！」
　中学生のお兄さんとキラキラな面白そうな駄菓子屋のお兄さんと仲良くなれたらいいな、と思う空歌。

　挨拶を済ませると、涼太郎は駄菓子屋での仕事内容を説明し始めた。
「うちは駄菓子だけじゃなく、文具も売っているからいろんな人が来るんだよ」
　小さい子供、学生、仕事をしている人、パパ、ママ、おじいちゃん、おばあちゃん。
　急いでいる人もいれば、店内をゆっくり見たいという人も。
「そういったお客様に、親身になって動けたら素敵だよね☆」
「空歌もそう思いますっ」
「話を聞いていると、いろんな人が来るんだな」
「接客に大事なのは挨拶と笑顔！　大きな声で「いらっしゃいませ☆」って言うんだよ」
　満面の笑みで、挨拶の手本を見せる涼太郎。
「来てくれてありがとう、と心を込めるのが大事さ！　わからないことがあったら、僕になんでも聞いてほしいな☆　美の秘訣でもいいよ！」
　それはちょっと……と苦笑する秋生と空歌だった。

　説明を聞き終えた空歌と秋生は、さっそく仕事の手伝いを。
「いらっしゃいませ！」
　明るい笑顔で、ふたりは駄菓子屋に来た子供達をお出迎え。
　何にしようかなーと悩んでいる子供達に、空歌は「一緒にえらんでいいですか？」と話しかけた。
「いいよ」
「ありがとうございますっ。空歌、このお菓子見たことないですっ」
　ゾウの足の形をした白いお菓子が入った小さな容器を手にし、空歌は不思議そうに見る。
「ゾーグル知らないの？　ヨーグルト味のお菓子だよ」
「今度、買って食べてみますっ！　これはまだ食べたことないですっ。食べたら感想聞かせてくださいね」
「これ、おいしいよ」
　そう言って子供のひとりが見せてくれたのはタバココアというお菓子。
「これ、たばこじゃないですか！　なんで駄菓子屋さんにあるんですか！？」
「タバコの形をしたココア味のお菓子だよ」
　こんなお菓子もあるんですね……と空歌は不思議がった。

　子供達と駄菓子を選ぶ空歌を見て、涼太郎は「僕も頑張らないと☆」とキラキラ度をアップさせ商品補充を。