職業体験学習でお仕事しよう！｜リアクション

職業体験学習でお仕事しよう！

●ドキドキ体験学習

　９月某日、土曜日。
　寝子島駅前に、臙脂色の『職業体験中』というワッペンをつけた小中学生が続々と来た。

「いろんなおしごとをけーけんして、みんなのおやくにたちたいですっ！　たのしみですっ！」
　ワクワクしている空歌・アヴェルスだが、行ってみたいお店がたくさんあるので迷っている。
「空歌ちゃん、おはよう！　楽しみだね！」
　この日を心待ちにしていた小島海美は、早く行きたいと待ちきれない。
「海美さん、おはようございますっ。どこに行くか決めましたか？」
「わたし、おとうさんといっしょにおしごとするの！」
「お父さんと一緒にお仕事するんですねっ。私は、はたらいてみたいところがたくさんあって困っていますっ」
　そんな空歌に、海美は「すきなものがあるところでおしごとしたら？」とアドバイス。
「私、お菓子が好きですっ。駄菓子屋さんがあるので、そこにしますっ！」

「オマエも父ちゃんの職場か、オレさまちゃんもだぜ」
　海美が父親の職場に行くことを聞いた結緑一色は、自分と同じ立場だと嬉しくなり声をかけた。
「エイプリルはかせのおとうさん、おしごとなにしてるの？」
「警察官だ。だから、オレさまちゃんは警察署に行くぜ！」
　父が働いていて、かつて母も働いていた、という理由でここを選んだのだ。

「お仕事しながら、いろんな人と仲良くなりたいなー」
　動物好きな夢月姫は受け入れ先の牧場に行くことはすぐ決めたが、もう１ヶ所、どこにしようか考える。
「おはよう。体験学習、楽しみだねぇ。どこに行くの？」
　曖浜瑠樹にそう聞かれたので「ここです」と冊子をめくり、行き先を教える。
「牧場かぁ。ゆるキャラや縫いぐるみのお店はなさそうだから、オレは一番興味のあるとこに行ってみることにしよう」

「グッドモーニング、ナイストゥーミーチュー」
　英語で挨拶されたので、瑠樹と姫はちょっと驚いた。
「ソーリー、驚かせてごめんなさい。バニーは、ジュニアハイスクール２年で、オークレイ牧場のバニー・オークレイよ」
　受け入れ先のひとつ、オークレイ牧場の娘であるバニーは、姫が来てくれることが嬉しかった。
「うちに来てくれるのを待っているわよ、リトルガール。シーユー♪」

「俺も将来は、就職しないといけないんだよなぁ。でも全然思いつかないし、とりあえず適当なところにでもいってみっか！」
　クラスメイトの三宅ゆりみたいに男らしく決めるか！　と冊子をパラパラめくり、バシッと止めて行き先を決定。
「どこだ？」
　開いたページのお店は、駄菓子と文具のお店『つばき』。
「……おおっ！　駄菓子！　なんかいい響きだよな～！」
　駄菓子という単語にワクワクしだす秋生。
「秋生、おはよう。どこに行くか決めた？」
「ああ。三宅みたいに決めたよ。俺が行くのはここだ」
　ゆりに冊子を見せ、体験学習先を教える。
「そこに行くんだ。今日はお互い頑張ろうね」

「都会っぽい職場はどこでしょう……」
　田舎で生活していた神助天佑は、まだ馴染めていない寝子島で社会勉強をしながら都会に慣れようと頑張ることに。
（これを機に、誰かとの接点を作るのもいいですね）

「職業体験か……普通の授業と比べたら断然楽しそうだよな……！」
　毎日こんな授業なら良かったと思いつつ、千種修也もどこにしようか迷っている。
「このお店も楽しそうだし、飲食店は何か食わせてもらったり……はねぇか」

「職業体験か、どこ行こうかなー折角だから、料理の役に立つのがいいなー。食べ物屋さんに行こーっと」
　最近、晩御飯のネタが思いつかないので、高瀬練は、ネタ探しにちょうどいいと飲食店を選んだ。

　まだ決めかねている生徒もいたが、職業体験学習開始の時間に。

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