職業体験学習でお仕事しよう！｜リアクション

職業体験学習でお仕事しよう！

●うみねこのお仕事

　最初が肝心！　と練は「はい！　はい！　あたし、魚捌くのが得意です！　お父ちゃんが漁師なので！」と猛アピール。
　食事の支度は練がしているので、それを活かした手伝いができればと思った。
「じゃあ、お前さんには調理の手伝いをしてもらおう」

　るちるは、仕事内容を聞き逃さないよう、しっかり聞いている。
（ドジを踏まないように気を付けないと……家とは違いますからね）
　彼女の家はパイ専門店だが、うみねことは勝手が違う。
「るちるさんは、練さんと一緒に調理のお手伝いをします。野菜を切ったり、お肉の下処理など。こう見えても料理は得意ですよ！」
　中学生ふたりは、ケンゾウのお手伝いをすることに。

　姫は仕事内容を愛用の猫型のメモ帳にメモしているが、難しい漢字を書くのに悪戦苦闘。
「どうしたの？」
「お品書きの漢字がわからなくて……」
「僕が書いてあげるよ」
　メモ帳とペンを受け取った総悟は、漢字の上によみがなを書き、わかりやすいようにしてくれた。
「ありがとうございます、助かりました」

　開店時間になると、お客さんがやってきた。
「いらっしゃいませ！」
　姫に出迎えられたお客さんは、ちょっとびっくり。
「職業体験学習の子だよ、かわいがっておくれ」
　ハルコにそう言われた客は、可愛い店員さんだねと姫を褒めた。
　姫にとって、初めての仕事はやること、感じ取ったことがいっぱいで楽しかった。
（美味しそうな匂いにお腹がすいちゃいそうですけど我慢です）
　出来上がった料理を運ぶ時は転ばないよう気を付け、慎重に運ぶ。
「お待たせしました、海鮮かき揚げ丼です」
「ここのかき揚げは美味いぞ。お嬢ちゃんも食ってみな」
　時折、お客さんと話をすることも。
　
　厨房では、ケンゾウの調理を見ながら練は料理の勉強を。
（ふむふむ、あんな料理あるんだ！　隠し味には、そういうの入れるのもありなんだ！）
　他人の調理するところを見る機会がないので、すごく勉強になる。
　料理は教わるものでなく、技術を盗むもの。そう聞いたことがあるな、と思い出す練。
「練の包丁捌きすごいですね！　さすが漁師の娘さんです！　るちるさん、お魚捌くのはあまりやったことないんです……今度、教えてもらえますか？」
「いいよ！」

　うみねこが少し混んできたので、るちるも接客を。
「いらっしゃいませ！」
　明るく、礼儀正しく！　を心掛け接客に専念。
（店員の皆さんの眼差しに誇りを感じます。るちるさんが家でやっているお手伝いとは違いますね）
　違いを実感しながら、姫と綾花、総悟と仕事をする。
　洗い物、掃き掃除は家でもしているので、姫は率先してテーブルの後片付け、総悟と皿洗い。
　そんな姫を見て、綾花はお手伝いをして褒められるのが嬉しかった小さい頃を思い出していた。

　忙しい時間が過ぎると、うみねこの休憩時間に。
　ケンゾウが作った賄いを食べながら、練はケンゾウに何かいい魚料理がないか聞いた。
「お父ちゃん漁師だから毎日のように魚があるんですけど、何ていうか、料理ワンパターン化してて」
「そうだなあ……」
「練、魚料理のお悩みでしたら、るちるさんからはパイ包み焼きを提案します。手軽で美味しいんですよ～。今度レシピ書いてきますね！」
「それ、いいんじゃねえか？　煮る、焼く、刺身といったものより手が込んでるしな」
　るちるの提案に賛成するケンゾウ。

　この後、３人は別の受け入れ先へ。
「これは今日の礼だ」
　ケンゾウが手渡したのは、出来立ての一口海鮮かき揚げだった。
「ありがとうございました！」
　アツアツの一口海鮮かき揚げを受け取った３人は、礼儀正しく挨拶してそれぞれの受け入れ先へ。