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想いが籠ったお弁当
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一也は閉じていた目を開けた。上体を起こして背後に目をやると疎らに人が歩いていた。気のない視線に喜びの感情が混じる。来たか、と口にして立ち上がると髪に手櫛を入れて整えた。
ひふみは抑えたような速足で一也の前に立った。少し照れた様子の月の肩を抱いて引き寄せた。
「オシャレしてきたつもりだけど、ヘンじゃないかしら?」
「ヘンじゃねーよ。神無月らしい服だし、二人とも似合ってんじゃね?」
照れるひふみの横で月は一也を凝視した。黒い眼には何の感情も見られない。対象の観察に徹した。
何か居心地の悪さを感じ取ったのか。一也はひふみにさり気なく話を振った。
「神無月、こちらは?」
「うちに居候してる常闇月。私の高校の後輩になるわね」
ひふみは横にいる月に一也を紹介した。
「こっちは唐沢一也。バイト先の先輩よ。二人は
シャンテ
のカラオケ大会で面識はあったかしら? 仲良くしてね」
「へぇ、そうなのか。よく覚えてねーが、よろしくな常闇」
「以前に見かけたことはありますが、顔見知りとも言えません。初めまして、月と申します」
闇黒に塗り潰された眼で月は軽く頭を下げた。
「ま、気楽に座ってくれ」
一也に勧められた二人は靴を脱いで花畑を模したシートに座る。
「弁当には早いな」
相棒のベースを持ち出して一也は軽くピックで掻き鳴らした。背中を反らし、ベースを天に捧げる。
「俺が弾き語りをやってやるぜ」
「私は一也のステキな曲が聞きたいわ」
ひふみが強い口調で言った。落ち着きのない視線を周囲の人に向ける。
「まー、客のリクエストは聞かねーとな。いいぜ、俺が最高の一曲を弾いてやるよ」
指が静かに弦を弾く。同じ旋律の繰り返しにひふみの身体が次第に揺れ始めた。月は二人の様子を目にしながら掌に隠したメモに素早く文字を書き込んだ。
『ひふみ姉さんの好感度が上昇。踏み込みが足りず、恋人未満で停滞中』
弦の音が強くなる。手首が激しく回って弦に親指を何度も叩き付けた。一也の頭が上下に振れて音に熱が宿る。
「これが『lie』の音楽だ。『KAZU』の剥き出しの魂だぜ!」
旋律の渦に一也とひふみは身を投げた。二人は激しく揉まれて揺れ動く。側で見ていた月の頭も小さな円を描いていた。
身体に籠った余熱を吐き出して一也の演奏は終わった。額にはじんわりと汗が滲んでいた。
「一也、とても良かったよ。身体が勝手に動いたわ。ねえ、曲名を教えてよ」
「あー、これな。即興だから曲名はねぇんだ。今度、会う時までには考えとく。そろそろ弁当にしないか。今ので腹減ってきてなぁ」
「わかったわ、月も手伝って」
『唐沢さん、演奏はなかなかやります』
少し悔しさを滲ませる表情で月はメモを閉じた。いそいそと用意するひふみに混ざって弁当をシートに広げた。
「おおー、見た目からよく出来てんなぁ。タコウィンナーに鉢巻かよ。こっちは星か。やっぱ女子って手先が器用だよな」
「ま、まあ、星は私が作ったんだけどね!」
ひふみは声を上げて言った。そうです、と月は言葉を添えた。
『ヒトデは星に昇格しました』
月のメモに言葉が書き足された。
「星からいただくか」
渡された箸で一也は一口にした。噛んだ瞬間に目を見開く。急激な変化に心配になったひふみが声を掛ける。
「味は、どう?」
「おおぉ! 信じられねぇ! マジうめぇな、これ!」
一也は箸で星を摘まんでは口に押し込んだ。頬は膨らんでリスのような状態で無心になって食べた。
「そ、そう? もー、大袈裟すぎよ。お世辞は程々にしてよね!」
ひふみは嬉し泣きしそうな表情をして、そぼろで作った三色ご飯を紙の皿に盛り付けた。
「これも食べてみてよ」
「色が綺麗だな。味は……最高じゃねぇか!」
一也の箸が止まらない。呼吸を忘れるくらいの勢いでご飯を掻っ込む。
「ひふみ姉さんも召し上がってください」
月は自作のタコウィンナーを勧めた。ひふみは箸で摘まみ、頭を齧った。直後に全てを口の中に押し込んだ。口を動かす度に表情が蕩けるような笑顔になる。
「噛むと旨味が口の中に広がるわ。飲み込むのがもったいなくて、いつまでも噛んでいたいなんて……」
「ひふみ姉さんに喜んで貰えて、私も嬉しいです」
「卵焼きも貰うぞ!」
一也は返事を待てない様子で卵焼きを頬張った。瞬間、天を仰ぐ。薄らと浮いた喉仏がゆっくりと上下した。
「……甘くて、美味くて、頭が蕩けそうだ」
一気に項垂れた一也は味の余韻に浸る。数秒で立ち直り、今度はリンゴの入ったポテトサラダに手を伸ばす。
「おおー、シャリシャリがうめぇ!」
一也の底なしの食欲に引っ張られるようにして、ひふみと月も弁当を食べた。笑みが抑えられない様子で華やかな昼食となった。
弁当の終わりが見える頃、ひふみの華やかな笑みに一抹の寂しさが紛れ込む。目敏く感じ取った月は自然に近づいて囁いた。
「……唐沢さんに食べさせる、あーんに挑戦しませんか」
「……そ、そんなの無理よ」
否定の台詞を言いながらも表情は迷っていた。月は力強く頷いた。ひふみの目に決意の色が滲む。
「あ、あのさ、一也。卵焼きを食べさせてあげてもいいわよ、あーんで……」
「それはマズイだろ。恋人みたいじゃないか」
「それは、そうだよね。ゴメン、気にしないで」
少し潤んだ目でひふみは笑った。見ていた月はメモに文字を書き殴る。
『唐沢さんの刑を執行します』
月は三角のおにぎりを手に取った。海苔の部分を僅かに指で剥がし、手の中に隠し持ったカラシのチューブの先端を突き刺して中身を注入した。
「ひふみ姉さん、おにぎりのあーんにしてはどうでしょうか。最近の若い男女間で普通に行われています。もちろん、唐沢さんも知っていますよね」
「あ、そうだったよな。最近のトレンドってヤツだ」
常識と言わんばかりの月の口調に乗せられた形となった。
「さあ、ひふみ姉さん、話は付きました。存分にあーんをしてください」
「わ、わかってるわよ」
おにぎりを受け取ったひふみは立ち上がって、仕方ないわね、と赤い顔で愚痴を零す。
「ほら、一也。口を開けて」
「こんな感じか?」
ひふみは横目の状態で、あーん、と言いながら一也の口におにぎりを突っ込んだ。齧り付いた直後に咳き込んだ。
「急にどうしたのよ」
「あ、ゲホッ。な、なんでもねぇよ」
一也は鼻を摘まんでひふみに言った。美味すぎて涙が出るぜ、と余った手で両目を擦る。つぶさに見ていた月はメモに素早く書き込む。
『耐えますか。唐沢さんは見た目と違って辛抱強いです』
用意した弁当の全てが無くなった。一也は上体を後ろに傾けて大きな息を吐いた。
「普段はそんなに量を食わねぇんだけどな」
「ひふみ姉さんの料理はとても美味しかったです」
一也の意見に同意するかのように月はひふみに目を移した。当の本人は、大袈裟ね、と表情を緩めて笑った。
「でもさー、神無月。俺なんか誘ってつまんなくねーのか?」
「なんでそんなこというのよ。生演奏も聞けたし、お弁当だって楽しく食べれたよね」
ひふみの言葉に月は頷く。反対に一也には、やや厳しい表情を見せた。本人は気付かない様子で、そうだ、と声を上げた。
「前から気になってたんだけどさ」
「私のことかしら?」
ひふみは澄ました顔で言葉を待つ。
「神無月って、恋愛モノの歌詞を書くことが多いだろ。好きなヤツとかいたりするのか」
「そ、それは。でも、なんでよ」
「恋すると書きやすいのかなって。ま、純粋な好奇心だな」
月は無言で立ち上がる。速やかに一也の傍らにしゃがんで、秘密の手紙です、と耳元で囁いた。一也はひふみに背を向けて手紙を受け取ると、その場で開いた。達筆で書かれた文字が目に飛び込んできた。
『ひーちゃんに手を出したら、解っているんだろうな?』
一也の顔色が明らかに変わる。早口の小声で狼狽えた。
「ひーちゃんって、ちょっと待て、そんな仲じゃねーって」
「なんの話をしてるのよ」
ひふみが四つん這いになって近づいてきた。一也は手紙を握り潰し、ズボンのポケットに突っ込んだ。
「な、なんでもねぇよ。これから三人で仲良くやろうなって話だよ」
「そうなのね」
安堵したような声を出した。ひふみは改めて二人の顔を見つめた。
「あのね、一也と月に聞いて欲しいことがあるの」
「おう、なんでも言ってくれ」
「なんでしょう」
姿勢を正した二人にひふみは儚い笑みを浮かべる。
「ヤクザの家に生まれて……辛い思いをして泣いた事もあったけど、今は昔みたいに嫌じゃない」
「そうなのか」
一也の言葉に頷いたひふみは幸せを噛み締めるような表情になった。
「だって一也や月に会えたのだから。それがとても嬉しくて、幸せな気分。二人とも、ありがとう、大好きよ」
「なんか照れるぜ。これからもよろしくな」
「ひふみ姉さん、今後もよろしくお願いします」
「なんか急に言葉が胸に込み上げてきて。少し私らしくなかったかな」
ひふみは初々しい笑みを見せた。釣られて二人も笑う。
青い空が深く胸に染み入る日であった。
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日常
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20人
参加キャラクター数
20人
シナリオスケジュール
シナリオガイド公開日
2014年10月26日
参加申し込みの期限
2014年11月02日 11時00分
アクション投稿の期限
2014年11月02日 11時00分
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