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- 学年：職業
- 00月00日生 00歳
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己の魂を越えてゆけ
【誰が敵か？】
神助 天佑がドッペルに出会った瞬間、全てを理解した。
「僕を倒そうというのですか、『僕』……」
ドッペル天佑は静かにに頷いた。
神助は合点が行ったと腕を組む。
「僕は強くありたい。強くなければ誰からも必要とされないのだから。強い方が本物。それを君も望むでしょう？」
「その通りです。流石は『僕』、物分りが早くて助かります」
ドッペル天佑は満足げに唇を上向きに歪めた。
神助はドッペルを見据えたまま間合いを計る。
（寝子島に来る以前、神助家の跡取りとして己を高めることでしか、僕は周囲から認められなかった。強くあらねば必要とされない、弱くあってはならない、という強迫観念とも呼べるこの信念。そしてあの影……『僕』は僕が弱い事が許せない。それが手に取るように分かる）
自分自身の鏡を見て、神助は気が付いた。
（そうか。誰よりも『僕』自身が僕の強さを信じていなかったんだ）
だったら、ここで自分自身に勝たなければ強さを証明できない。
「では始めましょう。手加減は無用です」
「もちろんです。全力で相手しましょう」
２人は拳を突き出してぶつかり合っていった。
しばらくして。
ボロボロの２人は悟った。
技量・体力・思考、いずれも同じでは埒があかない。
（こうなったら……）
ろっこんで勝負するしかない。
だが、ろっこんも同じものを有しているに違いないと考えた神助は、なんと踵を返して走り出した。
「あ、待ちなさい！ 逃げるのですか！？」
当然、追い掛けるドッペル天佑。
「逃げるとは弱いですね！ 見損ないました！」
罵倒するドッペル天佑の声が背中から刺さる。
「勘違いしないで下さい。僕がいつ逃げると言いましたか？」
神助はくずかごの中に手を伸ばす。
「僕は武器調達をしていただけですよ。これで『僕』をあっと言わせてやりますよ！」
そうして神助はくずかごへ手を突っ込んで何かを引き抜いた。
ドッペル天佑は顔を赤らめた。
「な、なんて破廉恥な！」
「は？」
神助は自分が掴んだものの正体に泡食った。
「じょ、女性のせくしー写真集！？ なんでこんなところにっ？」
見るからに色っぽい女性が水着でポーズしている表紙の本だった。
「勝負ありましたね。実はここに来る途中、素敵な物を見付けまして」
ドッペル天佑が懐から取り出したものは……？
「“だぁつ”の矢ですよ。これは金属製でして、よく磁石にくっつきそうです」
そう言いながらドッペル天佑は右目を閉じて神助を見詰めだした。
ろっこん『磁気眼』。見詰めているものを強力な磁石にするろっこんだ。
神助は身震いする。今、自分の体が磁石にされてしまった。
つまり、あの“だぁつ”を投げられたら、神助の放つ磁力に吸い寄せられて……！
「な、なんてことを！」
「勝負は非情です。さて、目を狙いましょうか。それで『僕』の勝利は確実です」
矢を振り被り、スローイング態勢に入るドッペル天佑。
これに神助は一か八か、賭けに出ることにした。
「これでも喰らえ！」
彼は写真集のページを見開いて前に突き出した。
矢を放たんとしていたドッペル天佑の動きが硬直する。
「ぬ、ぬーど、ですとぉぉぉ！？」
表紙からは分からなかった。写真の女性が、紙面の中では一糸纏っていなかったことを！
赤面して目を逸らすドッペル天佑。
「目を逸らしましたね？」
この瞬間を神助は待っていた！
ページを見開いたまま、彼はドッペルへ突撃！
直視できないドッペルは顔面へ写真集を押し付けられてしまう。
「これでどうです！？」
視界を奪った神助は、写真集の表紙越しから掌底をドッペルへ見舞う！
「おぱああああ！？」
奇声を上げながらドッペルは矢を握りこんで振り下ろす。
だが、神助は行動を読み切っていた。
「それは悪手です！」
神助は写真集を左目だけで見詰める。
「写真集と僕の体の磁極を同じにしました。さぁ、吹っ飛びなさい！」
神助と写真集の磁力が反発し、そのまま後方へ吹き飛んだ。
写真集に吸い付いた矢を握っていたドッペルもそのままつられて床を転げる羽目になった。
ドッペルは血まみれだった。
……主に自分の流した鼻血によってだが。
「あっけないですね。これでは僕のことを弱いと言ってられませんよ？」
神助が写真集をドッペルの顔面に覆いかぶせると、ドッペルは奇声を上げながら消滅していった。
「敗因はオッパイだ……、『僕』は負けてなかった……！」
消えゆく分身に、神助は冷徹に言い放つ。
「僕が勝つべき相手は『己の弱さを認めない心』なのかもしれませんね」
そして学生帽を深めに被りなおして立ち去る神助であった。
＜神助 天佑：敵は我の心に有り＞
神助 天佑がドッペルに出会った瞬間、全てを理解した。
「僕を倒そうというのですか、『僕』……」
ドッペル天佑は静かにに頷いた。
神助は合点が行ったと腕を組む。
「僕は強くありたい。強くなければ誰からも必要とされないのだから。強い方が本物。それを君も望むでしょう？」
「その通りです。流石は『僕』、物分りが早くて助かります」
ドッペル天佑は満足げに唇を上向きに歪めた。
神助はドッペルを見据えたまま間合いを計る。
（寝子島に来る以前、神助家の跡取りとして己を高めることでしか、僕は周囲から認められなかった。強くあらねば必要とされない、弱くあってはならない、という強迫観念とも呼べるこの信念。そしてあの影……『僕』は僕が弱い事が許せない。それが手に取るように分かる）
自分自身の鏡を見て、神助は気が付いた。
（そうか。誰よりも『僕』自身が僕の強さを信じていなかったんだ）
だったら、ここで自分自身に勝たなければ強さを証明できない。
「では始めましょう。手加減は無用です」
「もちろんです。全力で相手しましょう」
２人は拳を突き出してぶつかり合っていった。
しばらくして。
ボロボロの２人は悟った。
技量・体力・思考、いずれも同じでは埒があかない。
（こうなったら……）
ろっこんで勝負するしかない。
だが、ろっこんも同じものを有しているに違いないと考えた神助は、なんと踵を返して走り出した。
「あ、待ちなさい！ 逃げるのですか！？」
当然、追い掛けるドッペル天佑。
「逃げるとは弱いですね！ 見損ないました！」
罵倒するドッペル天佑の声が背中から刺さる。
「勘違いしないで下さい。僕がいつ逃げると言いましたか？」
神助はくずかごの中に手を伸ばす。
「僕は武器調達をしていただけですよ。これで『僕』をあっと言わせてやりますよ！」
そうして神助はくずかごへ手を突っ込んで何かを引き抜いた。
ドッペル天佑は顔を赤らめた。
「な、なんて破廉恥な！」
「は？」
神助は自分が掴んだものの正体に泡食った。
「じょ、女性のせくしー写真集！？ なんでこんなところにっ？」
見るからに色っぽい女性が水着でポーズしている表紙の本だった。
「勝負ありましたね。実はここに来る途中、素敵な物を見付けまして」
ドッペル天佑が懐から取り出したものは……？
「“だぁつ”の矢ですよ。これは金属製でして、よく磁石にくっつきそうです」
そう言いながらドッペル天佑は右目を閉じて神助を見詰めだした。
ろっこん『磁気眼』。見詰めているものを強力な磁石にするろっこんだ。
神助は身震いする。今、自分の体が磁石にされてしまった。
つまり、あの“だぁつ”を投げられたら、神助の放つ磁力に吸い寄せられて……！
「な、なんてことを！」
「勝負は非情です。さて、目を狙いましょうか。それで『僕』の勝利は確実です」
矢を振り被り、スローイング態勢に入るドッペル天佑。
これに神助は一か八か、賭けに出ることにした。
「これでも喰らえ！」
彼は写真集のページを見開いて前に突き出した。
矢を放たんとしていたドッペル天佑の動きが硬直する。
「ぬ、ぬーど、ですとぉぉぉ！？」
表紙からは分からなかった。写真の女性が、紙面の中では一糸纏っていなかったことを！
赤面して目を逸らすドッペル天佑。
「目を逸らしましたね？」
この瞬間を神助は待っていた！
ページを見開いたまま、彼はドッペルへ突撃！
直視できないドッペルは顔面へ写真集を押し付けられてしまう。
「これでどうです！？」
視界を奪った神助は、写真集の表紙越しから掌底をドッペルへ見舞う！
「おぱああああ！？」
奇声を上げながらドッペルは矢を握りこんで振り下ろす。
だが、神助は行動を読み切っていた。
「それは悪手です！」
神助は写真集を左目だけで見詰める。
「写真集と僕の体の磁極を同じにしました。さぁ、吹っ飛びなさい！」
神助と写真集の磁力が反発し、そのまま後方へ吹き飛んだ。
写真集に吸い付いた矢を握っていたドッペルもそのままつられて床を転げる羽目になった。
ドッペルは血まみれだった。
……主に自分の流した鼻血によってだが。
「あっけないですね。これでは僕のことを弱いと言ってられませんよ？」
神助が写真集をドッペルの顔面に覆いかぶせると、ドッペルは奇声を上げながら消滅していった。
「敗因はオッパイだ……、『僕』は負けてなかった……！」
消えゆく分身に、神助は冷徹に言い放つ。
「僕が勝つべき相手は『己の弱さを認めない心』なのかもしれませんね」
そして学生帽を深めに被りなおして立ち去る神助であった。
＜神助 天佑：敵は我の心に有り＞
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
-
- 2014年10月05日
- 参加申し込みの期限
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- 2014年10月12日 11時00分
- アクション投稿の期限
-
- 2014年10月12日 11時00分
