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- 00月00日生 00歳
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映画村ポルターガイスト 少し不思議なお片づけ
映画村の一般開放時間が終わり、裏手の九夜山へ太陽が隠れていく。北西に位置する撮影スタジオが橙の色に染まった。
この日、スタジオではお茶の間のセットを使った映画が撮影されていた。撮影チームが解散したのと同じタイミングで、守衛は深夜勤務の守屋甚八へバトンタッチ。彼が一度目の巡回をしたときには、スタジオはもう無人になっていた。戸締まりを確認した後、今夜も霊障に悩まされることを憂い、甚八ため息を一つ。
そんな甚八の背後を見送って、スタジオ倉庫へ寄って来たのは桃川 圭花だ。その姿に緊張感の気配はない。あくびを噛み殺し、黒ぶちメガネを外した。
「あーねむ」
うんざり、と言ったふうに圭花が首を回したころには、すでに倉庫の鍵は分解されていた。彼女のろっこん「ガレージランド」にかかれば、この手の機構はお易いものだ。
彼女のもとに、妹から手紙とハンディカムが送られて来たのはつい先日のことだった。
『寝子島の映画村がネットの片隅で話題らしいの』
『ガチの心霊スポットだとか』
どんなものにも興味津々な、かわいい妹の頼み。
『お姉ちゃんはポンコツのごくつぶしだけど、このカメラは仕込めば猿だって使えるぐらいのものだから、きっとあの子でも大丈夫。姉さまがそう言ってました』
圭花は四姉妹の三女。良き姉妹に囲まれたものである。圭花はダルさを拭うことができない。
「ていうかどの部分が『姉さまがそう言ってた』ことなんだか」
重厚な倉庫の扉を開く。中はまだ何も起きていない。
圭花に与えられた任務は、怪奇現象を映像に収めることだった。
分解された鍵に首を傾げながら、倉庫に入って来た二番手は亜魚隈 猯利だった。美化委員の彼は、さすがに片づけに関しては手際がいい。
美化活動の一環として、倉庫の片づけを手伝わせてほしい。
事前に願いを出すと、いとも簡単に中へ通されてしまった。セキュリティに関して、映画村は極端に緩いのかもしれない。守衛に鍵をもらうはずだったが、開いていたのでひとまず作業を開始する。
物がどこに置かれているのか、あらかじめリストを作成。小道具はダンボールにしまい、内容物をマジックで記入する。壊れやすいものには布や新聞紙をクッション代わりに。そしてそれらをひとまとめにしてしまっておく。
これでポルターガイストも最小限に抑えられるだろう。
「お片づけ術を撮りに来たんじゃないんだけどな」
物陰に隠れながらハンディカムを回す圭花。すでに眠気は限界にきていた。
太陽が完全に隠れる。迫る暗闇とともに姿を現す白髪の少女がいた。
吉祥寺 黒子。怪奇現象の噂を流した張本人だ。彼女にとって映画村は大事な場所だった。毎夜侵入するうち、ポルターガイストのことを知り、ねこったーで噂を流していたのだ。
（多分、ろっこんのせいだろう）
彼女自身はひとであったが、ろっこんのことは把握している。
（ろっこん関係はろっこん使いどもに任せるしかねェな）
彼女にできること。それは見守ることだ。複雑な想いを秘めながら、今日も甚八の近くへと急ぐのだった。
守屋甚八は、守衛室の受付口から、街路灯が灯って行くのを見届けた。
今夜も孤独な一夜が始まる。そう思うだけで、侘しさが募った。この仕事に就いて40年が経つ。誇りを持ってやってこれたし、きちんと職務をこなしてきた。しかしこの年まで独身でいると、どうも心にポッカリと穴が開いてしまった気分になる。夜の闇がそれに拍車をかけるのだった。
「えっと、夜分遅くに失礼します」
窓口から声が飛び込んで来る。
「ほう、君は」
控えめな顔つきで立っていたのは雪見 大福だった。甚八は目尻にシワを作ってたっぷりと微笑む。
「えっと、俺のこと覚えてますか？」
「ええ、ええ。以前にスタジオで迷っていたのを出口まで連れて行ってあげましたね」
「覚えてくれてたんですね。だいぶ前のことなのに」
甚八は成長した大福を見てもすぐに思い起こしてくれた。
「最近変なことが起こっていると聞いて……」
その言葉に、途端に甚八は困った顔をしてみせた。
「そうなのです。倉庫が最近慌ただしくて……そうだ、せっかくですから中に入ってください」
甚八に促され大福は守衛室へと入る。
「私たちもお邪魔してよろしいでしょうか」
さらに現れる影。桜庭 円と常葉 治だった。
「にゃーくんもいるよー」
円の頭の上で気持ちよさそうに眠るにゃーくん。
「寝子島饅頭をみんなで食べましょう」
さすが旅館の若女将、自家製銘菓をきちんと用意してきた。
「俺はティーパックを」
大福は気を利かせて、片づけに来る仲間たちの分も持って来ている。
「おお今夜は守衛室も賑やかですね」
甚八の寂しかった気分が晴れていく。
この日、スタジオではお茶の間のセットを使った映画が撮影されていた。撮影チームが解散したのと同じタイミングで、守衛は深夜勤務の守屋甚八へバトンタッチ。彼が一度目の巡回をしたときには、スタジオはもう無人になっていた。戸締まりを確認した後、今夜も霊障に悩まされることを憂い、甚八ため息を一つ。
そんな甚八の背後を見送って、スタジオ倉庫へ寄って来たのは桃川 圭花だ。その姿に緊張感の気配はない。あくびを噛み殺し、黒ぶちメガネを外した。
「あーねむ」
うんざり、と言ったふうに圭花が首を回したころには、すでに倉庫の鍵は分解されていた。彼女のろっこん「ガレージランド」にかかれば、この手の機構はお易いものだ。
彼女のもとに、妹から手紙とハンディカムが送られて来たのはつい先日のことだった。
『寝子島の映画村がネットの片隅で話題らしいの』
『ガチの心霊スポットだとか』
どんなものにも興味津々な、かわいい妹の頼み。
『お姉ちゃんはポンコツのごくつぶしだけど、このカメラは仕込めば猿だって使えるぐらいのものだから、きっとあの子でも大丈夫。姉さまがそう言ってました』
圭花は四姉妹の三女。良き姉妹に囲まれたものである。圭花はダルさを拭うことができない。
「ていうかどの部分が『姉さまがそう言ってた』ことなんだか」
重厚な倉庫の扉を開く。中はまだ何も起きていない。
圭花に与えられた任務は、怪奇現象を映像に収めることだった。
分解された鍵に首を傾げながら、倉庫に入って来た二番手は亜魚隈 猯利だった。美化委員の彼は、さすがに片づけに関しては手際がいい。
美化活動の一環として、倉庫の片づけを手伝わせてほしい。
事前に願いを出すと、いとも簡単に中へ通されてしまった。セキュリティに関して、映画村は極端に緩いのかもしれない。守衛に鍵をもらうはずだったが、開いていたのでひとまず作業を開始する。
物がどこに置かれているのか、あらかじめリストを作成。小道具はダンボールにしまい、内容物をマジックで記入する。壊れやすいものには布や新聞紙をクッション代わりに。そしてそれらをひとまとめにしてしまっておく。
これでポルターガイストも最小限に抑えられるだろう。
「お片づけ術を撮りに来たんじゃないんだけどな」
物陰に隠れながらハンディカムを回す圭花。すでに眠気は限界にきていた。
太陽が完全に隠れる。迫る暗闇とともに姿を現す白髪の少女がいた。
吉祥寺 黒子。怪奇現象の噂を流した張本人だ。彼女にとって映画村は大事な場所だった。毎夜侵入するうち、ポルターガイストのことを知り、ねこったーで噂を流していたのだ。
（多分、ろっこんのせいだろう）
彼女自身はひとであったが、ろっこんのことは把握している。
（ろっこん関係はろっこん使いどもに任せるしかねェな）
彼女にできること。それは見守ることだ。複雑な想いを秘めながら、今日も甚八の近くへと急ぐのだった。
守屋甚八は、守衛室の受付口から、街路灯が灯って行くのを見届けた。
今夜も孤独な一夜が始まる。そう思うだけで、侘しさが募った。この仕事に就いて40年が経つ。誇りを持ってやってこれたし、きちんと職務をこなしてきた。しかしこの年まで独身でいると、どうも心にポッカリと穴が開いてしまった気分になる。夜の闇がそれに拍車をかけるのだった。
「えっと、夜分遅くに失礼します」
窓口から声が飛び込んで来る。
「ほう、君は」
控えめな顔つきで立っていたのは雪見 大福だった。甚八は目尻にシワを作ってたっぷりと微笑む。
「えっと、俺のこと覚えてますか？」
「ええ、ええ。以前にスタジオで迷っていたのを出口まで連れて行ってあげましたね」
「覚えてくれてたんですね。だいぶ前のことなのに」
甚八は成長した大福を見てもすぐに思い起こしてくれた。
「最近変なことが起こっていると聞いて……」
その言葉に、途端に甚八は困った顔をしてみせた。
「そうなのです。倉庫が最近慌ただしくて……そうだ、せっかくですから中に入ってください」
甚八に促され大福は守衛室へと入る。
「私たちもお邪魔してよろしいでしょうか」
さらに現れる影。桜庭 円と常葉 治だった。
「にゃーくんもいるよー」
円の頭の上で気持ちよさそうに眠るにゃーくん。
「寝子島饅頭をみんなで食べましょう」
さすが旅館の若女将、自家製銘菓をきちんと用意してきた。
「俺はティーパックを」
大福は気を利かせて、片づけに来る仲間たちの分も持って来ている。
「おお今夜は守衛室も賑やかですね」
甚八の寂しかった気分が晴れていく。
シナリオ
シナリオデータ
シナリオスケジュール
- シナリオガイド公開日
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- 2013年01月30日
- 参加申し込みの期限
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- 2013年02月06日 11時00分
- アクション投稿の期限
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- 2013年02月06日 11時00分
