壊しておくれ、誠を帯びしこの身をどうか｜リアクション

壊しておくれ、誠を帯びしこの身をどうか

・序章

「シンセングミとかいう奴らだ」
　テオの言葉に、場にいるほとんどの者が息を呑んだ。「マジかよ……」、「嘘でしょ……」とそんなつぶやきが漏れ聞こえる。
「何してる。さっさと行け」
　そんな彼らに向けられる静かな、冷たいテオの口調。少しの間、沈黙が流れて、しかしやがて目の前に置かれた刀に一人が歩み寄った。
「さすがに震えるな……いや、あるいは武者震いか」
　自分に言い聞かすような口調でつぶやきながら、伊織源一は用意された刀を手に取る。
　それを見て、他の者たちも意を決したか、源一と同じようにそれぞれの手に刀を握った。
「君たちは使わないの？」
「私は、ここに呼ばれる前から身に着けていたものがありますから」
　日暮ねむるの問いかけに、常闇月が答える。
「アタシもいらないわ。刀よりも、この肉体のほうが頼りになるだろうから。ちょうど運動してたとこで、いい具合に火照ってるしね」
　続けて答えたのは、尾鎌蛇那伊。蛇那伊の様相はふんどし一丁というもので、周りに比べてひどく異質な恰好だった。それでも皆、運動していたという蛇那伊の言葉に、ある程度は納得した様子だった。ある程度は。
「……行こう」
　やがて場にいる全員に向かって、御剣刀が言葉を向ける。
　その言葉に、全員が頷いた。

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