大怪獣襲来！～寝子島防衛戦～｜リアクション

大怪獣襲来！～寝子島防衛戦～

●バーサーカー・２

「すいません先輩。お借りします」

　鋼成から日本刀を受け取った神木煉はそれを腰に差して抜刀。
　押し寄せる半魚人たちを切り払い、巨大サンマへの攻撃の道を切り開こうとするが、それもまた圧倒的な数の軍勢にそう効率の上がるものでもなかった。

　煉は鬼神のように刀を振い、数えきれない数の半魚人を切って切って切りまくり、その姿を光の粒子に変えていった。
　それはまさに獅子奮迅の激闘であったが、敵はそれにも増して多かった。途切れる事の無い半魚人の猛攻に、防衛チームの体力はじりじりと削られていく。

　ついに半魚人の攻撃が煉をとらえ、強烈な一撃を喰らった煉は吹き飛ばされて地面に叩きつけられる。
　辛うじて意識は保っている。こんな所でやられる訳にはいかない。
　最後の気力を振り絞り、膝を立て、身体を起こす……
　額に触れた手にぬめりを感じる。傷を負ったらしい。自分の身体から流れる赤い血。
　その時、それを見た煉の身体の内側から不思議な力が込み上げて来た。

　『己の血を左目で見る事』、それが彼のろっこん『狂化』のトリガー。

　体力の限界を越えて立ち上がった煉は、手にした日本刀を道具ではなく身体の一部、爪や牙とした獣のように闘争本能を剥き出しに、力任せに叩きつけて半魚人の群れを薙ぎ払う。
　
　だが、その力は身体能力が数十倍に強化される代償に理性を失っていく諸刃の刃。
　戦えば戦う程に血は流れ、思考は薄れ、狂える破壊衝動の化身と化していく。
　己の身を顧みる事など無く、ただひたすらに目の前の敵を打ち砕くのみ。