●遥か遠い海の彼方で
太平洋。どこまでも広がるのどかな大海原――
「なんだありゃあ!?」
いつものように漁に出ていた漁師はいつもの漁場で、今まであるはずの無かった『それ』を発見し、目を見開いて素っ頓狂な声を上げた。
仰ぎ見る先には海中からそびえ立った巨大な柱。そのぬらぬらと濡れる切り立った絶壁がどこまで伸びているのかと見上げるも、その頂は霞に閉ざされていて確認する事は出来ない。
柱の周りを旋回する海鳥たちの鳴き声がぎゃあぎゃあと辺りに不気味に響き渡る。
「島か……? 動いてる!?」
確かにゆっくりではあったが海鳥に誘導されるかのように、その巨大なオベリスクは身を揺らし、白波をかき分けて移動していた。
引き起こされた大波に漁船は木の葉のようにゆらゆらと揺れる。
「こ、こりゃ大変だ!」
漁師は慌てて無線に駆け寄った。するとそれに反応したのかどうかは分からないが、見る間に巨柱は霞に溶けるかのように消えて行った。
「あれは幻か何かだったのか……?」
漁師はただ首をひねるだけだった。
●フツウを死守せよ!
寝子島は、神奈川県湘南地方の木天蓼市に浮かぶ小さな島だ。
本土まで約1キロのこの島は、海や山などの自然に恵まれ、リゾート地としても有名である。
たくさんの猫が暮らしていて、そこから寝子島(猫島)と呼ばれるようになったと言われている。
日常の些細なトラブルこそあれ、閑静で穏やかな島であった。その瞬間までは――
穏やかな春の日、何の前触れもなく世界が変わった。
往来の喧噪は消え、町は時が止まったかのように静まりかえっている。
無人――いや、正確には無人ではない。数人の寝子高生徒だけが静まりかえった寝子島に存在していた。
彼らの前に現れたのは一匹の猫。名をテオという。
「厄介な奴が現れたので非常手段をとった。『奴』とお前たちだけを『ここ』に隔離した。お前らで『奴』を片付けろ」
「ね、猫が喋った!? てか『奴』とか『ここ』とか何だよ? それに隔離って……!?」
驚く生徒たちの質問にテオは面倒臭そうに顔をしかめて投げやりな返答しか返さない。
「ゆっくり説明してやってもいいが、その間に『奴』に『ここ』が破壊されてしまうぞ」
テオがクイと顎で指す先、窓の向こう――学校前の坂を下った海辺にその『奴』が見えた。
天を突く巨大なオベリスク。いや、あれはどこかで見た事がある。
直立したサンマに人間の手足が生えた珍妙な生物。
そう。それは寝子島のイメージキャラクターとして最近知名度を上げているゆるきゃら。
サンマさん――
「呼んだか?」
唐突な声に振り返ると、そこに彼はいた。
人間サイズのサンマさん。こちらが元祖になるのだろうか。
「あれは俺じゃないし、知り合いでもない。
俺の寝子島を襲うだなんて酷い奴だ。許せねえ! ぶっ飛ばしてやる!」
そう言うと、サンマさんは拳を振り上げ、猛然と浜へ向かって走って行った。
アホー
その背を見送るかのように一羽のカラスが鳴いた。
「せいぜい『ここ』が持つのは明日の夜明けまでだろう。
それまでに『奴』をなんとか出来なかった場合、あれはあっち――本当の寝子島に出現する。
そうなると『フツウ』が破壊されちまう。お前らで何とかしろ」
テオはそう締めくくると、ひょいと机を飛び降りた。
■概要
突如出現した巨大怪獣が南の海より寝子島へやってきました。
途中で一般人に目撃されるも、テオが怪獣を異次元に隔離した為、表向きは見間違いや幻覚だと思われていますが、
隔離していられる時間に限度があり、それ以上経つと元の世界に出てきてしまい、本当の寝子島に上陸して暴れられてしまいます。
なので、それを防ぐ為にテオによってもれいびたちが集められ、異次元の寝子島で防衛戦を行う事になりました。
(参加者が『ひと』であった場合は、偶然巻き込まれたものとします)
■舞台と登場キャラクターについて補足
異次元にはガイドに出てきた人物(動物)と参加者以外は存在しませんが、生物以外の物体は現実の寝子島と同じように存在しています。(漁師はいません)
怪獣は直立する手足の生えた巨大サンマの姿で、口からサンマさんモドキを多数出してきます。
サンマさんモドキはサンマさんに似ており、体長1メートルぐらいで巨大サンマ程のパワーはありませんが、数は多く、巨大サンマの進路を邪魔する物があれば優先的に攻撃してきます。
巨大サンマもサンマさんモドキも人語を理解はする様ですが、会話能力は持ちません。(ギョギョーとしか発声できません)
■怪獣予測進路とNPCの行動予定
巨大サンマは寝子島全景地図、H-13以南から地図内に侵入。
そのまま北上し、寝子ヶ浜海岸への上陸を目指します。
海岸線で食い止められなかった場合は海浜公園を経由し、シーサイドタウン周辺の巨大建造物の破壊に向かいます。
基本的に大きく目立つ物を優先的に破壊に向かう性質があるようです。破壊活動を行っている時は移動速度は低下します。
シーサイドタウンを破壊し尽くした後(もしくは侵入できなかったり撃退された場合)は、市街地を破壊しながら横断し、九夜山方面を目指します。
その後の行動は現在不明です。
サンマさんは浜辺で巨大サンマの上陸を阻止するようです。
テオは寝子高の屋上で戦況を見守り、積極的な行動に出る様子はありません。
■注意
防衛成功の為には作戦(人数配分や連携)が重要です。また単独行動で結果を出すのは非常に難しいと思います。
掲示板等を利用して、充分作戦を練って下さい。
(サンプルそのままの投稿は地雷です)
防衛に参加する人は自分が防衛する地域をアクションで指定してください。
複数の場所を指定しても構いませんが、その場合は各場所での防衛効果は下がるものと判定します。
防衛戦に協力的でなかったり、作戦の不備が多いと好ましくない結果に終わる可能性が高いのでご注意ください。