酒は飲んでも飲まれるな｜リアクション

酒は飲んでも飲まれるな

「倖お兄ちゃん、ふらふらするの治ったよ！」
「良かった……さ、おうちに帰ろう」
　月影倖は、小島海美の手を引いて歩いていた。
「ここまでくれば大丈夫？」
「うん、助けてくれてありがとう！じゃあねー」
　すっかり元気になった海美は、自宅へ帰っていった。

「はっ。なんでオイラ寝てんの？」
　目を覚ました琴櫻輝之助は、慌てた。旧市街に来た用件を思い出したのだ。
「ばーちゃんに買い物頼まれてたんだ、今何時？」
　時計を確認すると、午後八時。
「うわ、やべえ！さっさと買い物して帰らなきゃ！」

　輝之助が寝ていたすぐ近くで伸びていた行梨謡も、やがて起き上がった。
「あれ？俺何してたんだろう……」
　なぜか体中が痛み、服もボロボロだ。
「痛た……とにかく、帰ろう」

　小山内海は、気づくと御剣刀に膝枕されていた。
　私、何してたんだっけ―――海は真っ赤になって慌てる。
「急に倒れたから、介抱してたんだ」
　刀の言葉に、海は急いでスケッチブックにペンを走らせる。
『何かあったの？』
「心配ないさ。もう帰ろう。桜花寮まで、送るよ」

「ん？俺、何してたんだろう……」
「思い出さない方が、いいですよ」
　元通りになった榊彩斗に、呉井弦月が声をかける。
「なんだか体がおかしかった気がするけど……ゆづきは、大丈夫？」
「ええ、大丈夫です」
　この人のお節介も悪気は無いし、今後はちょっとくらい我慢するか。弦月は思った。

「酔い、覚めました？」
「うん、そろそろ平気かな」
「帰りましょうか」
　深民実々と宇井真珠は、揃って立ち上がった。
「う～ん、でも、まだちょっとふらふらするような……もうしばらく一緒にいて！」
　実々の言葉に、真珠は笑って答えた。
「いいですよ、でもちょっとだけですよ。もう遅いですから」

「なるほど、あの時みんな酔っていたんですね。それなら納得です」
　星が丘寮に帰宅した椿美咲紀は、「ねこったー」の書き込みなどを見て、旧市街の酔っ払い騒動の顛末を知った。
「原因まではよくわからないですけど、これだけはよーくわかりました」
　美咲紀は携帯電話を置くと、疲労した体をベッドに横たえた。
「お酒は怖い。酒は飲んでも飲まれるな、ってことですね」

【完】

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あとがき

担当マスター：三城俊一
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皆様、ご参加ありがとうございました。

寄せられたアクションの「酔っ払った（のと同じ）状態の言動」は様々で、楽しみながら執筆させていただきました。
キャラ崩壊というのもたまにはいいものだと思います。ただし、「キャラクターのイメージを壊しすぎない」ギリギリのラインには気を遣ったつもりです。その辺りがうまく反映できていれば幸いです。
もし、いじり方の度が過ぎていたらすみません……

蛇足ですが、担当MSは酒が入ると、周りに迷惑はかけないものの思考力が著しく低下します。一度飲み会の帰り「地下鉄で、寝ていないのにも関わらず下車駅を４駅間違えた」というヘマをやらかしたことがあります。現実世界ではアルコールに気をつけましょう（自戒を込めて）

それでは、また皆様とシナリオでお会いできるのを楽しみにしております。

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