酒は飲んでも飲まれるな｜リアクション

酒は飲んでも飲まれるな

　酔いから覚めた栗原瑞穂は、自己嫌悪に陥っていた。
「うわあ、私ったらなんてことしてたんだろう……みんなごめんなさい……」
　大人になってもお酒には気をつけよう、と反省する瑞穂だった。

　篠崎響也は、体調が急に元に戻るのを感じた。
「……ちゃんと立てるようになった。帰ろうか」
「響也先輩！帰っちゃうんですか？」
　残念そうな顔をする三城竜太に、響也は苦笑して答えた。
「また、どっかで会おう」

　雪代伊織は、はっと目が覚めた。見知った喫茶店の店内が視界に入る。
「私、一体何をしてたんでしょう……」
「ちょっと疲れてたんだろ。すこしうたた寝してたよ」
　正面の席にいた篠木昴が答える。
「まあ、私ったらなんてことを……」
「仕方ないさ。もう遅いし、店を出よう」
　昴は言う。なぜかわからないが、なんだか普段より優しいな、と伊織は感じた。

　自宅にたどり着いてほっとしたのも束の間、津島直治は自室に引きこもってしまった。酔っていた間の記憶は比較的残っている。
「人前であの変な口調になってた気がする。恥ずかしい……」

　われに帰った花風ももは、自分の言動を思い出し、狼狽した。
「わぁ、僕はどうしてあんなことを……雨君、とんでもないことしてごめんなさい！」
　だが、寄り添う頼木雨の言葉は相変わらず優しかった。
「僕の言った言葉は、全部本当やからね？ ―――どんなももさんでも、僕は大好きや」

「おお、頭痛もめまいも消えていくのだ。熱中症騒ぎもこれで解決なのだ！」
　後木真央は、事態の収束にほっとした。
「でも、スポーツドリンクに散財しちゃったのだ……余ったのは陸上部に寄付なのだ」

「家は、ここか」
「そうなのー。もうちょっとくーちゃん先輩とお話したかったのー……」
「でも、もう帰らないといけないぞ」
「わかったのー。くーちゃん先輩、またお話しようなのー！」
　浮舟久雨は、四月一日菊乃に手を振り返し、帰路に着いた。
「ではまたな、たぬ」

「あれ？」
　志波拓郎は自分の姿の異様さに気づいた。
「なんで、上半身裸なんだろう……暑くて無意識に脱いだかな？思い出せない……」
　とにかく、急いで寮に帰ろう。万一迷惑をかけた人がいたら、謝らないと。

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