酒は飲んでも飲まれるな｜リアクション

酒は飲んでも飲まれるな

「あ、あれ？私、何してたんだろう……」
　雨寺凛は、修の背中で目を覚ました。
「って、こんなところで寝てたの？う～ん、何してたのか、なんにも思い出せないや……」
「忘れたままで、ええと思うで」
　牛瀬の言葉に、凛は素直に考えるのをやめた。
「まあいいか。でも、なんだかすごく幸せな時間だった気がする……」

「しかし、なんとも迷惑な神魂でしたね、牛瀬先生」
「ああ、でもこれで一段落やろ」
「もう暗いし、帰ろうか、ミルク。おっと」
八神修は、肩に乗った黒猫に気づいた。
「ごめんよ、お前は連れて帰れない」

「なんだかよくわかんないですけど、牛瀬先生はもう平気ですか？」
　七緒璃音は、牛瀬に問いかけた。
「ああ、もう気分は大丈夫や」
「なら、ウチは安心です。もう遅いし、ウチはおいとまします」

　宮祀智瑜は、われに返って飛び起きた。
「牛瀬先生……。私、何か変なこと言ってませんでした？」
　おぼろげに記憶はあるが、夢なのか現実なのかが曖昧だ。
「いや、変な夢でも見たんやろ。風邪ひかんうちに、帰りなさい」
「うーん……でも、記憶が曖昧なんて。大人になったら、お酒には気をつけます……」

　ベンチからすこし離れたところにいた大田原いいなは、騒動の収束を確認すると立ち上がった。もうこの姿でいる必要はない。人気のない所に行って、ろっこんを解除しよう。
「ボケ彦、私は行くわ。変な話に付き合わせてごめんなさい」
「……あれ？　俺、いままで何してたんだろう？」
　酔っていた間の八十八旗信彦の記憶は、きれいに消えているようだ。
「……あなたはいいわね、気楽で」

「理事長先生、お酒はもう、ほどほどにしてくださいね。心配したんですから」
　綾辻綾花の理事長への説教が始まった。
「う～ん、全然覚えてないけど……迷惑かけたのかしら」
「でも」
　綾花は笑う。
「二十歳になったら、理事長先生や牛瀬先生と一緒にお酒を一緒に飲んでみたいですね。ただし、適度に！」

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