あ　そ　ぼ　？｜リアクション

あ　そ　ぼ　？

【結：夢幻泡影】

　火の手が回ってきた。
　もう２階まで延焼し、１階へ崩落するのも時間の問題だ。
　彼らは脱出までの残された時間を有効に使うべく、必死に１階を探索し始める。

　八神は水を求めてトイレへ駆け込む。
　だが、何故か水が流れない。
「どこか詰まっているのか？」
　不潔なところが苦手な彼だが、この切羽詰った状況で四の五の言ってられない。
　覚悟を決めて、便器の奥やタンクの中に手を突っ込む。
　すると、タンクの中に磁石を発見する。
　八神は顔をしかめた。
「くっ、鍵じゃないのか！　しかしなんで磁石が……」
「みんなー！　こっちに鍵があったよ！」
　鴇波の呼びかけに反応し、八神や他のメンバーが動く。

　応接間に無事逃げ込んだ志波と黒依。
　しかし、その先でも熊の襲撃に遭う。
「アリーセちゃん、逃げろ！」
　志波が熊の前に立ちはだかる。
　注意を惹きつけようと牽制する志波。
　だが、黒依は一向に立ち去ろうとしない。
「早く逃げてくれ！」
　志波が言葉を放つのと同時に、熊がハンマーを振り回して踏み込んできた。
　その時、黒依も低い体勢で志波の前へ滑り込むと、スライディングの要領で熊の足を薙ぎ払った。
「お友達の見よう見真似だけどっ」
　不意を食らった熊は無様にすっ転ぶ。
「志波さん、さぁ、早く玄関へ……！」
　黒依は汗ひとつかかずにクールに言い放った。
「ヒュゥーッ、アリーセちゃん、やる～☆」
　志波、この時ばかりはおどけずにはいられなかった。